ホンネで語る!英国での子育て事情★第2回★子どもの日本語力は?

ホンネで語る!
英国での子育て事情

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子どもの日本語力は?

英国での子育てや教育事情について、国際結婚をして英国で暮らす日本人女性たちの生の声を聞くべく、10歳前後の子どもを持つ3名の主婦による座談会を決行。「学校生活」「語学教育」「友達付き合い」をテーマに、熱く語っていただいた(全3回シリーズ)。
参加者のプロフィール
Aさん (39歳)/在英6年。
夫は英国人。子どもは女の子2人(6歳と10歳)。ロンドン在住。
Bさん (48歳)/在英20年。
夫はイタリア人。子どもは男の子2人(14歳と16歳)。ロンドン在住。
Cさん (45歳)/在英18年。
シングルマザー、元夫は英国人。子どもは男の子1人(12歳)。ベッドフォードシャー在住。

家では英語? 日本語?

― お子さんの母国語は英語になりますよね。現地校に通っていますし、英語の心配はないと思いますが、日本語教育はどうされていますか?

A
子どもの日本語力の問題は、国際結婚した家庭の悩みのひとつですよね。
B
うちは、上の子が話しはじめるのが遅かったんです。私は日本語、夫はイタリア語で子どもに話しかけていて、英語を使っていなかったから、それが原因かもしれないと悩みました。3歳になってナーサリーのスピーチ・セラピストに相談したら、「それは彼の性格だと思いますよ」って。子どもは「この人はこの言葉、この人にはこの言葉」と分けて認識するから、3~4ヵ国語までは理解できるそうなんです。ただ、1人の人間が言葉を混ぜると混乱するので、日本語と英語の両方を使うのはダメと言われました。

― その後、息子さんはどうなったのでしょう?

B
結局、それからすぐに少しずつしゃべるようになったので、安心しました。上の子は今も口数が少ないから、やっぱり性格だったんだな、と。そうして育てたからか、私とは日本語、夫とはイタリア語、下の子や友達とは英語で話しています。でも、日本語では上手く表現できないことも多いし、もともと口数が少ない子だから、もっとしゃべってほしくて「英語でいいよ」って言うんですけど、日本語で話そうとしますね。
A
それは珍しいパターンかも。普通、最初は頑張って日本語を話そうとするけど、面倒くさくなって、すぐ英語になっちゃいますよね。
B
そう、珍しいと思います。下の子はベラベラよくしゃべるけど、私が話す日本語がわかっているくせに、全部英語で返すもの。
A
私も下の娘を産んだ後、ヘルス・ビジターのもとへ行って、子どもの健康状態をチェックしてもらった時に、「あなたの母国語は何ですか? 無理して英語で話さず、子どもには母国語で話しかけなさいね」って言われましたよ。「イギリスで生まれているんだから、英語は自然に身につきます」って。多言語の環境に置くのは、子どもの脳にも良いらしいです。
C
子どもはあっという間に、新しいものを習得していきますからね。
A
うちの子は日本語を話すようにさせても、途中で英語になってしまうので、英語で話しかけてきた時には無視するようにしています。だけど、いつの間にか子どもの話を聞きながら、相槌を打っちゃったりして…。「あぁ、いけない」と思って「日本語で言って」と注意するんですけど。
B
無視するのは、いいことですよ。
A
でも、子どもは私が英語を理解していることをわかっているから、「じゃ、いいや」と話を切っちゃうんです。だから、「日本語で話さないと、日本に連れて行かないよ!」と脅してみたり、「お母さんは悲しい…。日本でおばあちゃんと何語で話すの?」としょんぼりしてみたり、いろいろ試しています(笑)

なかなか日本語を話し続けられない子どもたちに、手を焼いていると話すAさん。

補修校 VS 公文

― 日本語で話しかけること以外に、何か実践していることは?

B
たぶん土曜日の補修校に通わせている家庭が多いと思いますが、私は公文に行かせました。
A
公文っていえば算数のイメージがありますけど、ロンドンの公文では国語(日本語)も教えるんですよね。
B
そうなんです。本の読み聞かせをしてくれる3~4歳の幼児教育クラスから入れて、合計7~8年通わせましたけど、どんなに頑張らせても、日本語のレベルとしては小学校3年生くらいまでが限界かな。
A
GCSE(中等教育修了試験)の日本語がそのくらいですよね?
B
だから、私はそこまでにしようと決めていました。2人ともGCSEを受けたから、もういいかなと。
A
うちの子は土曜の午前中に3時間、補修校に通っているんですけど、すごく大変です。宿題の量が多くて。 宿題を終わらせるのに、だいたい4日かかりますね。
C
えぇー! それは大変。
A
日曜の午前中、月~水曜の放課後を使って、やっと終わる感じです。

子どもを公文に通わせていたBさん。

― 宿題はどのようなものが?

A
漢字のドリル、作文、日記とか。補修校は日本人学校と同じように、帰国した時に、日本の授業に馴染めるようにとつくられた学校なので、日本のカリキュラムと同じように進めるんです。一週間分を一日で学んで、宿題も出るから、子どもは大変そうですね。

― でも日本語を話す機会は、かなり多そうですね。

A
低学年のうちは駐在員の家庭の子どもも多いんですけど、彼らは数年で帰国してしまうので、高学年になるにつれて、英語を母国語とする現地校に通う子ばかりになってしまうんです。そうなると結局、日本語をあまり使わなくなってしまったり…。
B
ただ補修校は、日本の文化を知るっていう面もありますよね。ランドセルをしょったり、机を一列に並べてみんなで黒板を向いて勉強したりとか。
A
その点はすごくいいですね。でも現地校に通って英語で生活している子にとって、スピードも内容も早すぎて、日本のカリキュラムで学ばせるのは少し無理があるように感じます。
B
私の知り合いの駐在員家庭の話なんですけど、英語を話せるようになってほしいと子どもを現地校に入れたんです。2~3年すると、その子は英語を話すのが普通になって、逆に日本語を話さなくなってしまって…。補修校の授業にもついていけなくなり、ストレスでお腹が痛むようになっていましたよ。
A
時間的にも精神的にも無理が生じてくるので、うちも毎学期「これで終わりかな」と思いながら、なんとか通い続けている状態ですね。

仲間はずれはイヤ?

― ベッドフォードシャーでは、どうですか?

C
ベッドフォードシャーには日本人学校も補修校もないので、私の知り合いは土曜にロンドンの補修校まで通わせていました。でも、おふたりとは違って、私はあまり日本語教育に力を入れませんでしたね。一応、小さい時には、近所の日本人のママ友がやっている幼児教室に連れて行って、本や紙芝居の読み聞かせや、みんなで一緒にひらがなを学ばせたりしました。でもそれは学校に入る前の3~5歳くらいまでで、それ以降は私が日本語で話しかけるようにしていました。

― それで日本語力はつきました?

C
実は元夫が、私が息子に日本語で話しかけるのを嫌がったんです。私たちが何を話しているのか、自分はわからないと。だから自分が側にいる時は、英語で話してほしいと言われて、その気持ちもわかるので、息子と私の2人だけの時は日本語、父親と3人でいる時には英語で話しかけていました。
B
それは、ちょっと難しいかも…。どちらかに徹底しないと。
C
子どもにどれだけ日本語を身につけさせられるかは、旦那さんにもよると思うんですよね。日本語がわかる人ならいいんですけど。自分だけ仲間はずれみたいになるのが嫌だと思うか、それも教育だと考えるのか。ただ、うちは幸か不幸か、子どもが5歳くらいの頃に離婚したので、それ以降、私はずっと日本語で話しかけています。返事はラクなので英語で返ってきますけど、私が言っていることは100%わかるし、しゃべろうと思えば、日本語もしゃべれますね。普段はしゃべってくれませんけど(笑)
B
恥ずかしいのもあるんですよ~。
C
だから、なるべく夏休みとか日本に長く帰るようにしています。日本でおじいちゃんやおばあちゃんに会うと、「この人は日本語しかしゃべれない」ってわかるから、日本語がちゃんと出てきますね。
A
そうそう! 日本に行くと、それまで眠っていた日本語があふれ出るかのように、数日でベラベラしゃべるようになるんですよ。イギリスにいる時は、あんなにカタコトの日本語なのに(笑)

「家庭内での日本語教育は、旦那さんの理解次第という面も」と話すCさん。

― 日本語の読み書きはどうですか?

C
それは全然ダメですね。学校に通わせてもいないので、そこまではもういいかなと思っています。
B
私は日本語でメモを書き残したりしていますよ。「今日は仕事に行きます」とか、「今日のご飯が冷蔵庫に入っています」とか。簡単な漢字を混ぜて。
C
それはいいアイディアですね! 結局、どこまで日本語を学ばせたいか、方針を決めたほうがいいですよね。私のママ友でも、1時間かけて補修校に通わせている人もいれば、日本語はいいと言って家庭内でも英語しか使わない人もいますし。私は、日本語で意思疎通ができるようになる程度でいいと思っています。そして大きくなって、もし「日本語をもっと学びたい」「GCSEを受けたい」と言うなら協力する、という感じですね。

次回予告
「英国での子育て事情」第3回のテーマは、「子どものバースデー・パーティー」です。
どうぞご覧ください!
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