
■ 第272話 ■維新って前進? 後戻り?
▶明治維新。今さらだけど維新って何? 元は中国の書の中に出て来る言葉らしいけど、旧体制を抜本的に変えて新しい社会秩序を築くことを言うらしい。では英語で明治維新は何と言うか。「Meiji Restoration」。リストレーションとは「復元」で「王政復古」を指す。日本語だと明治は新しい時代が始まる印象。英語だと古い社会へ逆戻り。どっち? そもそも明治維新ってなんでレボリューション(革命)って言わないの? 明治維新は大衆参加型の暴力的変革じゃなかったので「革命」とは言わないらしい。ちぇ。
▶イギリスやフランスにも「ご一新」があった。イギリスの場合は清教徒革命から名誉革命に至るイギリス革命だ。絶対王政を推し進めたチャールズ1世は議会と対立。内戦に発展して敗れ、首を刎ねられた。王様がいなくなったイギリスは共和制っぽくなった。ところが王政を倒したオリバー・クロムウェルが独裁者になっちゃった。国民は「これじゃチャールズの時と一緒じゃん」と泣いた。それどころか娯楽ダメー、酒ダメー、深夜の外出ダメー、聖書読めー、子作り以外でエッチすなーと勤勉・禁欲押し付けたから国民の不満バクハツ。やがて「王様いた時の方が良かったー」になっちゃった。オリバー死んで息子が跡継いだけど「僕ムリ~」と自ら降りて王政復古。そのまま今の王室に繋がっている。全て17世紀のこと。ちなみにイングランド内戦では戦闘や処刑に飢餓、疫病などを加え18万~25万人が死んだと言われている。

▶フランス革命はもっと酷い。絶対王政で財政傾いたため聖職者や貴族階級にも課税。そのため反感買って王政倒され共和制が始まった。ところが民衆は貴族のやり方手ぬるいと暴れて王様の首チョン。「お前らも同罪じゃ~」と貴族も次々と処刑。国乱れてカリスマありってんでナポレオンが出て来て帝政となるもナポレオン敗れて王政復古。戻った王様、絶対王政に逆噴射。怒った民衆再び蜂起で七月革命に。王様退位でブルボン朝おしまい。共和制となるも再び国乱れ、ナポレオン3世登場で帝政アゲイン。ところがナポレオン3世がプロシアに敗れて国民ガックシ。再び共和制へ。フランスは19世紀を通して政体メリーゴーランド。ちなみに最初のフランス革命だけでも死者数は内戦や暴動、処刑、飢餓、疫病を含め25万~40万人と推定されている。アメリカの南北戦争では戦死と病死あわせて75万人が死んだ。歴史上、新しい国家の誕生や政体変化は大きな犠牲を伴うことが多い。
▶明治維新って鎌倉幕府から約700年も続いた武家政権が崩壊し、見たこともない西洋式立憲君主制に移行するという国家の一大事だったにも関わらずイギリスやフランスと比べると遥かに穏便に済んだ。しかも「新体制ダメじゃん。元に戻そうぜ!」という揺り戻しもほぼ起こらなかった。戊辰戦争での死者数は8,000~12,000人と英仏米と比べると割と穏やか。むしろその後に起こった西南の役など、士族反乱の方が4万人以上とより多くの死者を出した。明治維新、なんでこんなに上手くいったんだろってな辺りで次号に続く。チャンネルはそのままだ。
週刊ジャーニー No.1394(2025年5月22日)掲載
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