ホンネで語る!
コロナ時代の働き方

後編

リモートワークの将来は?

新型コロナウイルス感染拡大防止のためのロックダウン政策によって働き方が大きく変化する中、ロンドンで働く日本人たちはどのように仕事を行っているのか。現状を知るべくオンラインで座談会を決行。コロナ時代の働き方について考えを語ってもらった(全2回)。前編はこちら
参加者のプロフィール
Aさん/2018年よりロンドン駐在。日系不動産会社にて、再開発事業マネージャーを務める(40代前半・男性)。
Bさん/2004年に渡英し、2014年より日系メーカーにて社長秘書として勤務する(40代後半・女性)。
Cさん/2017年よりロンドン駐在。日系金融機関にて、日系・非日系投資家に対するファイナンス業務を担当する(40代前半・男性)。

こういう状況だからこそ

―― コロナ禍における非日系企業と日系企業を比べて思うことはありますか?

A
非日系企業がどうやっているかは詳しくはわからないですけれども、おそらく、日系企業は社員のことをよく考えているんじゃないかなと思います。他の企業がこうやっているから、じゃあうちはもうちょっと保守的にやろうとかですね。
A
私も同感ですね。駐在員だけでなく、駐在員とナショナルスタッフとの差をどれだけなくすかなど、私が聞いた範囲においては日系企業の各社さんどこも丁寧な対応を取られたと思います。

―― コロナ禍で仕事量に変化はあったのでしょうか?

A
少なくとも減ってはいないです。ロックダウン中でも担当しているプロジェクトを着々と動かしていましたし、コロナ対応という面で追加的な業務も生じましたが、基本的には全部順調に進めていますね。

―― 新規プロジェクトが中止になるようなことは?

A
検討をまったくしなかったわけではありませんが、中長期的に見ればロンドンのマーケットには揺るぎないものがあるだろという結論に達して、このままやっていくことになりました。
B
私の会社はおかげさまでセールスは順調なのですが、工場を持っていて、ソーシャル・ディスタンシングの観点で工場が動きにくくなり、生産が追いつかないという話が出ていました。
A
我々は4~6月はパンデミックが起こったことに付随した管理の面での業務が増えてバタバタしましたが、7、8月はこの国の方々が夏休みに入られるので、全体の動きが停滞しました。ただこれは毎年同じことですので、全体的には大きく変わらないなという印象です。こういう時だからこそ、逆にチャンスだと捉えて前向きに進めているものもあります。
A
先進国では2008年のリーマンショック以上のGDPの下げ率を記録するんじゃないかって言われていますが、影響はそこまで大きくないように感じています。例えばホテルや飲食業、パブの経営が苦しいというニュースは毎日流れていて、「B to C」の企業は被害が大きいと思いますが、「B to B」ではあんまり影響は見られないような気がします。
A
そうですね。むしろ今入ってこようとしている日系企業さんもいらっしゃいますし、物流や住宅関連で、これからがチャンスだと話されている方も多いですね。

―― 物流、住宅というのは?

C
ロックダウン以降、通販の割合が非常に高まっていて、物流が伸びていますよね。それが多少落ち着くことはあっても一気に落ちるようなことはないと思いますので。不動産でもオフィスに注力していたのをレジデンシャルの方に力を入れるとか、そういった動きはみられますね。

現在の状況をチャンスだと捉えて前向きに進めている業務があると話すCさん。

意識の変化

― その他にはどのような変化が?

B
私は社長秘書で、主な業務内容は社長のスケジュール管理、出張やミーティングのアレンジ、お客様が来社されたときの対応なのですが、この状況になって出張がなくなり、オフィスがクローズしたので、業務の3分の2くらいがなくなっちゃったんです。他社の秘書さんに聞くと、やっぱり同じ状況なんですよね。出張は少しずつ戻ってきていますけど、オンライン会議も多くなるでしょうし、秘書としての仕事がすぐに元に戻るとは思わないので、その点では大きく変わりました。

―― それに関して会社との相談は?

B
相談した結果、空いた時間を使って以前から関心のあった研修講座をオンラインで受けることになって、無事に資格を取ることができたんです。とてもありがたかったです。これを活かして新しい社内研修を企画しているので、とても楽しみです。
C
働き方の環境も、我々の生活も、今まで5年とか10年かけて変わっていくと予想されていたものが、コロナによって数ヵ月のうちに変わったような感じはします。コロナが変えてしまったとも表現できますし、あるいは現在進行形で変わっているとも言えますよね。
A
確かに、会社に行くことが仕事の大前提という固定概念を少なからず私も持っていたと思うので、それをショック療法ではないですけど、短期間でガラッと変えるいい機会になったと思います。

―― 部下を持つ立場の難しさは?

A
時間で測るという考え方を捨てました。会社によると思いますが、日本にいたときは、仕事を時間で管理するという発想があったと思うんですけど、このコロナを機に、出してきた成果を重視するようになりました。極端に言えば、8時間会社にいなくてもいい。5時間で成果が上がるなら、残り3時間を家族と過ごしても、チャット上が退席中となっていても私は気にしない。
C
私もイギリスに来たときから同様に感じ始めていました。必要なもの、やるべきことができていれば、あとは時間をどう使おうが、それは本人の生き方だと無意識・意識的に感じているうちに、徐々にそう考えるようになりました。
A
あとはチームのメンバーを信頼するしかないですよね。私もイギリスに来てからなんとなくは思っていたんですけど、コロナで急激にマインドが変化しましたね。
C
イギリスに来て4年になり、日本にいた頃の自分より、公私の様々な面で柔軟になったかと思います。『業務時間内にメリハリを持って仕事を行う』という言葉は元々頭にあったものの、イギリスに来て本当の意味で体感しました。このように成長(?)した自分が、近い将来、日本に帰国したときにどのように感じるのかが楽しみです(笑)。

コロナ・パンデミックが考え方を変えるいい機会になったと話すAさん。

元の働き方に戻る!?

―― 今後の働き方をどう予想しますか?

B
うちはスタッフがすごく仲がいいので、毎日の出社が楽しいんですよ。だから、みんなに会えないのは寂しいんですけど、でも今回、私を含めて社員それぞれが毎日会社に行く必要はないんだなと感じたと思います。それは今後、働き方に影響してくると思います。私の仕事みたいに、必要じゃなくなる職種も出てくるんじゃないのかな。
C
おそらく多くの人が会社に行く必要性ってどういうことなのかと考えているでしょうし、ただ一方で、会社に行きたいという人もいる中で、個人の考え方が集合体としてどう形作られていくのか興味深いです。
B
オフィス問題もありますよね。今オフィスを構えていて家賃を払っているのに、従業員が出社しないのであれば、今後はここまでのスペースは不要じゃないかって。それぞれの席を決めずに出社した人がどこに座ってもいいようなスペースにするとか、いろんな案が出ています。今までみたいに全社員が毎日集まって仕事という感じには戻らないんじゃないかなと思います。
C
週5出勤が週2、3出勤になることもあるかもしれませんね。あとは、例えばシティなどの中心エリアにオフィスを構えて全員がそこに出社するというのがなくなって、例えばサテライトオフィスみたいな場所を増やしながら家から近いところで働き、みんながネットワークでヴァーチャルに繋がりながらも、小さなコミュニティーでもリアルに繋がっていくようなものになるんじゃないかなという感じもしますね。
A
私は短期的に見たらみなさんと同じ意見です。リモートワークでも仕事は回るし、柔軟性の大切さにも気づかされました。ただ、中長期的に見ると、元に戻るんじゃないかなと思うんです。

―― というのは?

A
先ほどBさんがおっしゃったように、オフィスでの雑談を含めて顔を合わせることが楽しいというのもありますし、それだけではなくて、実は同じ場所に集まることによって目に見えないコーポレート・カルチャーいわゆる企業風土や会社のビジョンを、みなさん自ずと共有していると思うんですね。例えば、同じ業種の方で、提供しているサービスは似ていたとしても、私が企業の方とお会いしている中でやっぱりこの人はこの会社の人だよなってわかるんですよね。それはトレーニングやチームで動くことを通して、気づかないうちに全員が共有している部分だと思うんです。それを元にしてビジネスが成り立つ部分もあると思うので、対面というのは必要だと思います。

―― リモートワークで仕事ができても?

A
今、なんとなく回ってはいますが、人が入れ替わっていくでしょうし、その中で、組織として一本横串を通すというか、貫かなくてはならない部分が必ずあって、人が変わったときにもこの状態が維持できるかというのは少し懐疑的です。10年の長さで今の働き方が成り立つかというと、必ずしもそうとは思わないので、ある程度は元に戻ってくると思います。
C
そうですね。それがどんな風に移行して、コロナ後がどうなるか、非常に興味深いですね。コロナ後? いつになるんでしょうね、コロナ後って。

ロックダウン中に取得した資格で新しいプロジェクトを始めると話すBさん。

週刊ジャーニー No.1156(2020年9月24日)掲載

座談会「コロナ時代の働き方」は終了です。次回の開催をお楽しみに。テーマも募集中です! www.japanjournals.com/life/zadankai.html
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