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大英博物館に降臨!? アッシリアの王アッシュールバニパル

現在、大英博物館で開催中の企画展「I am Ashurbanipal: king of the world, king of Assyria」(~2019年2月24日)に行ってきました。アッシュールバニパルとは、紀元前7世紀、地球上で絶大な権力を誇ったアッシリアの王で、同じく大英博物館の見所のひとつ「Lion hunts(ライオン狩り)」のレリーフに描かれる人物です。それくらいの軽い知識で行ったものの、思った以上に知的好奇心を刺激する内容だったのでご紹介したいと思います。

アッシュールバニパル(在位:BC669~631頃)は、父王の跡を継ぎ、兄を差し置いてアッシリアの王冠を戴いた後、エジプト他の隣国を手中に収めます。自らを「King of the World」と称し、いかに自分がすごいかをレリーフに残しており、今回の展示では、血なまぐさい歴史の一幕や王宮の様子などがそれらを通して紹介されます。

ただ見ているだけでは読み解くのが難しくなりがちなレリーフですが、プロジェクションマッピングを利用して連続する物語を際立たせる演出もあり、絵本あるいはマンガを読んでいるかのように内容が理解できます。たとえば上の写真は、エラムの王テウンマンの首が落とされ、戦車でアッシュールバニパルの元へ持っていくシーン。首のようなものを掲げているのが見つけられるでしょうか?(これが絵本だったならかなり悪趣味ですが…)。

アッシュールバニパルについて語るべきは戦いだけではありません。王は自ら読み書きするなど知性を兼ね備え、ライオン狩りのレリーフなどにも腰にペンを携える姿が描かれています。「知識は力なり」を体現し、アッシュールバニパルは首都ニネヴェ(現在のイラク北部)に図書館を設け、何十万もの文書・記録を集めます。その中には、世界最古の文学「ギルガメシュ叙事詩」なども含まれていたのだそうです。

アッシュールバニパルの治世について多くの記録が残っている一方で、王の死は謎に包まれており、王の死後、アッシリアは急激に勢力を弱め、彼の作った図書館も燃やされてしまいます。ただ、当時の書物が紙であったなら、すべてが灰と化してしまっていたかもしれませんが、楔文字が刻まれていたのは粘土板。燃えたおかげで長期保存されるにいたったのだそうです。説明書きには、「現在のデジタルデータが2000年先も残っているでしょうか?」といったような問いかけがありましたが、先日外付けのハードディスクに保存していた5年前の写真が壊れてしまっているのを発見した私としては、時代が進んだのか後退したのか…と微妙な感覚に陥りました。

そのほか、アッシュールバニパルの宮殿の様子や、レリーフが彫られた当時の色を再現する、といった演出もありました。エキシビションの最後には、アッシリアの遺跡発掘と、いかにして英国に運び込まれたかなどが取ってつけたように続きますが、充実した展示を見た後だったので、じっくり見る体力がなく退散してしまいました(後悔)。展示は2月24日まで。機会があればぜひ!(編集部C)

I am Ashurbanipal: king of the world, king of Assyria
Room 30, British Museum, Great Russell Street, London, WC1B 3DG
2019年2月24日まで
17ポンド