■ 第227話 ■愛されたいなら絶対服従ね

▶「旧約聖書」は読み物としてとても面白い。なんせ人類の祖とされるアダムとイブからして早速神様との約束を破って楽園追放。2人の間に出来た兄カインは弟アベルを殺す。まだ地球上に人間が4人しかいないのに早くも人口一人減。怒った神はカインを追放。アダムとイブ、再び子作り。子孫繁栄したものの、どいつもこいつもクズ人間ばかりになっちゃった。神様は「だめだこりゃ～」とリセット決定。ノアの家族と動物だけを方舟に乗せて救い、あとは洪水起こして皆殺し。この神様、言うこと聞かない人間に情け容赦一切なし。

▶その後、アブラハムに「カナンの地（パレスチナ）をあげる」と約束。子どものいないアブラハム夫妻。異母妹で妻のサラ、「子ども欲しいけどあたしお婆ちゃんだから無理。かわりにこの娘と子ども作って」とエジプトから連れてきた下女ハガルを差し出す。夫アブラハムは老骨に鞭打ち頑張った。ハガル、男子出産。名はイシュマエル。ところが妻のサラも妊娠。男子を産んだ。イサクと名づけた。アブラハム100歳、サラは90歳。どうなってんの？あんたたち。アブラハムとサラはイサクだけが可愛い。そこで邪魔になったハガルとイシュマエルを砂漠に追放。鬼畜の所業。イシュマエルはその後、アラブ人の祖となった。だからアラブ人にとってもアブラハムはご先祖様。アラブ語でイブラヒーンと言う。そしてイシュマエルの子孫がイスラム教の開祖ムハンマド。みんな繋がっている。

▶アブラハムと妻サラがカナンの地を目指している時、ソドムとゴモラという町が神によって焼き尽くされ全員死んだ。住人が大罪を繰り返した上に男色に耽るなど風紀は乱れまくり。神は戒律を守らない人間に超厳しい。更生の機会を与えることなく一気に皆殺し。のちにモーセが神から授かった十戒の石板を持って山を下りて来た時もそう。モーセがなかなか下りて来ないことで心配した人たちが金の雄牛像を作って崇めた。これを見たモーセ大激怒。「偶像を拝んだヤツ、全員アウト～」ってんで３千人が殺された。ユダヤ教、東方教会やプロテスタント、イスラム教が今でも偶像崇拝を禁じているのはこの嫉妬深い神との契約。異教の神どころか自分の代理となる偶像すら拝むことを許さない。十字架やマリア像など偶像を許しているのは信者獲得のために偶像を認めたカトリック等一部のみ。偶像崇拝禁止とはそれほど絶対的なものだ。

▶神は十戒の初めに「私はあなたたちの唯一にして全能の神。私以外のどんなものも神としてはならない」「偶像を作って神としちゃダメ。私は嫉妬深い。私を憎む者は子孫にまでその罪を問う。私を信じ私の戒めを守る者は末代まで慈しみを与える」と明言している。イスラエルの神が愛するのは善人や正直者ではない。神に絶対的な服従を誓う者だ。それさえ守られるのであれば多少の悪行には目を瞑る。逆にそれが守られなければノアの時やソドムやゴモラの住民のように情け容赦なく皆殺し。ユダヤ教を「旧約聖書」だけで語ることは出来ない。しかしそこに書かれている内容は聖書とは思えないほどエロくて暴力的。ガザ住民に対する非情ぶりとも重なる。あまりに厳しい律法や形式主義、そしてユダヤ人だけが救われるとする選民思想。そんなユダヤ教に対して「ちょっと待った～！」と異を唱える男が現われる。そう、あの人だってな辺りで次号に続く。チャンネルはそのままだ。