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■ 第102話 ■英王室に向かって接近はじめ~

▼地熱を語っては下を見ろ、太陽語っては上を向けと読者にやたら首の運動を強いた年末年始も過去となった。少し前後するが話をロスチャイルドに戻そう。フランクフルトのロスチャイルド家から5人の息子たちがヨーロッパ各地に送り込まれた。最も成功する3男ネイサンがマンチェスターに辿り着いたのは1798年のこと。弱冠21歳だった。綿製品の貿易で荒稼ぎしたネイサンは稼いだ大金と共に1804年、ロンドンに移動。その翌年、イギリスはナポレオン率いるフランス軍をトラファルガー海戦で撃破した。ネイサンはイギリスがナポレオンにとどめを刺す4年前の1811年にN・M・ロスチャイルド&サンズという銀行を立ち上げていた。そしてイギリスがワーテルローの戦いに勝利した情報を独自ルートでゲットすると英国債を売りまくった。その動きを見た周囲はイギリスが負けたと思い込み、一斉に英国債を売った。底値となったところでネイサンは英国債を根こそぎ買い戻した。イギリス勝利の知らせが議会に届くと英国債は大暴騰。ネイサンは莫大な利益を上げた。

▼この時、英国王はジョージ3世だった。ただしこの頃、王は精神を患い統治能力を失っていたため1811年以降は王太子ジョージが摂政(リージェント)を務めていた。この状態はジョージ3世が崩御し、王太子が即位してジョージ4世となる1820年まで続いた。ジョージ3世、4世がいる以上、1世、2世もいる。英王室にそれまでいなかったジョージ王が登場するのは1714年のことだ。アン女王が継嗣を残さないまま崩御。スチュアート家は断絶した。カトリック勢力の復活を望まない議会はプロテスタントの血筋を探した。そこで遠~くスチュアート家の血を引き、新教徒であったゾフィーという女性に辿り着いた。ゾフィーはドイツのハノーヴァー選帝侯に嫁いでいた。アン女王崩御時、ゾフィーも既に死去していたため、イギリスはゾフィーの長男ゲオルク・ルートヴィヒをジョージ1世として迎えた。ジョージはゲオルクの英語読みだ。

太陽
ドイツ血筋のジョージ3世ですが、何か?

▼ヘンリー8世が強引に創始した英国国教会だが、それ以降もカトリック勢力と何度も血で血を洗う抗争を繰り広げてきた。ゲオルクの招聘はせっかくローマ教皇から離脱したイギリスが再びカトリックに回帰しないための苦肉の策だったが、これが思わぬ副産物をもたらした。英国王ジョージ1世はハノーヴァー選帝侯も兼ねた。ドイツ人のジョージ1世は英語を解さず、イギリスの治世にあまり興味を示さず初代英首相となるウォルポールに「イッヒ・フンバルト・よろしくね」と丸投げし、頻繁にハノーヴァーに里帰りしたため英国民の不興を買った。こうして英王は「君臨するけど統治はしない」存在となった。そして議会の多数派が内閣を組織し、議会に対して責任を持つという近代的な責任内閣制が始まった。議会は「生活は保証するから政務は議会と話し合いの上でやってね~」と王室が独走・暴走しやすい専制権の封殺を図った。

▼ハノーヴァー朝誕生により英王室はドイツ系となった。ジョージ3世になってようやくイギリス生まれの国王が誕生。堅物で倹約家のジョージ3世に反発した王太子は度を超えた女好き&浪費家野郎に成長した。英王室はこの時、廃人同然となった現役王とドラ息子摂政というヤバい状況にあった。ネイサンはこの放蕩息子に巧みに接近する。次号、王太子ジョージに迫る。チャンネルはそのままだぜ。

週刊ジャーニー No.1222(2021年1月13日)掲載

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