ワインにまつわる今月のトピック:夏におすすめのメニューとワイン

夏のフルーツたっぷりの伝統的デザート

英国らしからぬ暑い日が続いているが、今号でも引き続き夏ならではのおすすめのメニューと、それらに合うワインを取り上げたい。先月号でご紹介したストロベリー&クリームやイートン・メスの他に、もうひとつ、英国のこの時期ならではのストロベリー・デザートがある。サマー・プディングだ。

サマー・プディングは、まず、スライスした白パンを深いボウルの淵と底に、隙間のないように並べ、砂糖を加えて多少火を通して崩したベリー類とその果汁を、生果のベリーと一緒にそのボウルに詰め込む。次に、白パンで蓋をし、その上に重しをのせて一晩おいて作る。19世紀後半から作られている英国の伝統的なデザートだ。切り分けて生クリームをかけていただく。
ランチ、ディナーを問わず、また、バーベキューやピクニックといった屋外での食事にも華やぎを添えてくれる。このサマー・プディングには、ベリー香味が強く、甘さもそなえ持つブラケット・ダッキ・ロッソ・フリッツァンテ“ブライダ ”Brachetto d’Acqui, Rosso Frizzante, “Braida” 2025(タナーズTannersにて16.90ポンド)=写真右上=のような赤のスパークリング・ワインが最適。よく冷やして飲もう。

 


エリザベス女王とゆかりの深いチキン料理

通常の英国の8月といえばピクニック・シーズンだが、そんな時に必ず登場する英国の伝統的なチキン料理がある。コロネーション・チキンCoronation chickenだ。これは、ロンドンのコルドン・ブルー料理学校の校長らによって、1953年に行われたエリザベス2世女王戴冠式の晩餐会用に考案されたことから広まった。冷製チキンにカレー粉を加えたマヨネーズ、生クリームそしてアンズ・ジャムを混ぜた料理で、今では英国の夏に欠かせない料理として親しまれている。干しブドウ、または皮をむいた白ブドウを加えるなど、アレンジしたレシピも多い。メイン料理として供されるほか、サンドイッチの具材としても活躍してくれる。

コロネーション・チキンは強いカレー風味とアンズ・ジャムの甘味をあわせ持つので、重めでアンズやモモの風味を呈すニューワールド産ピノ・グリPinot Gris種、例えば南アフリカ産のシークレット・セラー、ピノ・グリSecret Cellar Pinot Grigio South Africa(ウェイトローズにて6.75ポンド)=写真右=を合わせたい。

 

温・冷どちらも美味のフランス発のメニュー

さて、ピクニックといえば、キッシュも定番料理のひとつ。キッシュは、もともとフランスのロレーヌ地方の郷土料理ながら、今日では世界中で愛されるようになっている。具材もほうれん草、チキン、ベーコン、オニオン、エビなど様々。英国では、サクサクのパイ生地に、ベーコン(またはラルドン)、生クリーム、グリエール・チーズGruyére cheeseで作るキッシュ=ロレーヌQuiche Lorraineの人気が高い。焼きたてを食べても冷たくしてもおいしい。

キッシュの塩気、クリーミーさにより、ライトからミディアム=ボディの滑らかな口当たりで、キリっとした酸味をもつ白ワインがよく合う。ウォルフバーガー、アルザス、ピノ・ブランWolfberger Alsace Pinot Blanc(ウェイトローズにて12.50ポンド)=写真右=の白ワインを提案したい。これもしっかり冷やしてからどうぞ。


週刊ジャーニー No.1457(2026年8月13日)掲載

ミヨコ・スティーブンソン Miyoko Stevenson

WSETディプロマ取得。Circle of Wine Writers会員。Chevalier du Tastevin(利き酒騎士)団員。Jurade de St-Emilion団員。Ordre des Coteaux de Champagne団員。国際日本酒利き酒師。The Guild of Freemen of the City of London会員。ワイン関連の訳書・著書あり。

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