■ 第229話 ■「砂漠の宗教」vs「森の宗教」

▶ユダヤ教、キリスト教、イスラム教は同じ神様を信仰する一神教だ。ザビエルは日本にキリスト教を持ち込んだが真の目的は日本の植民地化だった。カトリックの先遣武闘派イエズス会が同時期、ヨーロッパや中南米等でやっていた悪事の数々を見れば一目瞭然だ。日本の教科書はいい加減GHQの呪縛から解かれて真実を語ろうぜ。ザビエルらの奔走むなしく日本にキリスト教は根付かなかった。なぜか。ユダヤ教が誕生したのはイスラエルの辺り。肥沃なメソポタミアやナイル川流域と違い乾燥した砂漠地帯だ。エジプトの王朝は3千年近く続いた。エジプトの北は地中海、西は砂漠、南は山岳地帯、そして東は紅海だ。陸伝いにエジプトを攻める場合、北東部ルートのみ。いわば天然の要塞で攻め込むのが難しかった。一方イスラエルがあるアラビア半島。四方八方あちこちから他民族が簡単に侵入できた。色んな民族がやって来ては栄え、滅んでいった。ユダヤ人たちは他民族に翻弄され、支配される過酷な日々を生き抜いた。

▶砂漠での生活は厳しい。水源への道を見失えば死が待っている。少しでも気を抜くと大変な罰が待ち受けている。砂漠に暮らす人々は厳格なルールを定め、それに従って生きていかざるを得なかった。ルールを司る者、それが神だった。この絶対的な神に逆らう者は容赦なく命を奪われた。こうしてユダヤ教は一神教となった。一方の日本。神道や仏教は多神教だ。日本は自然が豊かだ。砂漠で人が迷えば死が待っているが、森の中で道を見失っても水や動植物など自然の恵みに助けられた。人はそこに山の神、水の神、森の神など八百万の神を見た。人々は思い至った。人間自身もまた自然の一部であり、豊かな自然の中で生かされている、神々の恵みによって生かされている存在なのだと。謙虚だなあ。こうして日本は多神教の国となった。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教などの一神教は「砂漠の宗教」と言われる。一方、仏教や神道のような多神教は「森の宗教」と呼ばれる。日本で「砂漠の宗教」は八百万の神を信仰する「森の宗教」に勝てなかったということだ。

▶ヨーロッパはかつて深い森に覆われていた。赤ずきんちゃんもヘンゼルとグレーテルも白雪姫も精霊や妖精もみんな森の中にいた。ギリシャ人もローマ人もケルト人もゲルマン人もキリスト教が来るまで皆多神教を信仰していた。ゲルマニア（現在のドイツ）に攻め入ったローマ帝国。歴史家タキトゥスは「どこまでも深い森が続いている」と溜息交じりに書き残した。しかしこの2000年の間にヨーロッパの森はほぼ消滅した。人口が増えるにつれて木々が伐採され家が建てられ町ができた。森だった土地に小麦が植えられた。羊たちは再生しようとする木の新芽を根こそぎ食べた。森再生の希望も食い尽くされた。

▶海上交易が活発化し造船が盛んになった。イングランドは造船大国オランダに大量の木材を輸出し森を現金に換えた。ネルソン提督の旗艦ヴィクトリー号だけでも6千本の木が使われた。製鉄が盛んになると今度は大量の木炭が必要とされ、ますます森が消えた。いつしか森の神や精霊は棲み家を失った。凄まじい環境破壊でヨーロッパの風景は一変した。ヨーロッパはイスラエル発の「砂漠の宗教」一派、キリスト教が広がる条件を自ら作り上げ、多神教を葬り去った。ってな辺りで次号に続くぜ。チャンネルはそのままだ。