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■ 第90話 ■3SのSって、なあに?

▼3S政策ってご存知?戦後GHQが日本占領を進めるにあたって密かに基本原則とした3R、5Dの補助的政策だと言われている。3RとはRevenge(復讐)Reform(改組)Revive(復活)。5DはDisarmament(武装解除)Demilitarization(非軍国主義化) Disindustrialization(工業生産力無力化) Decentralization(非中央集権化) Democratization(民主化)。しかしこれだけだと日本国民の間で不満が爆発する恐れがあるということで3Sが補足されたのだという。3SとはScreen(映画)Sports(スポーツ)Sex(風俗)を指す。いわゆるガス抜き政策だ。

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▼真偽のほどは定かではない。しかし戦後は洋画が怒涛の如く日本に押し寄せた。スクリーンはテレビとなって一般家庭にも入り込んだ。中断されていたプロ野球も戦後、あっという間に復活した。力道山が外人レスラーを空手チョップでやっつける姿に国民は熱狂した。賭け事はいかんと言いながら競馬競輪競艇オートレースは公認された。売春もいかんと言いながらあらゆるタイプのピンクビジネスが乱立した。敗戦国の割に娯楽溢れる国になった。60年から70年台にかけて安保闘争が巻き起こり、過激派によるテロも発生したが、いつしか日本人は大人しくなった。激論を交わし合う憂国の学生は消え、酒の席で政治や経済などの話をするヤツは野暮だと煙たがられた。それもこれも3S政策の狙い通りなの?

▼「パンとサーカス」。これはローマの風刺詩人ユウェナリスが古代ローマ社会の世相をおちょくって使った表現だ。パンは権力者から無料で提供される食事を意味し、サーカスはサーキット、つまりレース場を指す。映画『ベンハー』や『スターウォーズ』にも登場した楕円形のレース場で数々の競技が催された。食事や娯楽を提供し続けることで市民を政治的無関心にさせて不満から目を逸らさせようという、いわゆる愚民化政策だ。私だって寿司やふぐをご馳走してくれてキャバクラにも連れて行ってくれる上司だったら多少の不正には目をつむる。だって愚民だもの。「パンとサーカス」は社会的堕落の象徴と言われ、ローマ帝国没落の一因となったと言われる。3S政策もまた愚民化政策とされる。日本もやられちゃったのかな。これまで生きて来た人生が、実は誰かの利益のために都合よく仕組まれた枠の中にあったと想像するとちょっと悔しい。

ユウェナリス
ユウェナリスですが、何か?

▼その3S政策が今、4Sになりつつある気がする。第4のSとはSNS、またはスマホだ。先日、フェイスブック(FB)のプロダクト・マネージャーだった女性が米公聴会に出席し「FBは子どもたちに害を及ぼし、分断を助長し、民主主義を弱体化させている。是正する機会があったのに天文学的数字の広告収入に目がくらみ問題を封印してきた」と同社を厳しく糾弾した。FBはインスタグラムやワッツアップなども運営する巨大企業だ。SNSに投稿される同年代の子の写真や動画を見た少女たちが我が身と比べて自己嫌悪に陥り、鬱になったり自殺したりするケースが後を絶たない。自社の製品が誰かを傷つけたり、死に追いやる欠陥があると知りつつ利益を優先して改善を怠るって他の業界なら打ち首獄門ものだ。SNSは確かに有益だが、同時に危険もいっぱい潜んでいる。賢く使っていると思ったら実は便利に利用されていたなんて悲喜劇もよくある話。知らないうちに誰かの利益や思惑のために望まないダンスを踊らされる愚民人生だけは避けたいものだ、と力んだところで次号に続く。チャンネルはそのままだぜ。

週刊ジャーニー No.1211(2021年10月21日)掲載

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