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■ 第14話 ■
ハーメルンの笛吹き男

▼「ハーメルンの笛吹き男」という伝承がある。グリム童話にもなっているからご存知の方も多いはずだ。ハーメルンとはドイツに実在する街だ。1284年、ハーメルンでネズミが大量発生し農作物を食い荒らすなどして住民を困らせていた。ある日、町に色鮮やかな衣装をまとった男が現れ「報酬をくれるなら私がネズミを退治しましょう」と申し出る。市長らはもしも1匹残らず片付けてくれたら1000ギルダーを払うと約束する。

▼男は懐から取り出した笛を高らかに吹きながら町を歩き始めた。すると町中のネズミが集まり、男の後をついて行った。男は町の外れを流れるウェーザー川まで行き、そのまま川へと入って行った。男に続いて川に入ったネズミたちは全て溺れ死んだ。男が報酬を要求すると市長たちは知らんぷり。怒った男はそのまま姿を消した。ところが6月26日の朝、男は町に戻ってきた。男はネズミを退治した時同様、笛を高らかに吹き始めた。すると家の中から130人の子供たちが出てきて男の後をついて行った。町を出て山のほら穴の中に入ると入り口が内側から岩で塞がれ、男も子どもたちも2度と戻ってくることはなかった。

▼「ヘンゼルとグレーテル」「白雪姫」「赤ずきん」。どれをとってもグリム童話ってちょっと怖い。こんなん寝る前に聞かされてスヤスヤ眠る子どもって相当な鈍感か、末は博士か大臣級の大物だ。

▼イギリスは3月24日からロックダウンされた日々が続いている。この号が世に出る4月23日も都市封鎖は間違いなく続いている。経済は停止したままだ。英政府はこの間、従業員を解雇しないでくれたら給与の8割(上限2500ポンド)を保証するという大胆な救済策を打ち出した。ファーロウ・リーブ(furlough leave)と言われるもので、自宅待機とか一時帰休と訳されるものだ。パブやレストランなど有無を言わさず閉鎖させられたビジネスが対象となるのは分かりやすい。しかしビミョーに継続可能なビジネスの場合、救済があるかないかは不透明。あっても色々条件が付きそうで不安。「ちゃんと国が面倒みるから解雇するなよ」と約束しておきながら、いざコロナ騒動が終息した時点で「いやいやいや、君たちは対象外」と資金繰りに苦しむ経営者をハーメルンじゃないかと高度なシャレ付きで心配している人も多い。もしも嵌(はめ)るんなら経営者たちは黙っていない。その時は高らかに笛を吹きながら街中を練り歩くことになるのだろう。

▼ちなみに「ハーメルンの笛吹き男」。実際に1284年に同市で起った130人の子供たちの失踪事件がモデルになっている。未だに子どもたちがどこに消えたのか分かっていないんだって。やっぱ怖いぞ、グリム童話。そんなこんなで長引くコロナ禍の中、本題から逸脱したまま次号に続く。チャンネルはそのまま。

週刊ジャーニー No.1134(2020年4月23日)掲載

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