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■ 第3話 ■
イギリス料理がまずいだと?-その3-

▼今から2~3千万年くらい前、北上してきたアフリカ大陸がヨーロッパにゆっくり衝突した。初めはがっぷり四つでゴリゴリに押し合っていても、やがてどちらかが押し負けて大地がめくれ上がる。これがヨーロッパ側で起った。陸地が海抜4000メートルを超える高さにまで隆起した。造山運動という奴だ。ざっくり過ぎるけど、まあこんなんでアルプス山脈が出来た。ハイジはここでヨ~ロレイッヒ~と元気に育つ。この東西に長い山脈はそれまで比較的平坦だったヨーロッパの気候風土に大きな変化をもたらした。

▼アルプス山脈ができたことで山脈以北のヨーロッパは南からの暖かな空気が遮断されて寒くなった。気温が下がったことで棲息する動植物も変化した。ギリシャやイタリアなど、温暖な地中海沿岸の地域にはオリーブがたわわに実った。人々はこれを絞って油を作った。夏にはブドウが実をつけ、ワインが作られた。小麦が育ちパンが作られた。一方アルプス山脈以北側で寒冷となったヨーロッパ北部では動物からラードをとり、大麦からビールを作った。ライ麦や大麦を挽いてパンを焼いた。イギリスの食事がなぜ評判がよろしくないかを語るために私はアフリカ大陸まで動かしてしまった。どうだ、大袈裟だろう。

写真はスイスのマッターホルン。本文とは特に関係ないけど何となくかっこいいので採用した。

▼オリーブも良質のブドウもならないのだから仕方がない。北部ヨーロッパやブリテン島の人たちはラードや大麦などを使って食事を作った。オリーブオイルやワインを使って生まれるレシピとは当然異なる料理が完成する。どちらが美味しいかを語っているのではない。「同じヨーロッパなのに、どうしてこうも食べるものが違うの?」と問われれば「ヨーロッパは同じじゃないからだ」と答えるしかない。

▼余談の上乗せとなるが、アフリカがヨーロッパに衝突したのと同じ頃、東側では北上してきたインドがアジアに衝突してヒマラヤ山脈が誕生した。8千メートル級の山脈が誕生したことでアジアにも大規模な気候の変動が生じた。日本列島はそれ以前、西からまともに偏西風を受けてもっと乾いた国土だったと言われる。ところがある日、日本の遥か西の知らない所に巨大山脈が勝手にできた。偏西風は山脈に衝突して南下。その後インド洋上で温められた上、海から蒸発した水分をたっぷり含んだ状態で日本列島に流れ込むようになった。それ以降、日本はかつてより温暖多雨となり、列島に棲息する動植物に多大な影響を与えた。昔NHKスペシャルでやっていたからきっと正しい。

▼イギリスの料理がなぜこんなことになっちまったのか、その理由に全然近づけないまま薄っぺらい話は次回につづく。チャンネルはそのまま。

週刊ジャーニー No.1123(2020年2月6日)掲載

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