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■ 第153話 ■ヘンリー8世もスペアだぜ

▶ハリー(ヘンリー)王子の自伝「スペア」が発売された。イギリスでは電子書籍等あわせ初日だけで40万部売れた。過去にこれ以上売れたのは「ハリー・ポッター」のみ。ハリーのワンツーだ。故エリザベス女王発のスキャンダルが少なかったため英王室に好印象を抱いている人も多いかもしれない。しかし英王室の歴史はスキャンダルの百貨店通り越して醜聞何でもありのアマゾン状態。ハリー王子なんか無知で世間知らずで甘ったれなだけで昔のドロドロ宮廷と比べたら可愛さチワワ級。かつては王室でなくても貴族や資産家のもとに生まれたら長男以外の男子はスペア。スペアは辛酸ペロペロ舐めた。女子は政略結婚というチェスの駒。強烈な家父長制の下、女房子どもはほぼ、家長の私的所有物だった。

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▶イングランド史上、最も分かりやすいスペアと言えばヘンリー8世だ。彼にはアーサーという4歳上の兄がいた。父ヘンリー7世はバラ戦争でヨーク家のリチャード3世を破り、30年続いた内戦を終わらせてチューダー朝を開いた人。しかし本家プランタジネット家の分家ランカスター家の出身だったため、各方面から「スペア家系のくせに~」と陰口叩かれ、王位の座は極めて脆弱だった。そこでヨーク家出身の妻エリザベスの出産予定日が近づくとキャメロット王国があったとされるウィンチェスターに王妃を移して出産させ、生まれた男児をアーサーと名付けた。ヘンリー7世の死後、アーサーが即位すれば本物のアーサー王が誕生する。伝説に乗っかって箔つける最強シナリオ。ところが皇太子アーサーは15歳の時、疫病に感染してコロッと死んじゃった。

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▶アーサーは新婚だった。大国スペインの王女で新妻のキャサリンは新婚わずか4ヵ月半、16歳で未亡人となった。スペイン国王夫妻はヘンリー7世に持参金と娘の返還を要求。莫大な持参金を返したくなかったヘンリー7世、妻が先立っていたのをいいことに「僕じゃダメすか?」と立候補したがスペイン母に「ジジイ何考えとんじゃ!」と一喝されショボン。そしたらその横で「僕じゃダメすか?」と手を挙げている11歳のハナ垂れ小僧がいた。次男ヘンリーだ。筆者も次男だからよく分かる。弟って兄の持ってるもの、何でも欲しくなるのよね。

▶スペアだったヘンリーは帝王学を授けられることもなく放任状態で伸び伸び育った。王様の子が放置されるとどんな人間になるか。大体ろくでもない人間に育つ。ヘンリーも立派なろくでなしに成長した。兄嫁との結婚が認められないまま7年の歳月が流れたある日、父逝去。兄嫁キャサリン23歳、色香爆発。18歳直前で国王となったヘンリーの下半身は暴発寸前。2人は周囲ガン無視で結婚。兄嫁に手を出すのはユダヤ教でもキリスト教でもご法度。「だからスペアは…」と周囲もローマ教皇も呆れたけど小僧とはいえ王様に逆らうのは危険。結局全員「ま、いっか」になっちゃった。「ま、いっか」は妥協のしるし。妥協は今も昔もロクな結果を生まない。7人の子を宿しながら女児メアリーしか産まなかったキャサリンは子が産めなくなると宮廷を追われた。その後ヘンリーは5人の妻を娶ったが2番目と5番目は色々あって斬首刑。結局6回の結婚で出来た男児はエドワードただ1人。効率悪過ぎ。何としてもスペアが欲しい。ところがヘンリー、高齢で生殖機能閉店ガラガラ。どうするヘンリー? てなこって次号に続く。下ネタ炸裂だけどチャンネルはそのままだぜ。

週刊ジャーニー No.1274(2023年1月19日)掲載

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