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■ 第148話 ■ノーベル賞は、ホニャララだ

▶先日ヤホーを検索していたら凄い賞を見つけてしまった。ノーベル賞って、ご存知ですか? 誰でも知ってるっちゅ~の。ノーベル賞はダイナマイトなどを発明して巨万の富を築いたスウェーデン人のアルフレッド・ノーベルの遺言と遺産によって始まった。1888年、カンヌを訪問中だった兄が急死。弟のアルフレッドと勘違いしたフランスの杜撰な地方紙が「より多くの人を誰よりも早く殺す方法を見つけて大金持ちになった死の商人、死す」という死亡記事を掲載した。人違いの上、表現があまりにも下品。期せずして死ぬ前に自分の死後の評価を知っちゃったノーベル。誰にも相談せずに遺言を書いた。全財産の94%をあてて国籍の差別なく毎年授与するノーベル賞を創設すると書かれていた。遺族愕然。

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▶ノーベル賞5部門のうち物理学、化学、生理・医学の3賞は分かりやすい。平和賞は昔から政治臭プンプンだがまあ、いい。文学賞は物議を醸した。というのもノーベルの遺言には「in an ideal direction」を示した人に授与とあったため人々は解釈に苦労した。スウェーデンアカデミーが「ideal」を「idealistic(理想主義的な)」と誤って解釈したため、理想主義的じゃない文豪たちが軒並み除外された。後にこれは修正されることとなる。長年候補にあがり続ける村上春樹氏が一向に受賞しないのは不思議だ。個人的にはエルサレム賞授賞式での同氏のスピーチが今も問題視されていると睨んでいるが、この発言自体も問題視されそうだから言わない。あっ、言っちゃった。

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▶えっと、何か忘れてんな。あ、そうだ。経済学賞だ。忘れたわけではない。1901年に始まったノーベル5賞に経済学賞は含まれていない。今、ノーベル賞っぽく言われている経済学賞の授与が始まったのはつい最近の1969年のこと。スウェーデンの国立銀行(リクスバンク)は同行の創立300周年記念という極めて私的で怪しげな理由で経済学賞を加えるようノーベル財団に働きかけた。しかしノーベル財団は「遺言にない」とこれを拒絶。そこでリクスバンクは自ら賞金を出し、学術賞として強引に開始した。いわばスウェーデン中央銀行の暴走賞。なので正式には今も「ノーベル経済学賞」ではなく「経済学賞」。ところが賞金も同一、授賞式の会場も日時も一緒と、巧みにノーベル賞ににじり寄って既成事実化。ほとんど本物のノーベル賞の仲間入りができそうなところまで駒を進めてきた。将棋で言う所の「成り金」ね。将棋、やんないけど。ノーベル財団は今も経済学賞をノーベル賞とは認めていない。しかし各国のメディアが「ノーベル経済学賞」と大々的に報道しちゃうもんだから一般ピープルへのすり込みはほぼ完了。

▶経済学ってよく分からない。アダム・スミスとケインズしか知らない。物理学や化学などは我々の生活を豊かにすること多々だし生理・医学は人の命に直結している印象がある。しかし経済学は今、直面している景気後退や物価高を治す特効薬、作ってるの? なぜ人々は働けど働けどなお暮らし楽にならざりとじっと手を見るの?今年の経済学賞はアメリカの中央銀行FRBの議長を務めたベン・バーナンキ氏らが受賞した。同氏を含めてこれまでの経済学賞受賞者の約35%がユダヤ系の人たち。つまり、そういうことなの? 疑惑だらけの経済学賞が正式にノーベル賞NO.6になる日はそう遠くなさそうだと地団太踏んだところで次号に続くぜ。チャンネルはそのままだ。

週刊ジャーニー No.1268(2022年12月1日)掲載

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