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■ 第154話 ■いつだって「スペア」は大変

▶2人の妻や政敵の首を刎ねまくったため血も涙もない怪物王の印象があるヘンリー8世。元々は次男坊、即ちハリー王子同様スペアだった。カトリックの熱烈な支持者でプロテスタントには否定的。しかし最初の妻との離婚騒動でローマ教皇と対立。イングランド国教会を作り自らトップの座に就いてローマ教皇に破門されたけど、カトリックの教義自体に不満なし。なのでイングランド国教会、最初の頃の教義はカトリックとほぼ一緒だった。

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▶ヘンリーは身長186センチの大男だったけど何か良くないことが起こると「神に祝福されてないの?」「これって呪い?」と気に病む繊細な男子だった。兄と父王が病で急死。そのため17歳で即位し兄の未亡人と結婚したヘンリー。自分にはスペアがいない。早く世継ぎを作らなきゃ。しかしいくら頑張っても男児が出来ない、育たない。「この結婚、神は祝福してないの?」「呪いなの?」。結局45歳までに出来たのは女児2人のみ。イングランドで女王が君臨した過去はなし。分家出身で立場の弱いチューダー家、女児じゃダメなの。女王だと婿の家族や親せきなど、上昇志向の脂ぎった連中が宮廷に押し寄せ再びイングランドが荒れちゃうかもなの。正室の子だけが継承可で愛人の子は不可。当時の決まりやルール、それが故の焦りを理解しないとヘンリー8世が6人の妻を取っ替え引っ替えした真の理由は見えて来ない。単に女好きなら愛人囲えば済む話。

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ヘンリー8世6人の妻、勢揃いですが、何か?

▶兄嫁だったキャサリンは7回妊娠したが育ったのはメアリーのみ。高齢となり妊娠が厳しくなると棄てられた。2番目の妻アンは女児を産んだ後、何度か妊娠したがいずれも流産。そのうち謀略に巻き込まれ30代半ばで処刑された。3番目の妻ジェーン・シーモア。身分は低かったが従順で多産の家系であることを見込まれ愛人から王妃に昇格。期待に応え皇太子エドワードを出産。ヘンリーは46歳にしてようやく嫡男ゲット。すぐにスペアを作る必要があった。しかしジェーンは産後6日目、産褥熱で死んじゃった。享年29。あちゃ~。

▶しばし喪に服すヘンリーだったが周囲の動きは迅速だった。スペア生産用としてドイツから4番目の妃、アンを迎えた。ところが新妻、風呂知らず。体臭きつくてヘンリーの下半身動かざること山の如し。もう男としては死火山なのかと諦めかけたヘンリー。ところが宮廷で踊る美しい十代、キャサリン・ハワードを一目見て下半身大噴火。活火山だった。早速ドイツ人妻を離縁しキャサリンを5番目の妻に据え猛然とスペア作りに励んだ。ヘンリー49歳。体重180キロ。長患いの足の潰瘍が肉の腐ったような悪臭を発した。若いキャサリン、腐臭漂う超ヘビー級老王にたまらず若いイケメンと危険な情事。すぐバレて斬首刑。美しいが愚かで気の毒な娘だった。享年19。

▶6番目の妻に選んだのは2人の夫と死別歴のある未亡人キャサリン・パー。あれだけこだわった王妃の処女性どこ行った? もはやスペアは諦めたかラスト王妃はほぼ介護人兼よしよし係。それから数年でヘンリー没。6人と結婚するもヘンリーは皇太子エドワードのスペア作りに失敗。「エドワード1人で大丈夫かなぁ」と心配しながらヘンリーは逝った。不安は的中。9歳で即位したエドワード6世は15歳の時、未婚のまま突然逝った。遂に男子が途絶えたチューダー朝。国家存亡の危機。あと少しだけ英王室がスペアにこだわる様子をグダグダ語っちゃう。チャンネルはそのままだぜ。

週刊ジャーニー No.1275(2023年1月26日)掲載

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