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ホンネで語る!英国の出産事情★第4回★出産後について

ホンネで語る!
英国の出産事情

4

出産後について

英国で妊娠したら―。国際結婚をして英国で暮らす日本人女性たちの生の声を聞くべく、3名の主婦による座談会を開催。「妊娠が分かったら」「妊娠中」「出産」「出産後」をテーマに、熱く語っていただいた(全4回シリーズ)。
※全発言はあくまで個人の体験にもとづくものです。疑問点、不安に思われる点については必ず医療専門家にご相談ください。
参加者のプロフィール
Aさん (39歳)/在英6年。
夫は英国人。子どもは女の子2人(6歳と10歳)。ロンドン在住。
Bさん (48歳)/在英20年。
夫はイタリア人。子どもは男の子2人(15歳と16歳)。ロンドン在住。
Cさん (45歳)/在英18年。
シングルマザー、元夫は英国人。子どもは男の子1人(12歳)。ベッドフォードシャー在住。

積極的に外に出ることが大切

― 出産後のケアはいかがですか?

C
退院後3日程でミッドワイフ(助産師)が家に来てくれました。母乳や子育ての相談にのってくれるんです。
B
うちは1週間後くらいでしたね。
C
その後はヘルス・ビジター(巡回保健師)が何度か訪問してくれました。産後6週間でGP(地元の担当医)の検診があって、それで問題がなければ、産後のケアはとりあえず終了です。
B
私は毎週、ベビー・クリニックにも行ってました。体重測定とか、予防注射のお知らせとか、育児の情報がもらえます。
A
上の子がいると忙しくて、ベビー・クリニックに行く余裕はなかったのですが、その代わりに上の子どものプレイ・グループで、同様に下の子どもを出産したばかりのお母さんと仲良くなりましたね。
B
私が入っていたプレママ・グループは産後も集まってたんです。離乳食の話を聞いたり、先生を呼んでベビーマッサージの講習をしたり。ベビー・スイミングにも行きました。

― ママ友は必要ですか?

ABC
必要です!
C
産後は体内のホルモン・バランスがぐちゃぐちゃですから、ひとりでは鬱(うつ)になりやすいようです。
B
何かあった時に話せる人がいないと、気持ちがおかしくなりますよね。
A
育児の小さな悩みを共有するだけで全然違います。海外に住む私たちの場合、産後の鬱にホームシックも重なりますから。

― 英語と日本語、どちらのママ友がおすすめですか?

B
幸運にも、私のプレママ・グループには日本人が2人もいて、そこから日本人グループの輪が広がったので、日英両方のママ友がいました。
A
ただでさえ、情緒が不安定な時だし、英語で話すグループでは余計なストレスになるかもしれませんね。
C
私は、産後2ヵ月で引っ越したんですが、ここのヘルス・ビジターさんが友達作りに積極的で、近くの日本人ママを紹介してくれました。情報交換ができるようになって、気持ちも楽になったし、世界も広がりましたね。英語でも構わなかったけれど、日本語で話せる人がいて良かったとも思います。
A
子どもがいるっていう共通項があるから友達にもなりやすいですよね。
C
3ヵ月くらいまで子どもの寝つきが悪くて悩んでいたんですが「コリック(今回のキーワード参照)がひどくって」とママ友に愚痴るだけで、気が紛れました。
A
それで思い出しましたが、こちらには、ティージング(今回のキーワード参照)という言葉もありますよね。
B
そうそう、赤ちゃんの不快感を表す言葉…。
A
英国人のお母さんたちは子どもがぐずると、とにかく乳歯のせいにして、ティージング用のジェルを子どもの歯 茎に塗りたくるので、見慣れないうちはびっくりしました(苦笑)。

1人目を日本で、
2人目を北ロンドンのWhittington病院で
出産したAさん。

日英の要素をバランスよく取り入れることが海外出産のコツ

― しばらくは外出は控えましたか?

C
英国人は産んだ直後から普通に動けるらしくて! 出産翌日にスーパーに買い物に行く人もいるそうです。体の作りや体力が違うんでしょうか。
A
日本では昔から、産後1ヵ月は家で安静にするように言われてますよね。でもこちらでは産後1週間のミッドワイフの訪問で「ずっと家にいた」と言ったら、「コーヒーくらい、飲みに出かけなさい!」って助言されました。生後1週間の赤ちゃんを外で連れ回すなんて、日本では考えられなかったですね。
B
私も、「外に出なさい」ってあまりにも言われるので産後6日で外出したのですが、道で出会ったインド系の人には驚かれました。インドの習慣でも産後は家の中にいるものなんですよね。

北ロンドンのWhittington病院で出産し、
後にベッドフォードシャーへ移ったCさん。

― 中国系の人もそうらしいですね。

B
多分、人種によって違うんでしょう。
C
産んでからすぐに出かけるのは英国人だけかも(苦笑)?
A
日本では母子の両方を守る意味で外出を控えるのでしょうね。でも、私は上の子のナーサリー(保育所)への送り迎えの為に産後10日で出かけてましたが、自分も子どもも平気でした。11月で大雪が降ってましたけど(笑)。

― 逆に、日本が少し過保護なのかもしれませんね。

A
話は変わりますが、子連れ外出で、スリ被害に遭ったことがあるんです。
BC
ええ~!
A
バスの車内で、バギー(編集部注:英国では「プッシュチェア」と呼ぶのが一般的)に引っ掛けていたバッグから携帯電話を盗まれたんです。後から乗ってきた3人連れの女性のひとりが「赤ちゃん、可愛いわね」って話しかけてきたんですが、それに答えていた時に仲間が盗んだんでしょうね。バギーにかけた荷物は要注意です。
B
赤ちゃん連れでの外出では荷物が多いですからね。

― 出生届はいつ出すのでしょう?

C
出産後42日以内にレジスター・オフィス(今回のキーワード参照)に届け出て、バース・サーティフィケイト(今回のキーワード参照)をもらい、それから、日本大使館に届けます。
B
日本のパスポートはファースト・ネームとミドル・ネームが全部、中黒点なしで繋がっちゃうんですよ。私はそれが嫌で英国パスポートはフルネームですが、日本パスポートにはファースト・ネームだけを使っています。
A
うちもそうですね。

― 日本から親に来てもらえるなら、最も助けが必要なのはいつでしょう?

B
産んだ後です!
A
産むまでは体が重いだけで、特に手伝ってもらうこともないですし。
C
私は、出産予定日の1週間後に来てもらいました。航空券の予約もあるので早めに日程を決めたんですが、出産が遅れたらインデュース(今回のキーワード参照)をすることになると聞いていたので、予定日を基準にしました。でも、もう少し早く来てもらっても良かったかも。
B
私は親には来てもらっていませんが、確かに、出産後は大変で。下の子の時は上の子を近所のチャイルドマインダーに預けたり、週2日の私立ナーサリーに行かせたりしました。

母乳神話にしばられない

― 育児グッズは買い揃えましたか?

C
脳内が女性ホルモンで溢れているから、いろんなものが欲しくなるんですよ(笑)。
A
後で考えたら不要だったものもたくさん! 母乳を温める器具とか。哺乳瓶を消毒する煮沸器具とか。
B
あれは要らない! でも、買いました…。
A
こちらの衛生観念は緩いですから。おしゃぶりが床に落ちても、服で軽く拭いて終わり。子どもが公園の砂場で遊んだ手でそのままイチゴを掴んで食べていても平気。おかげで子どもは雑菌に強くなりますよね。
B
最初は気を遣ってなんでも消毒しましたが、2番目の時はなにもやってません。元気に育ちます(笑)。
C
私は、母乳にこだわって、かなり頑張ったんです。でも、もう少しフレキシブルに粉ミルクを併用しても良かったかなと、今では思うのですけれど。
B
偉い。母乳を飲ませると抵抗力がつくって言われていますからね。
A
英国では紙パックの赤ちゃん用ミルクが楽ですよ。日本ではまだ認可されていないんですが…。液体で、そのまま哺乳瓶に移せばいいだけだから、旅行時なんかに便利なんです。新生児用から年齢に合わせてあるはずです。
B
私は、上の子が泣き止まない理由がお乳の量不足とわかった時、頭の整理のために、育児日記をつけ始めました。ミルクを何ミリ飲んだとか、何ミリ残したとか。あれが生涯で初めての日記です。
C
ああ、私もやってました!
B
次の子の時は途中で終わりましたけど(笑)。でも、2度目の育児で前回のことが思い出せて、助かりました。

出産は北ロンドンのRoyal Free病院だったというBさん。
1人目の時につけた育児日記は、
2人目の出産のときに大いに役立ったと同時に、
のちのち良い思い出になったという。
今回のキーワード
■コリック colic…子どもがぐずって、泣きやまない症状。原因ははっきりせず、多説があるが、お腹にガスが溜まってごろごろする不快感のせいというのが有力。
■ティージング teething…乳歯が生え始めると、その痛みで子どもがむずかる。
■バース・サーティフィケイト Birth Certificate… 出生証明書
■レジスター・オフィス register office… 登記所
■インデュース induce… 陣痛誘発。予定日を大幅に超えると胎児への影響が心配な為、人工的に誘発する。

「英国の出産事情」4回シリーズは今回で終了となります。今後のテーマを募集中。

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