知的好奇心を刺激する学びと遊びがいっぱい ホーニマン・ミュージアム&ガーデンズを征く
Horniman Clocktower / Photographer AndrewLee mm

●征くシリーズ●取材・執筆/本誌編集部、ネイサン弘子

■南ロンドンの丘の上、ロンドンの街並みや高層ビル群を一望できる地にある「ホーニマン・ミュージアム&ガーデンズ」。「遠い国々を訪れることが叶わなかった人々に自分が目にした素晴らしい世界を見せたい」――。そう願ったひとりの紅茶商人が建てた博物館は、開館から1世紀以上の時を経た現在も、人々の好奇心を掻き立て、知識を与え、世界を見せてくれる博物館として、ロンドン市民に愛され続けている。今号では、遊びと学びが盛りだくさんのこの地を征くことにしよう。

紅茶の歴史を変えたブランドの成功で生まれたミュージアム

19世紀の英国では、紅茶は量り売りが一般的で、中には粗悪品や不純物を混ぜた茶葉が流通することもあった。そこで1826年、ホーニマン・ミュージアムの創設者であるフレデリック・ホーニマンの父、ジョン・ホーニマンが、世界初とされる密封包装のパッケージ入り紅茶を発売。ブランド名を印刷した封印付きのパッケージによって品質を保証し、消費者の信頼を獲得した。

こうして「Horniman’s Tea」は大ヒットし、1891年には世界最大の紅茶会社へと成長。一家に莫大な富をもたらした。

世界をフォレスト・ヒルへ

ワールド・ギャラリー
世界中の摩訶不思議が詰まったワールド・ギャラリー。発見がたくさん。

家業を継いだフレデリックは、紅茶商人として世界各地を訪れるなかでさまざまな民族や文化に触れ、やがて各地の美術品や工芸品を収集することに情熱を注ぐようになる。彼の収集品はまたたく間に自宅や倉庫を埋め尽くしたが、彼はそれらを独り占めするのではなく「旅をすることが叶わない人々にも、世界の多様な文化を見て感じてもらいたい」と考え、無料のミュージアムを開設することを決意する。

1890年、当時の自宅を改装し、前身となる「サリー・ハウス・ミュージアム」を開設すると、たちまち連日行列ができるほどの人気を博し、人々は珍しい動植物の標本や異国の民族衣装などに目を見張った。その後、1901年に新築された現在の建物へ移転し、「ホーニマン・ミュージアム&ライブラリー」として再開館。その際、コレクションと建物はすべて公共のために寄贈された。

のちに「ホーニマン・ミュージアム&ガーデンズ」へと改称された同館は、当初はなかった水族館やバタフライ・ハウス、小動物園などを備えた文化施設へと発展。2022年には「アートファンド(Art Fund)」より、年間最優秀博物館賞を受賞した。今年で開館125年、 創設者の思いを受け継ぎ、「Bring the world to Forest Hill」の理念のもと、現在も地域の人々に親しまれながら進化を続けている。

見晴らしのいい丘で過ごす1日

フォレスト・ヒルの駅からまっすぐ続く坂道を登りきる手前にあるホーニマン・ミュージアム。庭園からはロンドンのスカイラインが一望できる。

博物館で世界中の珍しい品が見られるように、庭園でも英国らしい美しいバラ園から、エキゾチックな多肉植物のロック・ガーデンまで、様々な植物が見られる。

動物の標本や剥製が並ぶナチュラル・ヒストリー・ギャラリー(2027年初頭まで閉館中)、世界中の民族の美術品や工芸品を集めたワールド・ギャラリー、楽器ばかり集めたミュージック・ギャラリーなど、盛り沢山の内容だが、見終わる頃には疲労困憊していた…とまではならいない程度の程よい広さ。

それでも動きのない展示品を見て回ることに飽きた子どもたちや、説明を読んで目が疲れてしまったという人は、地下にある水族館に行ってみよう。熱帯魚を見ているだけでトロピカルな気分になり、目の疲れも解消されるはず。庭園の一角にあるバタフライ・ガーデンに一歩足を踏み入れれば、南国の楽園にいるようだ。アニマル・ウォークにいるアルパカやヤギ、大きなウサギがのんびり草をはむ姿には、大人も子どもも心癒されるだろう。

身体を動かしたくてうずうずしている子どもたちは、芝生を走り回ったり、ミニゴルフをしたりしに、プレイグラウンドに遊びに行こう。晴れた日は芝生でのピクニックも気持ち良い。また、園内にはカフェ・レストランが2ヵ所あるので、気軽に利用できる。

ロンドン市民のため、素晴らしき世界への扉を開けてくれるホーニマン・ミュージアム&ガーデンズ。この夏、足を運んでみてはいかがだろうか?

バタフライ・ハウス
トロピカルな植物に囲まれたバタフライ・ハウス。湿気が懐かしい。

それでも動きのない展示品を見て回ることに飽きた子どもたちや、説明を読んで目が疲れてしまったという人は、地下にある水族館に行ってみよう。熱帯魚を見ているだけでトロピカルな気分になり、目の疲れも解消されるはず。
庭園の一角にあるバタフライ・ガーデンに一歩足を踏み入れれば南国の楽園にいるようだ。アニマル・ウォークにいるアルパカやヤギ、大きなウサギがのんびり草をはむ姿には大人も子どもも心癒されるだろう。

芝生を走り回ったり、ミニゴルフをしたりしにプレイグラウンドに遊びに行こう。また、晴れた日は芝生でのピクニックも気持ち良い。園内にはカフェ&レストランが2ヵ所有るので、気軽に利用できる。
ロンドン市民のため、素晴らしき世界への扉を開けてくれるホーニマン・ガーデンズ&ミュージアム。この夏、足を運んでみてはいかがだろうか。

ミニ水族館
世界中の水辺や水中を再現したミニ水族館。カクレクマノミもいたよ。
アニマル・ウォーク
のんびり雰囲気のアニマル・ウォーク。毛玉のようなウサギがいたよ。
TK Trading
Centre People
ロンドン東京プロパティ
Dr Ito Clinic
早稲田アカデミー
サカイ引越センター
JOBAロンドン校
Koyanagi

稀代のコレクター Frederick Horniman(フレデリック・ホーニマン)

フレデリック・ホーニマン
  • 1835年、サマセット州ブリッジウォーターで誕生
    クエーカー教徒のジョンとアン夫妻の息子として生まれる。父ジョンは茶商人としてイングランド南西部の各地の町で商品を販売していた。後に家族はロンドン南部のクロイドンに移住する。
  • 1850年、14歳で家業に参加
    クロイドンのクエーカー教徒の学校を退学。順調に売り上げを伸ばしていた家業の紅茶会社に入社し、若くしてビジネスを学ぶ。
  • 1855年、ビジネス絶好調
    ヴィクトリア時代、多くの食品が色を鮮やかにするためなどに使用されていた化学物質に汚染されていた。当時、数百件に及ぶ食品の検査が実施されたが、ホーニマン家の紅茶ブランド「Horniman’s Tea」は純粋で安全であると公表されたことで、売上を飛躍的に伸ばす。
  • 1859年、レベッカ・エムスリーと結婚
    2人の間にはアニー(1860年)とエムスリー(1863年)という2人の子どもが生まれた。
  • 1860年頃、世界中の工芸品を収集
    エジプト、スリランカ、ビルマ、中国、日本、カナダ、米国など世界各地を旅し、自身の興味をそそるもの、あるいは遠い国々を訪れる機会がなかった人々にとって興味深く有益なものを収集しはじめる。
  • 1888年、家がコレクションであふれかえる
    世界中から持ち帰った工芸品や珍品が家の中を占領していた。この状況に耐えかねたフレデリックの妻レベッカは「コレクションが去るか、私たちが去るか」と言い放つ。
  • 1890年、ホーニマン・ミュージアムの前身「サリー・ハウス・ミュージアム」開館
    9年間で、50万人以上の来館者を記録。
  • 1895年、国会議員に選出
    コーンウォールのペンリン・アンド・ファルマス選挙区から自由党所属の国会議員として選出。同党は後に英国の福祉国家の礎となる福祉改革を導入した。
  • 1901年、サリー・ハウス・ミュージアムが現在の場所に移転
    ホーニマン・ミュージアムとしてリニューアルオープン。
  • 1906年、70歳で逝去
    3月5日、ロンドンのハイドパーク・テラスにある自宅で息を引き取った。彼は最初の妻レベッカと共にカンバーウェル旧墓地に埋葬された。

Travel Information ※2026年8月16日現在

Horniman Museum & Gardens

100 London Rd, Forest Hill, London SE23 3PQ
www.horniman.ac.uk

【最寄駅】Forest Hill

【開館時間】10:00~17:30

【庭園開園時間】7:15(日・祝日8:00)~20:30

【入場料】
▶博物館・庭園 … 無料
▶水族館 … 大人 £5.70、子ども £3.10
▶バタフライ・ハウス … 大人 £8.70、子ども £5.70
▶Voyage to the Deep … 大人 £8.60、子ども £6.20(※11月11日(日)までの期間限定展示)

Horniman Gardens Gate
Horniman Gardens Gate. Horniman Museum and Gardens
JEMCA
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J Moriyama
ジャパンサービス
らいすワインショップ
Atelier Theory
奈美デンタルクリニック
Toptour

週刊ジャーニー No.1457(2026年8月20日)掲載