
■ 第176話 ■ワシントンの「DC」って何?
▶オランダの植民地だったニューアムステルダムをイングランドが横取りしてニューヨークと改名した。1664年のことだ。イングランドはたちまちマンハッタン島全土を制圧。オランダ人が来た頃、マンハッタン島には5000人ほどの先住民族がいたが、1700年頃までにはわずか200人程度に減っていた。減っていたって、減らされたんだけどね。オランダ総督だったストイフェサントはユダヤ人の入植を嫌々認めたが公職に就くことを禁じた。ユダヤ人はビーバーなどの毛皮貿易を始めた。その後、植民地の主人はイングランドに替わったが、ユダヤ人の滞在は引き続き許された。なんせヨーロッパ各国で迫害を受け、散りぢりになったお陰でクモの巣のように細かなネットワークを持つユダヤ人。どこで誰が何を欲し、どこの誰が何を持っているかといった情報を同胞間で緊密にやり取りしていた。
▶新品の衣料販売を禁じられると古着を扱う商売を始めて稼いだ。古着を組織的に扱った世界で最初の例と言われる。さらに屑物を集めて再販する、いわゆるリサイクル業を始めて財を成す者も現れた。どんなに虐げられても必ず活路を見出してのし上がって来るユダヤ人。いつの間にかニューヨークは彼ら抜きでは経済が立ちいかないほどになっていた。ニューヨークはアメリカ最大の貿易港となった。全ての道はニューヨークに通じた。

▶アメリカ独立戦争が勃発した。1775年から1783年まで続いたイギリス本国とアメリカ13植民地との戦争だけど、本来どっちもイギリス人。イングランドから渡って来た人たちは100年を経て、ゆっくりとアメリカ人になっていった。イギリスとアメリカが戦争を始めるとマンハッタン島は大激戦地となった。この間、ユダヤ人はフィラデルフィアに避難。ニューヨークは英軍の軍事的、政治的拠点となり1783年に戦争が終結するまでイギリスの支配下に置かれた。アメリカが勝利すると疎開していたユダヤ人は戻り、やがてニューヨークはアメリカの首都となった。しかし現在のアメリカの首都はワシントンDC。そもそもDCって何? デザイナーズ・コレクション?
▶イギリスをやっつけたアメリカ。「みんなが力を合わせれば怖いものなんかない。これからも仲良くやっていこうぜ」とはならなかった。奴隷を酷使して収穫した綿花をイギリスに売りたい南部は自由貿易を望んだ。産業革命到来で米国製機械を国内で売りたい北部の商工業者は保護貿易を望んだ。北部と南部の亀裂が大きくなった。南北戦争の火種だ。アメリカの「州」はアメリカ合衆国を構成する「国家」。南部諸州から「首都が特定の州にあるのは不公平だ。ましてや11番目に出来た新参者植民地、それも北部のニューヨークが首都なんてケシカラン」ってんで1800年、メリーランド州とヴァージニア州が領土の一部を割譲。ニューヨークより遥かに南部寄り、ポトマック川河畔の何もない原っぱが新首都に決まった。ワシントンDCの誕生だ。DCはコロンビア特別区(District of Colombia)の頭文字で連邦直轄地、つまりどこの州にも属さない中立地を意味する。コロンビアとはもちろんコロンブス由来。ということでニューヨークから邪魔くさい政治・行政機能が出て行った。ユダヤ人たちはこの遷都を喜び、ニューヨークを密かに「新エルサレム」と呼んだ。ニューヨークがユダヤ人の街になっていく。ってなところで次号に続く。チャンネルはそのままだぜ。
参考:ヘンリー・フォード著「国際ユダヤ人」
週刊ジャーニー No.1298(2023年7月6日)掲載
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