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●サバイバー●取材・執筆/本誌編集部

■ 6月30日~7月13日の2週間にわたって熱戦が繰り広げられる、ウィンブルドン選手権(The Wimbledon Championships)。英国の夏のイベントを代表する同大会の開幕を目前に控えた今回は、ウィンブルドンの豆知識や当日券の入手方法、会場での過ごし方などをご紹介。気軽に観戦できるロンドン各地の巨大スクリーン設置場所も紹介しているので、ぜひご活用いただきたい。

全米、全仏、全豪を含めたテニスの4大トーナメントの中で、最も伝統と格式を重んじるウィンブルドン選手権。個人トーナメントとしては世界最高峰を誇り、テニス選手にとってウィンブルドンのセンターコートは、一度はプレーしたい憧れの場所だ。

同所で第1回大会が行われたのは1877年。企画したのは1870年に設立されたオールイングランド・クローケークラブで、その名前の通り、クローケー(芝生で行うゲートボールに似たスポーツ)を活動の主体としていたが、ほかにもテニスやクリケットなど様々なスポーツを楽しんでいた。しかし、まもなく財政難に陥り、当時4面あったテニスコートの整備費を捻出するため、苦肉の策として開催したのが第1回大会であった。初回は男子シングルスのみが行われ、22名が参加。会場の入場料は1シリング程度だったものの、多くの着飾った紳士・淑女が観戦に訪れ、予想以上の収益を得た。これに味を占めた同クラブは、大会を毎年開くようになった。

会場であるオールイングランド・ローン&テニスクラブ(旧オールイングランド・クローケークラブ)には現在、18面の試合用コートと14面の練習用コートがあり、最も大きいセンターコートは約1万4000人の収容が可能。前売りチケットの抽選申し込みは前年の9月に始まるが、センターコートのように広い観客席があり、トップ選手がプレーする「ショーコート(Show Courts)」(1~3番コートを含めた4つ:下地図参照)のチケットの競争率は非常に高く、入手するのは至難の技だ。だが、そのほかのコートなら、試合当日に並んで当日券さえ手に入れば生観戦できる。

あちこちのコートをまわって試合を存分に堪能するのもいいけれど、たくさんのコートが広がる会場内に入ると、ポップアップのレストランやストール、オープンエアのカフェが立ち並ぶ中、白熱した試合そっちのけでシャンパンやピムズを片手に談笑する人々の姿が目に入る。バンドの生演奏が行われ、着飾った女性たちが行き交い、社交場さながらの雰囲気が漂う。せっかく英国にいるのだから、この雰囲気を味わわないのはもったいない!ぜひ今夏は、ウィンブルドンを満喫してほしい。

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純白のテニスウェアの起源

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ウィンブルドン選手権は他の大会と異なり、選手のユニフォームは「白」と決められている。オフホワイトやクリーム色もNG、袖や首まわりに色を入れてもいいが幅は1センチ以内など、かなり徹底されている。このルールは、1884年から始まった女子シングルスが起源。白の帽子、ブラウス、ロングスカートという、すべて白で揃えた姉妹が優勝と準優勝を飾ったため、それにあやかって白を着る人が続出。どうせならルールにしてしまえと、大会規則となった。
しかし、下着も白とされていたことから、女子選手は大会期間が生理と重なることを危惧。その声は年々高まり、2023年から女子はアンダーショーツのみ、中間または濃色の着用が許可されている。

名物のストロベリー&クリーム

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観戦のお供として人気「ストロベリー&クリーム」は、イチゴに生クリームをかけただけの超シンプルな一品。これまで会場では透明カップに入れて販売されていたが、最近はリサイクル可能な紙のボックスが主流だ(写真)。

これを最初に考案したのは、ヘンリー8世の臣下で、のちに処刑されたトマス・ウルジー枢機卿。晩餐会で招待客に振る舞ったのが始まりで、当時のイチゴは小さな野イチゴ。大粒のイチゴが栽培されるようになったのは18世紀後半だった。第1回大会では唯一提供されたのがアフタヌーンティーのみで、デザートのひとつとして、イチゴをつまみながら観客はテニスを観戦。イチゴのピークと大会の開催時期が同じだったことから、それ以降もイチゴだけは提供し続けられている。

優勝トロフィーの豆知識

©Peter Menzel

第1回大会から優勝者にはトロフィーが贈られていたが、現在の男子シングルスの優勝カップ(純銀に金メッキを施している)は、1887年から授与されているもの。それまでカップは優勝者の所有物となり、毎年新調されていたが、同じ選手の優勝が続いたことから、1887年以降は大会終了後に返却することを決定。返却後は優勝者の名前と日付が刻まれ、会場に併設する博物館に展示される。代わりに、優勝者には4分の3サイズのレプリカが贈られる。

©Peter Menzel

一方、女子シングルスの優勝トロフィーは、純銀に金メッキを施した大皿で、別名「ローズウォーター・ディッシュ」と呼ばれている。女子シングルスが大会に導入された2年後の1886年から優勝者に授与されているもので、こちらも大会終了後に返却し、4分の3サイズのレプリカをもらうことになる。

ちなみに、男子ダブルスは銀製のカップ、女子ダブルスは銀製の蓋つきのカップ、男女ミックスダブルスも銀製の蓋つきのカップが優勝ペアに授与される。


スコアの数え方の秘密

©Raph PH

テニスのスコア(得点)は、「ポイント」「ゲーム」「セット」の3段階に分かれており、4ポイント(15、30、40、ゲーム)を先取すれば1ゲーム、計6ゲームを先取すれば1セットを獲得。男子のシングルスとダブルスのみ3セット、そのほかの試合は2セットを先取した方が勝ちとなる。

1、2、3ではなく15、30、40と得点が変則的に増えていく理由は不明。時計の60分の文字盤を4等分し、1ポイントを取るたびに4分の1ずつ針を進め、1周したらゲーム終了としていた説、テニスの原型とされる「ジュ・ド・ポーム」が考案されたフランスの修道院では、生活時間の単位が15分だった説などがあるが、45ではなく40である点からも謎が残る。

ボールボーイ&ガールは平均15歳

ボールボーイ&ガールの平均年齢は15歳。6人で1チームを組み、基本的に2時間交代制(その後1時間休憩)となっている。

ボールボーイ&ガールの選出校となっている参加校から、身体能力テストで基準を満たした生徒が推薦され、毎年2~6月にかけてトレーニングを受ける。トレーニングは、元RAFの隊員が1969年に確立したものが基礎となっており、フィットネス一般と試合中の動きの練習(ボールの拾い方や投げ方、スコアリングなど)になる。300人以上の推薦者の中で、最終的に選ばれるのは250人程度。男女比は半々といい、2年以上続けられることはあまりないという。


当日券で存分にテニスを満喫! ウィンブルドン選手権の楽しみ方ガイド

その1 並んで当日券を購入!

 ウィンブルドンのチケットは、ショーコートのチケットと、その他の4~18番コートを見学できる「グランドパス」の2種類。ショーコートのチケット抽選はなかなか当たらないので、狙うのは試合当日に現地で発売されるグランドパス。試合の組み合わせや曜日により混み具合は異なるが(4~5時間、あるいは1~2時間程度で入れる場合もあり)、サウスフィールド駅から会場に向かって徒歩5分ほどで行列専用ゲートが見えてくるので、スタッフから整理券(queue card)を受け取ったら、あとはひたすら並んで待つ!

その2  トップ選手の試合を観たいなら、リセール・チケットを狙え!

グランドパスで会場に入った後、どうしてもショーコートでの試合が観たいなら、リセール・チケットを狙おう。ショーコートのチケット保持者が早めに帰ると、そのチケットは会場内で再販売される。価格もセンターコートは£15、1~2番コートは£10でとってもお得。巨大スクリーンが設置された「ザ・ヒル」の近くにリセール・ブースがあり、午後3時以降にチケットがあれば売り出される。ただ、ここでも行列は必至。

その3  のんびりとザ・ヒルで会場の雰囲気を楽しむのも最高!

大会前半は試合数が多く、暗くなるまで行われることが多い。そのため、1週目の平日の夕方は行列がないことも多く、仕事を早く切り上げて会場へ向かえば、グランドパスの購入もスムーズだ。ただし、出かける前に試合の進み具合を公式ウェブサイトで見て、残り試合があることを確認する必要あり。イチゴやピムズを味わいながら、スクリーンのあるザ・ヒル(写真上)でショーコートの試合を観戦したり、ショーコート以外の試合を観てまわったりして楽しもう!

その4  バルコニーに登場する優勝選手を見逃すな!

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もし決勝戦の日に会場へ入れたら、さらなる楽しみ方がある。それは優勝者がトロフィーを手に現れる、センターコートのバルコニー(South West Hall)。バルコニーの下に集まった大勢の観客の前で、トロフィーを高々と掲げて喜びと感謝を示す選手を間近に撮影できるチャンス!


その5  記念に「試合球」を手に入れよう!

会場内にあるショップでは各種グッズが販売されているが、記念品として薦めたいのが試合で使われたボール。売上げはチャリティー団体に寄付される。センターコートと15番コート間にある「ウィンブルドン・ファウンデーション・キヨスク」で購入可能。ボールには開催年が書かれ、芝がついていることもあるので、いい記念になる!


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週刊ジャーニー No.1399(2025年6月26日)掲載