王室の歴史とドラマに出会える
ハンプトン・コート宮殿 見所はココ!

© The Landmark Trust
ハンプトン・コート宮殿は、その起源を12世紀頃までさかのぼることができ、1529年にヘンリー8世が手にして以降、数々の君主に受け継がれてきた。18世紀後半になると君主が滞在することはなくなり、1839年にはヴィクトリア女王によって、宮殿の公開が始められた。当初は、一部の身分に限られていた(!)が、今ではチケットを購入すれば誰でも見学可能だ。
このコラムでは、5世紀にもおよぶ歴史ある宮殿の変貌とあわせて、見所を紹介したい。ただ、今回編集部の独断でポイントを3つにしぼったが、歴史の詰まった場所なので、見所は豊富にある。深く掘り下げれば下げるほどに、宮殿の歴史に隠されたドラマと出会うことになるだろう。これをヒントに宮殿内や庭園をそぞろ歩き、興味深い物語をひとつでも多く発見していただきたい。
見逃せないポイント その1
ヘンリー8世のアパートメント&キッチン

幽霊となって出没するとされる、ヘンリー8世の5番目の妃キャサリン・ハワード。© National Portrait Gallery, London/ 赤いレンガ造りが特徴的なエリア「ヘンリー8世のアパートメント」は、かつての宮殿の所有者だったトマス・ウルジー枢機卿と、同王の命により建てられた。下級官吏たちの食堂として使われたグレート・ホール(のちのジェームズ1世の時代には、シェークスピアがここで芝居を上演したこともある)や、チューダー朝様式の粋を集めた、最も壮麗な部分のひとつ「チャペル・ロイヤル」=写真左=などを見学できる。本文中で紹介した宿泊場所のひとつ「フィッシュ・コート」の位置する「ヘンリーズ・キッチン」も訪れたい必須ポイントだ。当時をリアルに再現するキッチン模型が展示され、耳を澄ませば音までも聞こえてくるという、こだわりの内容となっている。
ハンプトン・コート宮殿は、幽霊が出没するという噂でも有名だ。『出る』とされる場所もいくつかあげられているが、代表格は「ホーンテッド・ギャラリー」。不義を疑われ、処刑が確定していた、同王の5人目の妃キャサリン・ハワードが、王に直接弁明しようとするも、守衛に捕まり、同ギャラリーを引きずられていったと伝えられる。そのときの悲痛の叫びと彼女の魂が、処刑後も留まり続けているという。現代において、目撃情報はほとんどなくなったとされるが、ここで寒気を感じたり、気分が悪くなったりするなどの不調を訴える人は後を絶たないようだ。宮殿に控えている救急隊の出動件数の半数以上が、このギャラリーからといわれている。
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ウィリアム3世のアパートメントにある「キングズ・ステアケース」。© Historic Royal Palaces/newsteam.co.uk/ 1689年にウィリアム3世とメアリー2世が即位すると、同宮殿を当時としてはモダンなバロック様式に改築する決定がなされた。17世紀を代表する建築家で、セント・ポール大聖堂の再建を行ったことでも知られるクリストファー・レンが起用され、大規模な改築計画が進められた。しかし、フランスとの戦争により予算は大幅削減。加えて、1694年、メアリー2世の突然の逝去により、すべてを一新することは叶わなくなってしまった。
完成をみた一部が、現在は「ウィリアム3世のアパートメント」と呼ばれる建物だ。残念なことに1986年に上階のグレース・アンド・フェイバー・ホームで火災が発生し、同アパートメントでは被害総額が算定できない歴史的財産が失われた。しかし6年に及ぶ修復工事が行われたのを機に、ウィリアム3世の時代の内装を復元する計画が推し進められ、現在私たちの前に再び姿を現している。
天井までをも埋め尽くす壁画が印象的である豪華絢爛な階段「キングズ・ステアケース」から上の階へ進むと、謁見の間につながっている。部屋はいくつも連なり、進めば進むほど、入室できるのはより高貴な身分の者とされた。奥に進むにつれて贅沢になる内装に注目しながら歩いてみよう。
見逃せないポイント その3
幾何学式庭園の迷路
生垣で作られた迷路「メイズ」。© HRP。 宮殿内だけでなく、庭園も必見。噴水が美しい「グレート・ファウンテン・ガーデン」や、ウィリアム3世のプライベート・ガーデンを再現した「プリヴィ・ガーデン」、若かりし頃のヘンリー8世がゲームに熱中したという室内テニス場「ロイヤル・テニス・コート」(現在あるのは17世紀に再建されたもの。夏のみ公開)、17世紀にチャールズ2世のために掘られた、堂々たる運河「ロング・ウォーター」などが広がっている。
中でも、ウィリアム3世の命で植えられた「メイズ」(迷路)は、完成度の高さで知られている。幾何学模様に刈り込まれた、背の高い生垣を使った複雑な迷路が設けられているので、時間が許せば挑戦してみてはどうだろうか。
| 宮殿をさらに楽しむヒント |
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音声ガイドを借りると、さらなる知識が得られる。 ヘンリー8世のアパートメント、キッチン、ウィリアム3世のアパートメントの案内が、英語、フランス語、日本語など、9ヵ国語で収録されている。メイン・エントランスを抜け、ベース・コートと呼ばれる広場の左奥にあるインフォメーション・センターで借りることが可能。また、同センターでは、伝統的なベルベットのマント風クロークの貸し出しも行われている。宮殿内を羽織って歩けば、気分がより高まるに違いない。 ②『なりきり』ガイド・ツアーに参加しよう! ③イベントも目白押し! イベントも定期的に行われているため、訪れる日を決めるにあたってウェブサイトを確認すると、より充実した滞在となるだろう。現在は、来年3月までの特定の日程で、「ゴースト・ツアー」と題した、閉場後の夜の宮殿を歩くツアーが実施されている(27.50ポンド、12月開催分は完売)。また2014年1月1日までは、チューダー朝時代の料理を再現する実演ショーなども開催されている(料金は入場料に含まれている)。詳しくはウェブサイトにて。 ※www.hrp.org.uk/HamptonCourtPalace内の左下にある『What’s On』をクリックするとイベント内容を閲覧・検索することができる。 |



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