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■ 第18話 ■
神様来たりてホラを吹く

▼丑三つ時。ふと目を覚ますと部屋の片隅にロン毛の痩せた老人が立っている。ホームレスか? 老人はコワイ顔してこちらを睨んでいる。「誰?」と尋ねると「この星を創った者である」という。「神様?」と聞くと「お前たちがワシを何と呼んでいるのかは知らん。この宇宙やこの星を創った者だ」。そりゃどう考えても神様だ。「ちょうどいい。今、この星はひどいことになっている。爺さん、何とかしてくれ。飲みにも行けん」。私は人類を代表して神に頼んでみた。ロン毛は言った。「ワシャ巡回すべき星が星の数ほどあって忙しい。この星に来るのは久しぶりだ。確かに予想以上にひどいことになっている」。

▼私は部屋にあった地球儀の中国を指さして言った。「突然このあたりから変なのが出てきたと思ったらあっという間に世界中に広がって、今じゃとんでもない事態になっちまった」。老人は私から地球儀を取り上げて言った。「違う。発生源はここだ」。ロン毛が指さしたのはアフリカ大陸だった。「いや、そこで発生したのはエボラ出血熱やエイズ。今回のコロナはこっちだ」。「エボラ? エイズ? 一体何のことだ。お前たちの祖先を創って置いたのはここだと言っている」。老人は相変わらずアフリカ大陸を指さす。「何だよ、お前たちの祖先って? 俺は今、倍々ゲームで増殖を続け、世界中に蔓延している恐ろしい奴らの話をしているんだぜ」。「ワシも今、この星で大増殖し全ての動植物の存続を脅かしている恐ろしい猿の末裔の話をしている」。

▼「猿の末裔? 人類のこと? なんか話が噛み合ってないな。夢だからか? 人類はむしろ今、一方的に攻撃されている可哀そうな犠牲者なんだぜ」。「ぷっ」。神が笑った。「勝手な言い草だ。大昔にワシが創ったお前たちの祖先、猿どもの一派がいつの間にかワシの許可なく二足歩行を始め、道具や火や言葉を操る怪しげな存在に変異しよった。おまけに大変な勢いで増殖を続け今ではその個体数70億と、ワシが設定した上限の1000倍以上に増えておる。それどころか未だに増殖を止めん。70億の胃を満たすためにワシが創った他の可愛い動植物たちを勝手に囲い込み、改良して養殖し食い散らかしておる。さらにワシが地中深く埋めて隠しておいた各種鉱物を勝手に掘り起こしては溶かして固め、自然界にないものを作り始めた。可燃性の危険な液体や気体までをも掘り出して大気を、大地を、そして海をも汚染しておる。ワシが置いた緑豊かな森もほぼほぼ消滅しておる。動植物各界からお前たち猿の末裔がこれ以上暴走しないよう、厳罰を与えてくれと窓口に大量の苦情と嘆願書が届いておる」。

▼「爺さんあんた、我々人類こそが他の動植物にとってウイルスのように厄介で迷惑な存在だということを言いたいのか? 今回のウイルスは人類へのお仕置きということであんたがばらまいたってことか?」。ロン毛は何も答えず、一瞬不敵な笑みを浮かべたかと思うとやがて漆黒の闇の中に溶けていった。

▼さーて、紙面も尽きたのでここら辺で目を覚ましたことにしよっと。夢ってことにすれば何でも根拠なく言えちゃう。便利だな。ということで薄っぺらいグダグダ雑記帳は妄想まで加わってまだまだ続く。チャンネルはそのままだぜ。

週刊ジャーニー No.1138(2020年5月21日)掲載