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■ 第6話 ■
ヨーロッパは深い森だった

▼かつてアルプス山脈以北のヨーロッパはほとんどが深い森に覆われていた。赤ずきんちゃんもヘンゼルとグレーテルも3匹の子ブタも、白雪姫も7人の小人も、み~んなこの森の中の物語。紀元前1500年くらいに中央ヨーロッパでケルト人が勢力を拡大し始め、その後1000年くらいかけてイベリア半島やブリテン島を含むヨーロッパ広域に拡散した。ケルト人とはギリシャ人らが山の向こう側にいる「気性の荒い蛮族」と恐れて呼んだ俗称で、ケルト人が自らケルト人と呼んでいた訳ではない。さらにケルト人と言っても色んな種族がいたようで、偉い先生たちはケルト人と呼ばずにケルト系と呼んでいる。ジャーニーはちっとも偉くないので分かりやすさを優先してケルト人と呼んじゃう。

▼ちなみにキリスト教の影響を受ける前のケルト人の宗教は多神教で輪廻転生と霊魂の不滅を信じていた。つまり彼らの死生観とは、死んでもまた生まれ変わるというものだった。なので「死んでどうなるの。死んだら何もかも終わりなのよ」と叫んでいる人より死を恐れない。死を恐れない人間ほどタチの悪いものはない。相撲でもラグビーでも死を恐れない人間とはやりたくない。絶対勝てない気がする。ギリシャ人が恐れたのもこの部分だった。

▼文字もほとんど使わず、一見野蛮に見えるケルト人だが実際は高度な文化も携えていた。鉄製の戦車を駆り好戦的だったが農業の達人でもあった。森で豚を育てた。一方でケルト人たちは森をどんどん切り拓いて農地や牧草地を作った。そこで主に穀物を育てた。秋が終わりエサとなるドングリなどが枯渇すると豚が餓死する前に屠殺し、塩漬けにしてハムやベーコンを作って越冬した。

ケルト人のザックリ分布図

▼ブリテン島やアイルランド島に渡ったケルト人を偉い先生たちは島のケルト人と呼んで大陸のケルト人と分けて考えている。ブリテン島に渡ったケルト人はやはり樫や楡、樺の木で覆われた森林を開墾。比較的温暖なブリテン島南部で穀物を育てた。自分たちの食い扶持以上の収穫をあげ、地下サイロに穀物を保存。大陸のケルト人にこれらを売るか物々交換していた。ちなみに最近日本でも大きなムーブメントになっているハロウィンはこのケルト人らが先祖の霊に混じってやって来る悪霊を追い払う宗教的な意味合いを持つ儀式だった。一体何をどう間違えたら仮装した酔っ払いが暴れて車をひっくり返す日になっちゃうの? ケルト文化への冒涜だ。

▼長らく大陸で、そしてブリテン島やアイルランド島で権勢を誇っていたケルト人だったが、平穏な日々はいつまでも続かない。やがて風呂好きな奴らが海を越えてブリテン島にやって来る。強大な軍事力、そして様々な食材と共に。再びイギリスが美味しくなるチャンスがやって来た。ヤッホーイ!もったいつけて次回につづく。チャンネルはそのまま。

週刊ジャーニー No.1126(2020年2月27日)掲載

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