中世から500年の歴史を誇る“秘密の園”

1 Herb Garden 
2 Tennis Court
3 Wisteria Walk
4 Orchard
5 Herbaceous Borders
6 Croquet Lawn
7 Rose Pergola
8 Late Summer Border

9 Azalea Beds
10 Duchess Seat View
11 Vegetable Garden
12 Ponds
13 The Avenue
14 Bog Garden
15 Yew Seat
16 Gardeners' Compound
(見学者立ち入り禁止)
17 Lime Arbour
18 Glasshouses
(見学者立ち入り禁止)
19 Bluebell Walk
20 Patte D'oie (goose foot)
21 Mirabelle Walk

 

ノールには、ケント産スレートの石壁と鉄柵に囲まれたウォールド・ガーデン(Walled Garden)がある。ノールはすべてがナショナル・トラスト管理下にあるわけではなく、この庭も実のところ、サックヴィル卿の個人庭園なのだが、4月から9月までは毎週火曜日限定で一般にも公開されている。

シャクナゲ(ロードデンドロンrhododendron)、ツツジ(アザレアazalea)、フジ(ウィステリアwisteria)の花などが5月末から6月にかけて競うように咲く様は圧巻。もちろん、それ以外の時期も四季折々の美しさが楽しめるものの、来年になって、もし訪問時期を選べるなら、ノール邸に電話し、シャクナゲなどが咲いているか確認してから出かけることをお勧めしたい。

このウォールド・ガーデンは、500年以上も昔、ブーシェ大司教の頃に作られたという長い歴史を持つ庭で、全体の広さは26エーカー(10.6ヘクタール)。ウォールド・ガーデンとしてはおそらく、英国で最も広いと考えられている。また、ハーブガーデン近くの石壁に沿って伸びるフジの木も、中国を除けばおそらく最も長さがあるとされ、樹齢は150歳から200歳と見られている。

英国邸宅における庭は庭造りの流行の変化に伴い代わり続けるものだが、ノールの庭は、幾何学模様に刈り込んだ中にハーブを植えるチューダー様式のノット・ガーデンなど、昔ながらの貴族の庭の風情をかなり残しているという。刈り込みの間に野菜が植えられていたりするところが個人が所有する庭園らしい。こうした芝や花壇、トピアリー、果樹園といった英国庭園らしいエリアがある一方で、自然の風情を残したウィルダネス(Wilderness)と呼ばれるエリアが16エーカー(6.5ヘクタール)も占めている。

なんとなく歩いているだけでは見逃すエリアも多く、自分がどこにいるかわからなくなることもあるだろう。庭には、ダッチェス・シート(Duchess Seat)、ユー・シート(Yew Seat)など、ひとつひとつ名前がつけられたベンチが11個あり、そこに座ることでそれぞれ異なる趣きの景色が楽しめるようになっている。庭に入る際に渡されるラミネート仕様の庭園地図には点在する11のベンチの位置(地図上~I)が示されているので、各ベンチを探しながら歩けば、庭全体をまんべんなくカバーできる。
また、壁添いに歩いて、鉄柵の間からケントの緑豊かな遠景を楽しむこともできる。特に南側からの景色は見事。

庭でどれぐらいの時間が過ごせるかにより、訪れるエリアを絞ると良いだろう。

庭全体…過ごせるなら1日中でもいたい、と思う人もいるだろうが、普通に見てまわった場合、所要時間は1時間~1時間半を見込んでおきたい。広すぎず(疲れすぎない)、それでいて、手のこんだ庭園部分と、野生の森の中にいるような感覚に陥る部分の両方が楽しめ、「よく考えられた庭」だと感心。
イースト・ローン(East Lawns)から池方面へ(North Wilderness and ponds)…ベンチG(これは必見!)=写真下=をめざして往復。所要20分程度。

イースト・ローン、池方面から、さらにセントラル・ウィルダネスをまわる…ベンチGからボグ・ガーデン(Bog Garden=bogは湿地のこと) まで足をのばす。所要40分程度。

オーナメンタル・ガーデンズ(Ornamental Gardens)のみ…ウィルダネス部分には足を運ばず、西半分のみを鑑賞。所要20分程度。

権力の歴史を示す『Showrooms』

© National Trust Images 第二次世界大戦の終結後、個人での管理が難しくなり、1946年、第4代サックヴィル卿の代からノールはナショナル・トラストに委ねられた。現在も、第7代当主ロバート氏をはじめとするサックヴィル=ウェスト家の人々が住んでいるものの、建物の一部と庭が一般に公開されている。

ノール邸内で見学できる部分は「showrooms」(陳列室)と呼ばれている。まさに、権力を見せつける(show)ための部屋といえる。「こんな家が自宅という一族もいるのだなぁ」と、改めて英国の階級社会の奥深さと英国名門貴族のスケールを感じさせてくれるはず。

入り口から入って最初の部屋、グレート・ホール(Great Hall)=写真=でまず目に付くのは、天井近くまで高さのある間仕切りと、その上でサックヴィル家の紋章を支えるヒョウ(leopard)。その両脇にはさらに、彫像のヒョウが紋章を守るように座っている。このヒョウはサックヴィル家の守り神のように、大階段の手すりから壁面、ステンドグラスまで、ノールのあちこちに登場する。外に出ても、ノールの屋根のいたるところにヒョウの石像が鎮座しているのが見えるだろう。

Travel Information ※2014年6月16日現在

ノール邸 Knole
【住所】
Sevenoaks, Kent, TN15 0RP
Tel: 01732 462 100 www.nationaltrust.org.uk/knole

 

【オープン時間】
時期によって異なるが、夏のピーク時でも次のように限られている。お出かけ前に必ずホームページでご確認を。
Showrooms(邸宅内) 月曜日以外(月曜日は休館)12:00 - 16:00
Garden 毎週火曜日のみ 11:00 - 16:00

【入場料】ナショナル・トラスト会員は無料
寄付金込みの「Gift Aid」と「Standard」があり、「Standard, please」と言わないと、勝手に「Gift Aid」の料金を課されることがあるので注意。( )内は「Standard」料金。また、駐車料金は4ポンド(ナショナル・トラスト会員は無料)。
Showroomsのみ Showrooms及びGarden
大人 £11.50(£10.40) 大人 £14.00(£12.60)
子供 £5.75(£5.20) 子供 £7.00(£6.30)

Showrooms及びgarden
大人 £14.00(£12.60)
子供 £7.00(£6.30)

【アクセス】
車なら、M25からA21を経て1時間30分程度。電車でなら、チャリング・クロスから最寄のセブンオークスSevenoaks駅まで最速30分(各駅停車に乗ると、1時間近くかかるので注意)、そこからタクシーで8分ほど(7ポンド程度)。駅から歩けない距離ではないが、行きは上り坂が続くのでお勧めしない。帰りは下り坂で、徒歩35分。夏期は、駅などをめぐるバスが運行される。(1時間に1便/1日券 2ポンド)