ホンネで語る!
コロナ禍での出産事情

後編

メリットとオンラインの充実

昨年3月以降、様々な制約下での生活が続いている英国。コロナ禍のロンドンで初出産し、現在育児に奮闘中の日本人女性3名に、パンデミックによる出産体制の変化や困ったこと、あるいはプラスに感じた面など、それぞれの経験をオンライン座談会で語っていただいた(全2回)。
参加者のプロフィール
Aさん/ロンドン北部在住。2021年2月に娘を出産。夫は日本人。
Bさん/ロンドン北部在住。2020年4月末に娘を出産。夫は香港人。
Cさん/ロンドン南部在住。2021年1月に息子を出産。夫は欧州出身。

――出産時、旦那さんは立ち会うことができましたか?

ABC
立ち会えました。
A
私は破水から始まったんですが、病院へ電話したら「とりあえず来てもいいけど、入院が決まるまで旦那は入れない」って言われて。でもひとまず行こう! と病院へ向かって、結局そのまま入院になり、その時点でそれまで外で待っていた旦那がやっと病院に入れました。そこからはずっと病棟にいて、宿泊もできましたね。
C
へぇーすごい! うちの夫はマスクをしたまま最初から一緒にいられましたけど、宿泊はできませんでしたね。
B
私は糖尿病だから38週で産まないといけなくて、入院して陣痛誘発剤を投与されたんですけど、3日経っても効かなかったんです。「危険だからこのまま分娩室に行きます」と突然言われ、自宅に電話して旦那を呼んで立ち会ってもらいました。生まれた後も、旦那は1時間しか病院にいちゃダメと言われたらしくて。まぁ、誰も何も言わなかったので、声をかけられるギリギリまでいてもらったんですけど(笑)

―― 出産後の面会はどうですか?

C
入院中は面会時間が午後12時から夕方6時と決まっていたので、その間しか夫は来れませんでした。おむつを替えたり、ミルクを飲ませたり、いきなり全部ひとりでやらなければいけなかったので大変でしたね。
A
私の病院は24時間、面会OKでしたよ。部屋も半個室で、ベッドとワードローブ、リクライニング・ソファがあって、旦那はソファで寝泊まりしてました。ただ、彼は熱を測っただけでPCR検査をしなかったんですよ(妊婦は出産前に検査済み)。手首につけたホスピタル・バンドを見せれば出入り自由だったので、私は楽だったけど、誰かが感染したらクラスターになるな、という心配はちょっとありました。
B
私のところは面会禁止でした。足りないものがあれば電話して旦那に持ってきてもらい、ナースが下まで取りに行って、それを私に渡してくれる感じで、顔を合わせることもできなかったです。廊下で子どもをあやしていたら、「部屋の中に入りなさい」って注意されたり、厳しかったですね。

北ロンドンのウィッティントン病院での出産に満足したというAさん。

―― 病院によって、かなり対応が異なるようですね。出産後、ロックダウン中でもミッドワイフは自宅に来ましたか?

A
来ました。カウンシルによっても違うかもしれませんが、私のところはすごく手厚くて。妊娠中に全然面倒をみてもらえなかった分、産後にお金と人を費やしているのねって思うくらい(笑)。うちの子は黄疸(おうだん)が出て、低体重だったこともあったので、退院した2日後に来て、その2日後にまた来て、次の週にも…と5回くらい来てくれたので、ありがたかったですね。
C
うちも同じで、退院した翌日に何の連絡も前触れもなく、朝に突然ミッドワイフが来ましたよ(笑)。寝てたので準備ができていなくて、パジャマにボサボサ頭で対応しました(笑)
A
だんだん慣れてきますよね。ミッドワイフの前でパジャマだろうが、胸を丸出しにしようが(笑)
C
そうそう!
B
うちは退院から5日後にミッドワイフが来たんですけど、母乳が上手くあげられず、ミッドワイフに手伝ってもらったものの、彼女もてこずっちゃって。「1週間母乳をあげて、体重が減ったらA&Eに行ってね」って言われたんですけど、測りも持ってないし、どうやったら体重がわかるの?って、ストレスですごく血圧が上がって再入院したんですよ。
C
えぇー!
B
子どもと一緒に入院できたのでそれはよかったんですが、シェアの大部屋で、コロナ対策も人ぞれぞれで緩いし、不安ばかりでしたね。

北ロンドンのロイヤルフリー病院では、入院中は面会禁止で夫に会えなかったと話すBさん。

―― 外出がままならず、人とも会えずに気分転換が難しい中で、メンタル面はどうですか?

C
コロナ禍に限らず、子どもができると長時間の外出はしづらくなったりと行動範囲が制限されるので、ズームなどのオンラインが充実して、私はメンタル面でも助かってますね。もちろん直接会えればベストなんですけど。
A
私は旦那にサンドバッグになってもらってますね(笑)。妊娠中や子どもに対する不安、GPへの文句など、オンラインでは人に話しづらいし、温度感も伝わりづらいし、自分とまったく同じ立場じゃないと相談しにくいことも、受け止めてもらってます。
B
私はメンタル面は大変ですね。もともと週6日で働いて、休みの日は友達と会って、妊娠中もそれは変わらなかったんですけど、ロックダウンになって出産して仕事も辞めたので、朝起きて娘の面倒をみて、暇な時間はSNS見て、お昼食べて、SNS見て…と毎日同じことを繰り返していたら、子どもが10ヵ月になる頃から、夜になると涙が止まらなくなっちゃって。旦那のお母さんと同居しているので、そのストレスもあると思うんですけど。糖尿病だから重症化するのが怖くてロックダウンが明けても友達と会わなかったし、全然外出していないのも原因かなって。でも旦那に泣きながらそれを打ち明けて、仲のいい友達とのグループチャットで自分の状況を聞いてもらったら、少し楽になりました。
C
私も子どもを産んでから2週間くらい、自分らしからぬ「落ち」がありましたね。真冬の寒い時期で日は短いし、世の中はロックダウン。ちゃんと眠れないし、母親学級に行ってないから新生児の扱い方がわからない。これがたぶん「産後うつ」だと思うんですけど、イギリスではそうしたメンタル・ケアはすごくしますよね。ミッドワイフが来たときも、最初に聞かれたのが「お母さん大丈夫? あなたの今の気持ちはどう?」で救われましたね。日本だと子どもが常に最優先で母親のケアはあまりしないので、その点はイギリスはすごくいいと思っています。

―― 前回、コロナ禍での妊娠・出産のデメリットをお話しいただきましたが、メリットはどうですか?

A
在宅で仕事ができることですね。産休に入る1週間前まで仕事をしていたんですけど、通勤しなきゃいけなかったら絶対に無理でしたね。出張や接待が多い仕事なので、妊娠初期にそういうのがまったくなかったのも助かりました。理解を示してくれる上司だったこともあって、ソファで寛ぎながら仕事をしたり、体調が良くないときはすぐに身体を休めたりできたことも良かったです。それと、旦那も在宅で働いているので家事の分担ができるし、これは生まれてからもそうですけど、すごく利点ですね。
B
私も旦那が家で仕事をしているので、色々と手伝ってくれて心強いです。
C
妊婦にとって働きやすい状況になりましたよね。ロックダウンだと家に籠って心置きなくゆっくり休めるし、身体に負担をかけずに生活できました。
A
あと、さっき出ましたけど、コロナでオンラインが充実しましたよね。
C
それはありますね。これまでは直接会わなきゃいけなかったけど、ズームを使えば会いに行く時間も体力も節約できて、妊婦や子どもがいる人にとってはありがたいです。仕事の打ち合わせも自宅でできるし、この体制はコロナが終息しても残ってほしいなと思いますね。

―― なかなか孫の顔を見せられないご両親とのコミュニケーションも、ズームが中心ですか?

C
ズームよりもアプリで成長ぶりを見せてます。日本語だと「みてね」、こちらだと「FamilyAlbum」という無料の画像シェアリング・アプリなんですけど、すごく便利ですよ!
B
私もそのアプリ使ってる!
C
いいですよね! 許可した人しかアクセスできなくて、そこにアップロードした写真をみんなが見れて、コメントも書き込めるんです。私の両親や夫の両親、きょうだいでシェアしていて、毎日のように写真や動画をアップしてます。しかも、好きな写真を選んで購入すれば印刷もできるんですよ。

―― 写真やコメントを通して、お互いの親族の交流の場にもなりますね。

C
そうですね。でも夫(欧州出身)の家族と私の家族では共通言語がないので、交流になってないんですけどね(笑)
A
すごい、良さそう! 今夜やることができた!
B
ほかにメリットと言えば、糖尿病だからシールディング・リストに入っていて、スーパーのデリバリー・スロットがガラ空きだったんです。それはすごく便利でしたね。でも生んだ後、すぐにリストから外されて。
C
悲しい!(笑)
B
本当に早かった(笑)。でもどの人がハイリスクなのか、いつ生んだのかがわかっていて、すぐに反映されることに驚きました。すごいなって。
A
ただの妊娠だと優先されないので、スーパーのオンライン・ブッキングのスロットが私はまったく取れなくて。怖いけど仕方なくスーパーへ行くと、みんな譲ってくれるんですよ。入店で並んでいれば「お腹大きいから先に行きな!」とか、レジに並んでいても「彼女を先にしてあげて」とか。コロナで殺伐としていながらも、子どもや妊婦に優しい感じが、イギリスらしいなとほっこりしましたね。   (終)

ロンドン西南部のチェルシー&ウェストミンスター病院で出産したCさん。

週刊ジャーニー No.1185(2021年4月22日)掲載

座談会「コロナ禍での出産事情」は終了です。次回の開催をお楽しみに。テーマも募集中です!
今後のテーマ、参加者を募集中!