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■ 第117話 ■日本を極東のイギリスにせよ

▶当コラムは既に筆者の暴走個人ブログと化した。とっくに飽きられているだろうが、ロスチャイルドの話は続く。現在の世界情勢を知る上でも重要だからだ。日本と英国は1858年に修好通商条約を交わした。翌年、早くも初代駐日総領事オールコックがやって来た。清の市場開放を目指してアロー号戦争を引き起こした人物だ。東洋人なんかオラオラと恫喝すりゃ大人しく言うこと聞くと信じて実践した武闘派だ。英政府はこの少々強引で好戦的な男を総領事として日本に送り込んだ。この頃、一級品の外交官らはより戦略的に重要で切迫した地域に派遣されていたと考えるのが筋だ。イギリスはクリミア戦争や2度のアヘン戦争を戦い、さらにインドでは傭兵の大反乱が起こり、アメリカが独立、強大化するなど数々の厄介事を抱えていた。従って英国政府が日本に求めたのは揉め事ではなく貿易だった。

▶オールコックが来日した年、早くもロスチャイルド家の代理人、ジャーディン・マセソン商会が外資系企業として横浜に一番乗りを果たした。当コラムに何度も登場している悪名高きジャーディン・マセソン商会。清相手にアヘン戦争を仕掛けた張本人だ。初代支店長はウィリアム・ケズィック。創業者ウィリアム・ジャーディンの姉の孫にあたる男で、25歳で横浜支店長に抜擢された。同年、ジャーディン・マセソンの社員だったトーマス・グラバーが出張所を長崎に開いた。グラバー21歳。イギリスでは今でも21歳をもって成人として扱われる。彼らが優秀だったのかどうかは分からないが、経験豊富だったとは言えない。諜報活動のため一攫千金狙いの活きの良い若い衆らを日本に送り込んできたものと考えられる。

オールコック
日本のことはリスペクトしたオールコックですが、何か?

▶歴史小説では幕末期、主に英仏政府が暗躍する姿が描かれるがこれは真実を伝えていない。実際には英仏両国の他にロスチャイルド家という財力では英仏をしのぐ巨人が英仏を装って日本に潜入していた。ロスチャイルド家は国家という目に見える形を持たない。そのためその存在を見落としがちだが、日本の幕末明治期、最大の役割を果たしたのは紛れもなくイギリスの仮面を被ったロスチャイルド家だ。ジャーディン・マセソン横浜支店も初めのころは生糸や茶など、随分まっとうな貿易を営んでいた。しかしこれも仮の姿だ。インドや清を蹂躙して莫大な利益をチューチュー吸い上げる彼らが日本相手にこんな小商いで満足する訳がない。英国政府は恐らく純粋に貿易でより多くの利益を上げようとしていた。しかしジャーディン・マセソンらがロスチャイルドから与えられたのは「日本を極東のイギリスにせよ」というミッションだった。

▶まずは銀行の設立。そして銀行の親分である中央銀行を作らせロスチャイルド家が日本の通貨発行権を掌握。その後に大陸に進出する。まさに東洋版大英帝国だ。本拠地ヨーロッパで計画は上手く進んでいたが、アメリカでは中央銀行の設立をめぐり、激烈な攻防戦が続いていた。日本で諜報活動を続けるうちに彼らはあることに気がついた。国家元首だと思い込んでいた将軍だが、実はその裏に「ラスボス」が隠れている。議会と王室が存在するイギリスに似ているが、英王室は既に君臨すれど統治しないという牙を抜かれた存在となっている。しかし日本は将軍と皇室、謎のツートップ体制。実態はまだまだモヤ掛かっていた。どしたらよかんべ、というところで次号に続く。チャンネルは出来ればそのままだぜ。

週刊ジャーニー No.1237(2022年4月28日)掲載

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