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■ 第9話 ■
ゲルマン民族最強説

▼前回、ゲルマン民族はネアンデルタール人の末裔ではないかと書いた。専門家の先生たちが誰もそう言っていないのでたぶん違うのだろう。シクシク。ゲルマン民族とは今のデンマークやスカンジナビア、ドイツ北部あたりにいた民族だ。地理的にも気候的にも決して恵まれた土地とは言えない場所で牧畜や農耕を営んでいた。ゲルマン民族は初めケルト人から圧迫を受けていたがいつしか逆にケルト人の土地に侵入するようになっていた。しかし4世紀後半になるとフン族が襲来し西に向かって逃げ出す者が続出した。ゲルマン民族大移動の始まりだ。ゲルマン系のアングル人もサクソン人も5世紀にはローマ軍が引き上げた後のブリテン島に到着。以降、アングロサクソン国家を築いていく。

▼イギリス、ドイツ、オランダ、オーストリア、オーストラリア、ニュージーランド、そしてアメリカ。これらは全てゲルマン系に分類される人たちが国民の多数、もしくは中枢を占める国だ。共通点がある。食事だ。代表的な料理はローストビーフ、ソーセージ、ハム、ベーコン、シュニッツェル、ステーキ、ハンバーガー。要は肉さえあれば何とかなる人たちで、お世辞にもグルメ国家とは言いづらい国ばかり。暗がりでいきなり刺されるかもしれないから内緒だよ。

▼15世紀終わり頃から始まった大航海時代。先駆けたポルトガルやスペインに次いで大洋に漕ぎ出したのがオランダ。ちょっと遅れてイングランドだ。中南米やインド洋への船旅は当時、数カ月から数年を要した。その間、船団はほとんど寄港することなく飢えや嵐、病気と闘いながら洋上を走り続ける。食事は豆や二度焼きしてカチカチに固めたパン(別名ビスケット)に塩漬け肉など。飲み物はワインやエールだった。乗組員の健康管理も労働基準法もオール無視。パワハラ、モラハラ当たり前のウルトラ劣悪な環境だった。しかし家督を継がせてもらえない次男以下や、一攫千金狙いのヤバイ連中が多かったから耐え難きを耐え、忍び難きを忍んだ。

▼陸に上がれば動物を捕まえて食べた。残りは塩漬けにして船に積んだ。世界中ほぼどこでも肉は現地調達できた。肥沃とは言えない土地に長年押し込められていた彼らには厳しい環境と粗食に対する耐性が備わっていた。だから彼らは世界を制覇できたと考える。「私、美食家なの」「オラ米食わねえと力出ねぇだよ」など食い物の好悪を語る民族では世界も宇宙も制覇できない。最近はイギリスも健康志向が高まってきたが、かつてのゲルマン民族は肉さえあればハッピハッピー。これにビールがつきゃハピピのピー。だからこそイギリスは七つの海を制覇できた。たぶん。きっと。反論が怖いから言い切らないけどね。

▼イギリスの食事がなぜ「まずい」と評されるのかを調べていたら「食事とは栄養補給である。ゲルマン民族最強!」に辿り着いちゃった。次回、さらにイギリス料理を浅~く掘っていく。チャンネルはそのまま。

肉さえあればハッピハッピー

週刊ジャーニー No.1129(2020年3月19日)掲載

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