ぶらりんぐロンドン

ジャーニー編集部がロンドンの街をぶらりとレポート

リーズ近郊の世界遺産の村、ソルテアに行ってきた

秋篠宮家の次女・佳子さまがリーズ大学に留学し、最近日本でも話題となったリーズ。そのリーズ近郊にある、日本ではあまり知られていない世界遺産の村「Saltaire(ソルテア)」に行ってきました。

ソルテアは、産業革命の時代に毛織物で栄えたリーズ近郊の街、ブラッドフォードに位置します。革新的な企業家、タイタス・ソルト卿によって1851年に誕生した村で、巨大な繊維工場(ソルツ・ミル)と、その工場に勤める労働者たちが暮らす「モデル・ヴィレッジ」で構成されています。2001年には、ソルツ・ミルおよびモデル・ヴィレッジを含むソルテア一帯が、世界文化遺産に登録されました。

ソルテアという地名は、創業者であるタイタス・ソルトの「ソルト(Salt)」と、この地を流れる「エア川 (Aire)」を組み合わせて名づけられました。その名前から、塩関連の施設と勘違いする人も多いようです。タイタス・ソルトは元々ヨークシャーで5つの工場を経営していましたが、それらを移転・集約して事業の効率化を計り、さらに労働者たちの生活環境を向上させるさせるために、住居や学校など、生活に必要なすべてのものを整えた一大モデル・ヴィレッジを建設しました。上の写真は、当時の工場から労働を終えて出てくる労働者たち。あまりに多くの労働者が一度に出てくるため、「列の最後の者は、出てくる頃にはそのまま次のシフトに戻らなければいけないかもしれない」と冗談が交わされていたのだとか。

造船業で栄えていたリヴァプールの港へと続く運河(Leeds and Liverpool Canal)があり、鉄道網が発展し、繊維産業に必用な充分な水を汲めるエア川が流れているなど、理想的な条件が揃ったこの地。そして、鉄道や火力に必要な石炭も、当時リーズ近郊の炭鉱で豊富に採掘されていたそうです。ちなみに、この炭鉱も閉鎖されていますが、現在「The National Coal Mining Museum」(www.ncm.org.uk)として公開されており、地下の坑道が見学できます。

ソルテアのシンボルである旧繊維工場は1986年、工場としての歴史に幕を降ろした後、実業家のジョナサン・シルバーに買い取られ、現在は観光地としてのギャラリー、ショップ、オフィス、住居などが組み合わさった複合施設として生まれ変わっています。1階はセンスのいい本屋やアート関連の雑貨が並ぶショップ兼ギャラリー。写真左端の胸像は、タイタス・ソルトです。

ブラッドフォード出身の世界的アーティスト、デイヴィッド・ホックニー(写真左上)の絵がたくさん飾られていました。ソルツ・ミルにギャラリーを開設する際、メイン・アーティストとして白羽の矢を当てられたホックニーは、自身の作品展示を快諾したそうです。ホックニーの専用ギャラリー「The 1853 gallery」もあります。

館内には大きなカフェのほか、生活用品やアウトドア用品店、個人経営のアンティーク・ショップなどもあります。

ソルツ・ミルを見学した後は、至近距離にあるモデル・ヴィレッジへ。ヴィレッジは駅のすぐ隣。碁盤の目のように縦横に道が走っています。

ソルテア以前の労働者たちは、スラム街のような劣悪な環境で生活していました。ソルトは労働者たちの生活を改善することで生産性の向上も促し、事業主と労働者にとってまさに「ウィンウィン」の事業を成し遂げたのです。勤務地から徒歩数分の場所に、レンガ造りのテラス・ハウス、病院、学校、図書館、教会、浴場、洗濯場、コミュニティー・ハウスなどがある暮らしは、まさに労働者にとって理想郷であったのでしょう。現在もこれらの住居はプライベート・ハウジングとして人々が生活しています。世界遺産の中に暮らすなんて贅沢ですね。端のエンド・テラス・ハウスは、マネージャーなど役職のある人物の家として、他の家より大きな造りになっています。

ミーティングやコンサートが行われたヴィクトリア・ホール(旧 Saltaire Institute)。リーズを訪れた際には、是非お立ち寄りを!(編集部 H)