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■ 第32話 ■
世界は2国のためにある

▼本稿は本来、巷で囁かれる「イギリス飯マズイ説」粉砕を目的として始まった。ところが3月にロックダウンに突入し、さらに「黒人の命は大切」運動が拡散したことで脱線が続いている。脱線に次ぐ脱線を繰り返しているうちに気が付けば「奴隷の歴史」という別のレールに乗っかっちゃった。2月末には書き上げていた「マズ飯の元凶、アングル人とサクソン人到着」の話は一体どこ行った? 知らん。奴隷の話、もうしばらく続く。

▼ヨーロッパで茶や砂糖、チョコレートの需要が高まったことにより、大量の黒人がアフリカから中南米やカリブ海に売られて行ったことは既に述べた。ではなぜ北米にも黒人が沢山いるのか。それを知るためには再びコロンブス以降のヨーロッパに目を向けなくてはならない。ヨーロッパを脱して最初に大洋に漕ぎ出したのはスペインより先にイスラム勢力を駆逐したポルトガルだ。ポルトガルは南北と東の三方を大国スペインに包囲される小さな国で唯一拡張できるのは西に広がる大西洋だけ。強大化するスペインに押し出されるように大西洋に漕ぎ出した。喜望峰を越えてインドへの航路を開拓し、アジアから大量の物資を持ち帰って巨万の富を得た。やがてスペインもレコンキスタ(国土回復)を終えて海洋に出てきた。1494年、2国は大西洋でぶつかった。そこで両者は話し合い、大西洋上に縦の線(西経46度37分)を引き「この線から東側はポルトガル優先。西側はスペイン優先ってことにしようぜ、アミーゴ」と勝手に取り決め、ローマ教皇もこれを追認した。トルデシリャス条約と呼ばれる。ポルトガルとスペインは地球を2つに分け、両国で分割統治する権利を勝手に決めた。ブラジルを除く中南米の国々がスペイン語を母国語とするのは分割線が大西洋上に引かれたためだ。ブラジルだけはこの条約以前にポルトガルが抑えていたためポルトガル語圏として残った。

▼厄介なことが起った。マゼラン隊が地球を一周して帰って来た。それまでも「どうやら地球って丸いらしいぜ」という噂はあったがマゼラン隊がこれを実証しちゃった。地球は丸い。それの一体何が厄介なのか。インドや中国を通り越してさらに東進を狙うポルトガル。一方アメリカ大陸を通り越し、太平洋を西進するスペイン。地球が丸い以上、両者は必ず再び激突する。事実、正面衝突が起こった。ナツメグやクローブと言うヨーロッパで人気のスパイスが採れる香料諸島(現インドネシア)の取り合いとなった。そこで1529年、両者は再び話し合い、「もう一本、線を引こうぜ、アミーゴ」という結論に達し、スペイン側の妥協もあって東経133度付近に新たな線を引いた。これがサラゴサ条約だ。この時に定められた境界線は日本列島を東西に二分する辺りを走っていた。そのため鉄砲伝来を皮切りに日本を巡って両国がバチバチの利権争いを展開することになる。大迷惑だっちゅーの。

▼隣国の習主席は2013年、米オバマ前大統領に「太平洋には中国と米国を受け入れる十分な空間がある」と言い、ハワイを境に太平洋を米中で分ける太平洋分割統治論をブチ上げて世界を「はあ?」と呆れさせた。日本列島ガチ無視の妄想だ。500年経ってもまだこんなことを考える国がある。怒りと恐怖に小鳥のようにプルプル震えながら次号に続くぜ。チャンネルはそのままだぜ。

週刊ジャーニー No.1152(2020年8月27日)掲載

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