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■ 第269話 ■お雇い外国人、儲かるぞ

▶「日本鉄道の恩人」と言われる英国人鉄道技師エドモンド・モレル。キングス・カレッジ・ロンドンで学んだ。21歳の時にハリエット・ウィンダーと結婚。その後ボルネオ等に赴き、石炭輸送鉄道の敷設に従事した。明治政府が新橋~横浜間に鉄道を走らせるにあたり技術主任に任命され1870年4月、29歳の時に夫人と共に横浜港に到着した。モレルには人材育成の任務も与えられた。日本全国に鉄道網を拡大していく。いつまでも西欧列強に線路を敷かせ、バカ高い中古機関車や客車を買わされる訳にはいかない。この時代の欧米商社の強欲さに比べたら歌舞伎町のぼったくりバーなんか可愛いもんだ。いつかは国産化。そのためにも今はお雇い外国人ウエルカム。

JFC
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ロンドン東京プロパティ
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サカイ引越センター
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▶富国強兵、殖産興業に邁進する明治政府。伊藤博文は焦っていた。なんせ幕末、長州ファイブの一人としてイギリスに密航。彼らが到着した1863年1月にロンドンで地下鉄が開業した。「こりゃ攘夷なんてやってる場合じゃねえ」になっちゃった。不平等条約を改正するためには日本も欧米並みの近代国家にしなくちゃという変な使命感を持ったらしい。明治元年から1900年までの32年間、日本に来たお雇い外国人は分かっているだけで8,367人。一番多いのがイギリス人で4,353人と全体の半数を超える。次いでフランス(1,578人)、ドイツ(1,223人)、アメリカ(1,213人)と続く。フランスは陸軍関係、アメリカは教員が多かった中、イギリス人の多くは政府工部省が招いた。今じゃ逆転しちゃった感じだけど、明治日本の夜明けにイギリスの技術力は不可欠だったということだ。明治日本の基礎を作ったのは欧米だったと言われても胸張って否定できないほどの人数。

エドモンド・モレル
エドモンド・モレルですが、何か?

▶エドモンド・モレルの給料を知ってボー然。月給850円。いや、高いのか安いのか分からん。そこで今でいう総理大臣だった太政大臣、三条実美の月給を見てみると800円。右大臣の岩倉具視は600円。他のお雇い外国人と比べてもモレルの給料は群を抜いて高額。それくらい明治政府は鉄道建設に力を入れていたということだ。それにしても高過ぎないか。歴史を理解するには想像力が必要だ。「寿司もラーメンも安くて美味しい、舞妓さんもポケモンも可愛い、桜も富士山もきれい、新幹線速い、ウォシュレット最高、コンビニ24時間営業で自販機多い。でもって円安」の日本ではない。「肉食文化がない、家屋が木と紙で出来てる、夏暑い冬寒い、ガイジン嫌いのサムライ残党にバッサリ切られる危険がある」。それが当時の日本。地位も身分も金もある立派な大人が行きたい国ではなかった。行きたがる人がいないから報酬は吊り上がり、必然的に若者か変わり者が多くなった。


▶新橋~横浜間の鉄道完成直前の1871年11月5日、モレルが30歳の若さで死んだ。初来日から1年半だった。結核だったとあるがよく分からない。さらに不可解なことがある。モレルが死んだ12時間後、妻のハリエットも死んだ。享年25。何らかの急性疾患だったというが詳細は不明。幕末明治の闇を感じるが変にミステリー仕立てにして面白おかしくするすることは故人への冒涜になりかねないからこれ以上は深追いしない。モレル夫妻は横浜の外国人墓地で仲良く眠っている。強引に近代化を急いだ日本。無理した分だけ色んなストーリーが隠れていそうだぜってな辺りで次号に続く。チャンネルはそのままだ。

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週刊ジャーニー No.1391(2025年5月1日)掲載

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