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ジャーニー編集部がロンドンの街をぶらりとレポート

英写真家マーティン・パーの写真展、NPGで開催中!

英国の階級社会をはじめ世界各地の「人」を観察し、その様子を写真におさめるマーティン・パー。トラファルガー広場のナショナル・ギャラリーに隣接するナショナル・ポートレート・ギャラリーでは、英国を代表するドキュメンタリー・フォトグラファーのひとりとして知られるパーさんの写真展を開催中です(5月27日まで)。

タイトルは「Only Human」。時に愛情に、時に風刺に満ちたユニークな視点で人々の行動様式を切り取ってきた、いかにもパーさんらしいテーマに惹かれ出かけてきました。

スタートは、自分の顔写真や名前の商業化に関心を抱くパーさんのオリジナルグッズがずらりと展示されるギャラリーから。シャツやバッグ、葉巻、ガラスでできたドーム型の文鎮、誰が着るんだろう…と失笑してしまう服などなど。この部屋を抜けた先では、パーさん自身を写したコラージュ写真で壁一面を覆っていたり=写真下、メキシコでかつて流行したという「Fotoesculturas」(写真彫刻)=写真下の下=で自身を表現していたりと、ナルシストがするであろう行為を面白がって真似した作品が展示されています。

徹底的に真似することで、人々の行為や習慣をより浮き立たせた…ということなのでしょうが、そういった見方は横に置き、純粋にじっくりと作品を見ていくと、その徹底ぶりにスタートから空いた口が塞がりません。

(注:実際のパーさんはこんなムキムキなタイプには見えません)。

以降のエキシビションは、パーさんがレンズ越しに「人」を捉えた作品を「グランドスラム」「競馬レース当日」「セレブリティ」「海外でのイギリス人」「ブレグジット」などのテーマに分けて構成されています。人の表情だけでなく、持ち物、ファッション、集団行為に現れる人間の行動が写真に切り取られ、パーさんの鋭い視点には驚かされます。
英国人であるパーさんの目を通して見る英国の姿は、外国人として英国に暮らしている私にはなかなか見えてこないものも多く、新しい気づきを与えてくれる点もパーさんの写真を見る楽しみのひとつ。

ただ、そんな風に色々考えながら見る必要はまったくなし! くすりと笑える作品がいくつもあります。部屋がテーマに合わせて飾られるなど、展示方法にもこだわりが感じられます。

英国在住で、BBCを普段からご覧になられる方であれば、上の写真に見覚えがある人も多いのではないでしょうか? BBC1で時々流れる「Oneness」で、英国人の日々の活動を見せるショートフィルム・シリーズです。BBC1では、「人々をつなぐ(1つにする)」ことを同局の役割とし、多様性のある現代の英国において、多様なコミュニティーを紹介する動画シリーズを作成。これを担当したのがパーさんです。

ワンネスはこちら見られます↓

今の英国を反映して、ブレグジットをテーマにした展示は広いスペースを割いています。パーさんはブレグジットを社会政治的な観点だけでなく、英国人のアイデンティティの注目すべき兆候としてとらえていて、エキシビションの説明書きの中で「ますます多様化が進む英国社会に反比例するかのように、愛国心を高めていく人々を撮影した」と書かれていました。
これまでパーさんが撮影する愛国心の強い英国人をおさめた写真を温かい眼差しで見ていたのですが、ブレグジットに揺れる今、外国人として暮らす私としては、微妙な気持ちになりました。

会場内にはパーさんプロデュースの、レトロ感満載のカフェもあり!

最後はグッズ売り場でエキシビションは終了。上の写真はプーチンと一緒に空手のポーズをとるパーさんのコラージュ作品がビーサンに。お土産にいかがでしょう(笑)。展示は5月27日まで。(編集部N)

Martin Parr: Only Human
2019年5月27日まで
18ポンド
National Portrait Gallery
St Martin’s Place, London, WC2H 0HE
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