まもなくプロムズが開幕!ロイヤル・アルバート・ホールを征く

●征くシリーズ●取材・執筆・写真/本誌編集部

■ サウス・ケンジントンの北側、ケンジントン・ガーデンズに面した地に建つ、ロイヤル・アルバート・ホール。かつてワーグナーが指揮棒を振り、ブルックナーが当時世界最大であったパイプオルガンの初演奏を披露した、「クラシック音楽の殿堂」だ。一方で近年は、世界的人気を誇るミュージシャンがコンサートを開いたり、日本の大相撲ロンドン場所が開催されたりと、様々なイベントが行われる多目的ホールとしても親しまれている。英国の夏の風物詩「プロムズ」の開幕を目前に控えた今回は、メイン会場となっている同ホールを征ってみたい。

1851年に開催された世界初の万博「ロンドン万国博覧会(The Great Exhibition)」が大成功を収め、その立役者であるヴィクトリア女王の夫アルバート公によって立案された、サウス・ケンジントン一帯の「芸術・科学分野の文化地区」化計画。ロンドン万博で得た莫大な収益をもとに、同地に博物館や大学などの施設が次々と建設されていった。ところが、アルバート公は41歳という若さだったにもかかわらず、別名「アルバートポリス(Albertopolis)」の完成を待たずに死去。計画は頓挫してしまうかに思われたが、ヴィクトリア女王が最愛の夫の遺志を継ぎ、1871年に無事に完成に至ったのがロイヤル・アルバート・ホールである。

このような経緯からもわかるように、同ホールには夫に対する女王の深い愛情が随所に盛り込まれている。エントランスには夫妻の胸像、壁面には対になった巨大な肖像画、そして階段の手すりにはアルバート公の頭文字「A」の意匠――。建物名も当初は別の名称がつけられていたが、着工工事の礎石を置く式典に出席したヴィクトリア女王が、突然「ロイヤル・アルバート・ホール」と命名することを宣言したため、慌てて改名せざるを得なかったという。

ちなみに、この礎石は現在も当時のまま置かれており(一部だけ見えている)、ストール席のK列87番の座席の真下がその位置に当たる。「知る人ぞ知る特別席」なので、その座席に座れた人はかなり幸運だ。ヴィクトリア女王は式典で、礎石と一緒に「タイムカプセル」も埋めており、おそらくアルバート公への愛が納められているだろうその上に座ることができるとは、なんと贅沢な体験だろうか。

そしてもし機会があれば、場内のガイドツアーにもぜひ参加していただきたい。王室メンバーが祝賀式典や戦没者追悼式典などに臨席する際に使用する、ロイヤル・ボックスや待機室などを見学することができる。ロイヤル・ボックスはボックス席Gの27番と28番にあたり、座席数は20席ほど。ヴィクトリア女王が王室専用として、999年リースで借りている。余談だが、王室メンバーが使わないときは、王室関係者やスタッフが10ポンド(!)で座席を確保できるという。ガイドツアーではこうした裏話が満載で、あっという間に1時間が経ってしまった。

世界を代表する指揮者や英国内外のオーケストラ、演奏者らが出演し、世界的な人気を集める英国最大の音楽祭「プロムズ」が、まもなく開幕する(今年は7月17日~9月12日)。とくに、英国人にとって愛国的な曲が演奏され、観客が一体となって盛り上がる最終日の「ラストナイト・オブ・ザ・プロムズ」の人気は凄まじい。この最終日のチケットは抽選制のため、入手が困難であることでも有名だ。

だが、プロムズの醍醐味のひとつと言えば、「プロミング(Promming)」と呼ばれるアリーナ(オーケストラ前)とギャラリー(最上階)の立ち見の当日券だろう。1枚なんと8ポンドという、超お値打ち価格で鑑賞することができる。このプロミング・チケットも以前はロイヤル・アルバート・ホールに直接足を運び、早朝から長蛇の列に並ばないと買えなかったが、今はオンラインでの購入が可能になっている。当日の朝9時30分から公式サイトにて販売されるので、ぜひチャレンジしてみてほしい。

ロイヤル・アルバート・ホールの外観
建物の外観・内観ともに、ローマの円形劇場をモデルにしている。
王室メンバーの待機室
王室メンバーの待機室。貴賓客らと談笑する際も、この部屋を使用するという。
王室メンバー用のロイヤル・ボックス
王室メンバー用のロイヤル・ボックス。実はステージ正面ではなく、ステージに向かって右側に4ボックス席ほどずれた場所に設置されている。これは、演奏者たちと顔を合わせるのを嫌がったヴィクトリア女王の要望だとか。
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ツアーに参加した人は10%オフ! イタリアン・レストラン Verdi Italian Kitchen

Verdi Italian Kitchen 店内

ロイヤル・アルバート・ホール内には、いくつかレストランやバーが併設されているが、最も気兼ねなく入店でき、予約なしでもOK、さらにガイドツアーの参加者は10%引となるのが、このイタリアン・レストラン。しかもランチのセットメニューは、2コース£24、3コース£30(ともにソフトドリンクつき)とリーズナブル。ホールの入場チケットがなくても、誰でも利用可能。

ビーフタルタル
コースの前菜、ビーフタルタル。火が通ってる…?という謎の一品。
マッシュルームとトリュフのピザ
メインのマッシュルームとトリュフのピザ。
赤唐辛子のスパゲティ
同じくメインの赤唐辛子のスパゲティ。
カンノーロ・シチリアーノ
デザートのカンノーロ・シチリアーノ。

Travel Information ※2026年7月7日現在

Royal Albert Hall
ロイヤル・アルバート・ホール

周辺マップ

Kensington Gore, South Kensington, London SW7 2AP
www.royalalberthall.com

【ガイドツアー】
開催日 毎日10:00~16:00
催行時間 約1時間
料金 £20
※オンラインでの事前予約要
※当日の開催イベントによってツアー日時が変動するので、ウェブサイトで確認すること。

JEMCA
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ジャパンサービス
らいすワインショップ
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週刊ジャーニー No.1452(2026年7月9日)掲載