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■ 第255話 ■なぜユダヤ人は嫌われたのか

▶数週に渡ってイギリス、ソ連、日本、そしてドイツによる「ユダヤ人移送計画」を見て来た。結局どれもうまくいかないうちにナチスによる「最終的解決法」、いわゆるホロコーストが起きた。19世紀末から盛んになったシオニズム運動。パレスチナにユダヤ人国家を再建しようとする動きだ。日本を除く前出の国々は皆、シオニズム運動に賛同したり人道的配慮からユダヤ人を移送しようとした訳ではない。要は「厄介払い」だった。一体なぜユダヤ人はそこまで嫌われたのか。

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▶まず言われるのが「キリスト殺し」。イエス・キリストはユダヤ人だ。イエスはユダヤ教の厳しい戒律や形式主義、選民思想等に異を唱え、ユダヤ教徒以外の人も救われるべきだと説いた。しかしこれだと既得権益ドップリのユダヤ教指導者たちは困っちゃう。「こいつヤッベェぞ」ということで指導者たちは支配者だったローマに「危ない男がいますぜ」とイエスを売った。ローマは「そうなの?」と言いながら渋々イエスを十字架にかけた。直接手に掛けたのはローマ人だが、キリスト教徒はイエスを殺したとしてユダヤ人を憎悪した。また、ユダヤ民族は神に選ばれた特別な存在だと信じる選民思想を持ち続け、どの国にも同化しようとしないため浮いた存在になるのが常だった。さらにキリスト教で忌み嫌われる「金貸し」業で大儲けしているとして嫌悪された。どの資料を見てもユダヤ人迫害の理由は大体この3点で説明されている。

ヴィクトリア女王
ロスチャイルド家とベッタリだったヴィクトリア女王ですが、何か?

▶しかし筆者と共にユダヤの歴史を追って来た暇な読者ならそれとは別の理由に気づいている。祖国を追われて離散して以来、イスラエルが再建されるまでユダヤ人は2000年近く世界を彷徨った。特にヨーロッパで激しい迫害を受けた。イングランドは1290年にユダヤ人を追放した。スペインやポルトガルは異端審問により改宗しないユダヤ人を追放するか焼き殺した。ユダヤ人は全財産を没収され、国を追われるうちに学んだ。どんなに迫害されても奪われないもの、それは「知」だと。彼らは生き延びるために「知」を磨き、彼らだけでその知識を共有した。ユダヤ人の知能が高いと言われるのは近親婚とは別に、老舗うなぎ屋が秘伝のタレを数十年も継ぎ足し使うのと同様、数千年に渡って脈々と継ぎ足されてきた知識を生涯かけて学び、さらに新しい知識を継ぎ足して次世代に繋いでいるためだと言われている。


▶ホロコースト以降、気の毒な弱者のイメージが定着したが、ユダヤ人は決して弱者ではない。彼らの一部は潤沢なマネーを元に各国王族や貴族に巧みに接近した。戦争に明け暮れていた各国。ユダヤ投資家は欠かせない存在だった。巨大債権者となった彼らは政治に口を挟むようになった。ロシアやドイツでは革命を主導した。イギリスではヴィクトリア女王もチャーチル家もユダヤ王ロスチャイルド家とズブズブの間柄。陰謀論と言われるだろうが米大統領選やウクライナ紛争、そしてイスラエル周辺の混迷でもユダヤ人が裏に表に跋扈(ばっこ)する。彼らは弱者どころか世界最強クラスの強者だ。得意技はレジームチェンジ。いわゆる政権転覆や体制の転換だ。だからどの国でも警戒され、恐れられ、嫌悪された。そして紆余曲折の末の1948年、ユダヤ人は英米を巧みに手なずけ、ついにパレスチナにユダヤ人の国イスラエルを再建したぜってな辺りで次号に続く。チャンネルはそのままだ。

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週刊ジャーニー No.1377(2025年1月23日)掲載

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