
■ 普段目にすることのない野菜やフルーツが実っている姿を間近に見て、自らの手で収穫し味わう。そんな英国の夏の風物詩、ピック・ユア・オウン(PYO)の季節がまもなく到来! 自分で採った農作物の味は、また格別なもの。早めに計画を立てて、この夏、太陽の下で大地の恵みを収穫しに出かけよう!
●サバイバー●取材・執筆/ネイサン弘子・本誌編集部
イチゴ狩りやブドウ狩り、栗拾いに芋掘り体験など、日本では四季を通じて多様な収穫体験ができるが、ここ英国でも農園での収穫体験を提供する「ピック・ユア・オウン(PYO)」のシーズンが幕を開ける。5月下旬〜6月はイチゴ、7月〜8月はラズベリーやプラム、10月はカボチャと、時期によって様々なフルーツや野菜が実り、訪れる人々を楽しませてくれる。
英国のPYOは、輸入品との競争や卸売市場の利益減少に直面した農家が、経営を多角化するための戦略として、1960年代後半に始まったもの。家族連れに「農園での一日」というレジャーを提供しつつ、消費者への直接販売ができる、新しい体験型ビジネスとして確立。現在は世代を問わず楽しめる、夏の人気アクティビティへと成長した。
普段商店に並んでいる食べ物が、実際に実っている様子を目にし、自らの手で収穫してその美味しさを味わうことは、子どもたちへの食育としても貴重な体験になるだろう。
仕組みはシンプルで、無料または低額の入場料で入園し、入口で容器を受け取り、収穫分を計量して購入するスタイル。ただし、最近では混雑緩和のためにスロット制を導入する農園が増えているため、予約について事前の確認が欠かせない。また、天候や作物の育ち具合によってフィールドが突然閉鎖されることも珍しくないため、出かける前に公式サイトを必ずチェックしよう。服装は、晴れていても足元がぬかるんでいることもあるので、汚れてもいい靴や長靴が安心だ。そして、美味しそうな良い実は午前中に収穫されてしまうため、オープン直後の時間帯を狙うのがベスト。
カフェやファーム・ショップ、ガーデンセンターなどを併設している農園も多く、自家製のジャムやハチミツを購入したり、美しい田園風景の中でクリームティーを楽しんだりと、一日を通して満喫できるのが英国のPYOの魅力と言える。
この夏は、土の香りに包まれながら、自分の手で収穫した『最高のひと口』を味わいに出かけよう!
8~10月までトウモロコシ迷路が出現! Cammas Hall Farm
1966年にPYOを開始した老舗農園。ビールフェスやクラフトフェアなど多彩なイベントが人気。ベリー類の他、7月中旬~下旬に収穫できるサクランボが人気。8月にはヒマワリ畑が満開になり、ヒマワリ摘みも体験できる。
PYO:5月下旬~/要予約 www.cammashall.co.uk
春のアスパラから秋のパンプキンまで! Copas Farms, The Fruit Fields
バッキンガムシャーのアイバーと、バークシャーのクックハムの2ヵ所にPYOを構える農園。フルーツの収穫に先駆け、毎年4月にはアスパラガスの収穫も楽しめる。クックハムでは、夏にトウモロコシ畑の迷路が出現する。
PYO:4月~/要予約 www.thefruitfields.co.uk
ニンジン、ビートルートを引っこ抜こう! Crockford Bridge Farm
ベリー類のほか、ニンジン、コジェット、ビーツ、インゲン豆、ルバーブ、玉ねぎなどの野菜も収穫できるのが嬉しい農園。ヴィンテージ/アルティザン・マーケットが開催される日もあるので、合わせて訪れてみよう。
PYO:5月下旬~/要予約 www.crockfordbridgefarm.co.uk
伝統的な英国の果樹園 Daymens Hill Farm
約4000本、30種類以上のリンゴと梨の木が植えられている美しい果樹園では、9月上旬~10月中旬まで、摘み取り体験を毎日開催している。またファーム・ショップでは、年間を通して果物とジュースが販売されている。
PYO:9月上旬~/予約不要 www.daymenshillfarm.co.uk
1年を通して充実のショッピング体験 Garsons Farm
ガーデンセンター、ファーム・ショップ、デリ・カウンター、ブッチャー、レストランが通年営業する、近代的なショップが充実した農園。PYO体験も、フルーツや野菜、ヒマワリからラベンダーまでバラエティ豊かなラインナップ。
PYO:5月下旬~ www.garsons.co.uk
子ども向けプレイエリア充実、土曜にはフリーマーケットも! Graveley Fruit Farm
かがまずにイチゴを収穫できる、テーブルトップ式。ジャンピング・ピロー(大型トランポリン)、クレイジー・カート、ジップラインや砂場を含む子ども用アクティビティがとにかく豊富。4〜10月の土曜はフリマも開催。
PYO:6月中旬~/予約不要 www.graveleystrawberries.co.uk
葉物野菜も収穫できる! Hewitts Farm
ホウレン草、チャードといった葉物野菜や、ビーツ、コジェット、トウモロコシなどのほか、イチゴ、リンゴ、プラムのPYOが楽しめる農園。ショップでは、PYOで採れない野菜、家庭菜園用の苗、花も販売されている。
PYO:7月中旬~/予約不要 www.hewittsfarm.co.uk
大家族には嬉しい価格設定 Home Cottage Farm
地下鉄ピカデリー線のUxbridge駅から、バスと徒歩の約30分で行けるフルーツ農園。農園にあるリンゴや梨の木からミツバチが集めたハチミツも販売している。鶏や羊が放し飼いにされており、牧場の雰囲気も満喫できる。
PYO:7月下旬~/予約不要 www.homecottagefarm.co.uk
ドッグ・フレンドリーでベーカリーも人気 Meopham PYO, Broomfield Farm
PYOの期間中は週末のみの営業ながら、ベリー類、プラム、リンゴ、梨、トウモロコシ、スクウォッシュ、ヒマワリ、パンプキン、ブラッセルスプラウツ、そしてクリスマスツリーまで、多種多様に展開。6~12月まで楽しめる。
PYO:6月上旬~/予約不要 https://meophampyo.co.uk
今週末、西部劇をテーマにしたPYOを開催 Secretts Farm
PYOのオープン期間は計6日間と短いものの、5月9日・10日にはルバーブの収穫と西部劇をテーマにしたアトラクションや音楽が同時に楽しめる。6月の週末はイチゴ、9月はトウモロコシ採りと野の花摘みが楽しめる。
PYO:5・6・9月の特定の週末/要予約 www.secretts.co.uk
珍しい紫ニンジン、キャベツやブロッコリーも! Stanhill Farm
ネギ、マロウ、インゲン豆、ニンジン、紫ニンジン、ビーツ、ブロッコリー、キャベツまで収穫できる農園。地元産のチーズや焼きたてのパン、卵など、新鮮な食材を取り揃えたファーム・ショップも高い人気を誇っている。
PYO:公式サイトにて要確認 www.stanhillfarm.co.uk
残念ながら昨年をもってPYOを休止 Parkside Farm
ロンドン唯一の大規模PYO農園として、多くの在英日本人に親しまれてきたエンフィールドのパークサイド・ファームは、2025年をもって一旦PYOを休止。近い将来のPYO再開を期待したい。
週刊ジャーニー No.1443(2026年5月7日)掲載


























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