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■ 第285話 ■イランとイスラエル、なぜ憎みあう? 

▶ ウィリアム・ノックス・ダーシー。鉱山開発で財を成した英実業家。この男が次に狙いを定めたのはペルシャの石油だった。1901年、ダーシーは国王からペルシャ中部、および南部の石油開発利権を獲得した。内容はペルシャ全土の石油開発権を60年間イギリスに独占的に与える、見返りとして純利益の16%をペルシャに渡すというイギリスに都合の良いもの。ペルシャ国王は石油の潜在的価値を理解しておらず、目の前に積まれた金に目が眩んだ。このように多くの無垢な途上国が悪い白人たちのカモにされた。7年後、油田が見つかった。しかし資金繰りが厳しくなり、ダーシーはパリのロスチャイルド家に接近。すると英政府が「石油をロスチャイルドに渡すな」と介入。1909年、アングロ・ペルージャン石油会社が設立された。現在のBPだ。

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▶石炭から石油へとエネルギーの舵が大きく切られた時代。アングロ・ペルージャンはペルシャの石油採掘でボロ儲け。利益は年10億ドル。しかしペルシャに渡されたのはわずか8000万ドル。ほとんど泥棒、ほとんど詐欺。だってイギリスだもの。1935年、ペルシャは国号をイランに改めた。1950年、米アラムコがサウジアラビアと「50:50」の利益分配契約を締結。これを知ったイランは「うちと違うじゃん」と激おこ。イギリスは「まあまあまあ」と「50:50」を提案したがイラン首相モサデグは耳を貸さず、なかば強引に石油産業の国有化に踏み切った。

ホメイニ師
イラン革命を指導したホメイニ師ですが、何か?

▶中東での影響力が低下していたイギリスは米大統領アイゼンハワーに相談。「このモサデグってのはとんでもない独裁者で、後ろにはロシアがついている。共産化しちゃうかも。潰そうぜ」と誘った。やがてイランで軍部クーデターが起き、モサデグ失脚。クーデターを裏で演出したのは英MI6と米CIA。この政権転覆劇は「アジャックス作戦」と呼ばれる。英米のお家芸「言うこと聞かないならレジーム・チェンジ(体制の転換)」がここでも炸裂。こうしてイランの抵抗はわずか3年ほどで終了。その後に誕生したパフレヴィー朝はまるで別の国。テヘランなどは西洋化の象徴とされ、ミニスカートの若い女性が街を闊歩。ラジオからはビートルズやハードロックが流れ、ハリウッド映画が人気。ホテルやレストランでの飲酒もOK。英米やイスラエルと緊密な関係を築いた。親欧米、親イスラエルの傀儡国家が誕生した。


▶あまりに急激な西洋化はイラン指導者たちの目に「堕落」と映り、反米感情フツフツ。1978年、イランで革命が起こった。全国各地で反政府デモが拡大。パフレヴィー国王が国外脱出。シーア派最高指導者のホメイニ師が亡命先フランスから帰国しイスラム共和国樹立を宣言した。1979年末にはテヘランで米大使館占拠事件が発生。アメリカとの外交関係は壊滅した。以来、イランはアメリカを「悪の根源」、イスラエルを「パレスチナ人を抑圧するシオニスト国家」と位置づけ敵とみなし続けている。アメリカはイランを「敵対的国家」、イスラエルは「国家存亡への脅威」と位置付けている。米大使館占拠はやり過ぎだったと思うけどこの100年を振り返ってイラン側に悪いところ、ある?「人の家の石油を盗んでいたら見つかったので逆ギレ」にしか見えない。石油と英米露に振り回され続けたイラン。なので昨今のイスラエルとの対立ではどうしてもイラン寄りになって見てしまうのよね、ってな辺りで次号に続く。チャンネルはそのままだ。

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週刊ジャーニー No.1407(2025年8月21日)掲載

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