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■ 第19話 ■
ロックダウン第2 章へ

▼イギリスがロックダウンされて 丸まる2ヵ月が過ぎた。幸いグル メではないので外食できずとも何 とか耐えている。刑務所と違って 家での飲酒は自由なのでさほど苦 しみは感じていない。飲食は何と かなるけど散髪はどうもならん。 美容室の再開が遅れればもうすぐ私は落ち武者になり、そしてレゲエになる。

▼今月半ばからロックダウンの一部が緩和された。私も2 ヵ月ぶ りにゴルフを満喫した。翌日は筋 肉痛に苦しんだ。この2ヵ月の間 に体重は4キロ増えた。そのほとんどが腹部に集中している。日ごろ食べているステーキはせいぜい250 グラム程度。4キロの肉の塊見たらきっと気を失う。そんな肉(脂)が腹部についちまった。私は生まれた時の体重が4080グラム だった。心無い看護師が母子手帳 に「巨大児」と書き込んだ。「一生残るのに」と母はむせび泣いた。その巨大児と同じ4キロが今、私の お腹にいる。母の苦労を今知った。

▼5月20日夕刻、ロンドン中心部を歩いてみた。ロックダウンが緩和される中、気温も上昇したた め多くの人が出歩いていた。馴染みのイタリア料理店をのぞいてみた。照明もつけていない暗い店内にオーナーのジョバンニがいた。ナポリ出身の陽気な人だ。突出して美味しい訳ではないが親日家で、黙っていてもパスタをアルデンテに茹でて出してくれる。静かに時を過ごしたい時によく行く。

▼ガラス窓を叩くと人懐こいジョ バンニが笑顔で飛び出して来てく れた。4月末から奥さんと2人だけでテイクアウエー(持ち帰り)を始めたという。ついでにパスタや小麦粉など、乾物の販売も始めた。家賃の減免が叶わず、黙っていてもお金が出ていくだけなので少しでも足しになればという背景があるようだ。しかし思ったより売り上げが伸びるわけもなく苦戦 しているという。

▼英政府が発表したロックダウン解除の青写真。レストランやパブなどの再開は最も遅い部類の7月以降と言われている。しかも以前通りという訳にはいかない。当分の間はソーシャル・ディスタンシングが求められるようでテーブル とテーブルの間隔はたっぷりと取らなければならない。ジョバンニの店では店内はテーブルが4つ。天気が許せば店外にさらに2人掛 けテーブル少々。最大でも20席ほどの許容量での再開となりそう だという。これは通常時の半分以下。雨が降り、店外のテーブルが使えなければ当然席数も減る。そんな状態が長引けば経営は早い段階で行き詰まるかもしれない。

▼このまま行けばロックダウンの解除は近い。しかしそれはウイルスとの闘いの「第1章」が終わるに過ぎない。ロックダウンが終わると、次に待っているのは様々な 制限付きでの事業再開、つまりリハビリテーション期となる「第2章」が始まる。幼少期に足首を骨 折したことがある。骨が固まるまでは肉体的な苦痛があったが、リハビリは身体が思ったように動いてくれないという精神的苦痛があった。骨折は時と共に治るが、 事業主が負った経済的損失を癒すのは簡単なことではない。耐えられない事業者も出てくるだろう。心配だ。普通は希望が見える気の利いた一言を残して終えるもんらしいが、今は何言っても嘘くさく 響くのでやめておきつつ次号に続いちゃう。チャンネルはそのままだぜ。

週刊ジャーニー No.1139(2020年5月28日)掲載

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