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■ 第45話 ■イエズス会の本当の狙い

▼確かこの連載が始まったのは今年の1月頃だった。当初は「イギリスのメシはなぜ残念?」の追求を目的としていた。ところがコロナのせいで脱線し、そのまま暴走を続けている。もはや個人ブログのようになってしまい、最近は読んでいる人がいるのかどうかも分からん。しかし個人的にとても勉強になっているのでしばしわが道を行く。ごめんね。

▼イエズス会のこと、まだ続く。ザビエル以降、イエズス会は様々な宣教師を日本に送り込んできた。宣教師には超ざっくり分けて2種類のタイプがいた。1種類目はザビエルや、コスメ・デ・トーレスのように日本人の気質や文化を尊重したソフト路線派。ポルトガルは中南米や香料諸島等、世界各地で先住民を殺戮し文明を破壊し尽くして植民地化したが、日本ではそれをやらなかった。やれなかった。だって彼らが来日した頃の日本はまさに戦国時代。切れ味抜群の長い刃物を腰にぶらさげたおっかないサムライ連中がワッサワッサ歩いていた。おまけに自分たちが持ち込んだ火縄銃もあっという間にコピーしたうえ大量生産して実戦配備していた。そんな国、他にある? 世界各地で進撃中だったポルトガル人がヨーロッパ以外で初めて出くわした知的な強豪国だった。ザビエルやトーレスらは日本の文化を尊重し、肉食もやめて日本式に暮らす「適応主義」を採用した。そうすることで戦乱の世で荒んだ農民の心の隙間に巧みに入り込んで信者を増やしつつ、大名らには南蛮貿易のうまみをちらつかせて入信を促した。

ヴァリニャーノ
ヴァリニャーノですけど、何か?

▼宣教師2種類目。高齢となったトーレスの交代要員としてインドのゴアからやってきたフランシスコ・カブラルという司祭は全く逆のハード路線派だった。と言うかポルトガルやスペインが他の植民地に送り込んだ典型的な征服者タイプの不遜なヤベェ奴。この男は軍人あがりの白人至上主義者。来日するや否や「なにヌルイことやってんの? こういう低能な連中(日本人)には黙って優れたヨーロッパの文化を教えてやるのが一番だっちゅーの」とソフト路線派が時間をかけて育んできた「適応主義」をバッサリ。許しがたいゴミ野郎だが今でも多いぞ、こういう白人。

▼ちょっと脱線。1980年代後半から90年代初めのバブルの時、ロンドンにもカブラルタイプの日本人駐在員、結構いた。当時イギリスは「老大国」とか「斜陽の国」とか揶揄されていた。サッチャーさんが鬼の形相で国有企業の民営化や金融システム改革、組合の弱体化を叫んでイギリスの経済再建に取り組んでいた。バブルに浮かれた日本人の中には勘違い君もいっぱいいた。カラオケではアルマーニのスーツ着て「24時間働けますか!」を熱唱し、イギリス人のことを「毛唐」と呼んで上から目線で小馬鹿にする姿もよく見かけた。バブルが弾けた途端、みんな塩かけたナメクジみたいにちっちゃくなっちゃった。脱線終了。

▼そのカブラル。マカオから視察に来た上司アレッサンドロ・ヴァリニャーノと布教のやり方を巡って激突し、素行不良で解任された。こう書くと「適応主義」派の司祭らが善人に思えて来る。しかしアプローチがソフトかハードかの違いだけで、ポルトガルの狙いはただひとつ、日本人をキリスト教化した後に植民地にすることだった。そしてイエズス会とはその先遣隊だった。こわいよー。震えながら次号につづく。チャンネルはそのままだぜ。

週刊ジャーニー No.1165(2020年11月26日)掲載

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