gudaguda_title.jpg

■ 第177話 ■ゲットーって、何?

▶ゲットーは主にユダヤ人を強制的に押し込んだ居住区を言う。ゲットーと聞くとナチスを連想しがちだけど、ゲットーはナチスが考案したものではない。元々ユダヤ人は祖国を失って離散し、流れ着いた先の国に同化することは稀。ユダヤ人だけで寄り集まって暮らすのが普通だった。なので強制か自発的かは別として古代ローマの頃からユダヤ人居住区はヨーロッパやアジアの至る所に存在した。11世紀、十字軍の遠征が始まるとユダヤ人は「キリスト殺し」を理由に迫害の対象となった。14世紀にペストが大流行すると「ユダヤ人が井戸に毒を撒いた」というデマが広まり虐殺の対象となった。しかしこの頃のユダヤ人居住区はまだゲットーとは呼ばれていない。

TK Trading
Centre People
ロンドン東京プロパティ
Dr Ito Clinic
早稲田アカデミー
サカイ引越センター
JOBAロンドン校
Koyanagi

▶初めてゲットーと言う言葉が登場するのはヴェネチアだ。13世紀初めころ、神聖ローマ帝国からユダヤ人がヴェネチア共和国に流れ込んで来た。彼らはここで東方から運ばれて来る香辛料などを西欧に流す仲介業をして利益を上げた。ヴェネチア政府はサンマルコ広場の目の前にある小さな島にユダヤ人を強制移住させた。島はユダヤ人居住区を意味するジュデッカ島(Giudecca)と名付けられた。長崎の出島に似ている。政府はユダヤ人に帽子を被り、黄色いバッチを付けることを義務付けた。商才に長けたユダヤ人から特別税を徴収することでヴェネチアは大いに栄えた。1516年、ジュデッカ島が手狭になったためヴェネチア本島外れにあった鋳造所跡に居住地を作り、ここにユダヤ人を移住させた。鋳造所はヴェネチア語でゲットー(Getto)といった。

ロスチャイルドが住んでいた家
フランクフルトでロスチャイルドが住んでいた家ですが、何か?

▶神聖ローマ帝国のフランクフルトにも12世紀頃ユダヤ人が移住してきた。彼らは両替商などで財を成した。皇帝や領主は懐が寂しくなるとちょっと脅すだけで現金が引き出せた。都合の良いATMとなることでユダヤ人は庇護された。彼らもまた壁に囲まれ、扉に鍵がかけられた居住区に押し込められた。フランクフルトのユダヤ人居住区は政情不安になる度にキリスト教徒の襲撃を受け、財産を強奪されたり虐殺されたりした。18世紀、このフランクフルトのゲットーで生まれたのがマイアー・アムシェル・ロスチャイルドだ。妻は20人の子を産んだ。そのうち10人が夭逝。残ったのは男子5人、女子5人。男子5人はロンドンやパリなど5都市に散って銀行業を始めた。ロスチャイルド家大躍進の始まりだ。

JEMCA
Kyo Service
J Moriyama
ジャパンサービス
らいすワインショップ
Atelier Theory
奈美デンタルクリニック
Toptour

▶ヨーロッパのユダヤ人はほとんどの国で迫害を受けた。家を、財産を奪われても「知識」だけは奪えない。「英知」さえあれば必ず復活できる。なので彼らは今も学びを欠かさない。アメリカが独立した。ユダヤ人たちは信仰の自由を謳うアメリカを目指した。夢にまで見た宗教的迫害のない世界。ところが彼らは自らゲットーを作って閉じこもった。なんで? ユダヤ人は他者と同化せず1ヵ所に集まる。ご近所皆同胞なら怪しまれずに情報交換するのも簡単だ。ナチス登場前のゲットーとはユダヤ人封じ込めの一面もある一方で、ユダヤ人自衛のための砦でもあった。日露戦争中、日本の国債を引き受けた大物銀行家ジェイコブ・シフは渡米前、フランクフルトのゲットーでロスチャイルド家と一つ屋根の下に住んでいた。シフはバクー油田利権絡みでロシアを敵に回したくないロスチャイルドの指示で代わりに日本国債引き受けに動いたという説が有力だ。ゲットーも奥が深い。ってなこって次号に続くぜ。チャンネルはそのままだ。

週刊ジャーニー No.1299(2023年7月13日)掲載

他のグダグダ雑記帳を読む
ロンドンおすすめレストラン
面白すぎる英国ジョーク
なるほど英国Q&A
ロンドン近郊トラベルガイド
ロンドン最新トレンド
面白すぎる英国史
面白すぎる英国の偉人
ロンドンでアフタヌーンティー