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■ 第116話 ■幕末、その時英米、何してた?

▶ペリーが日本に来た頃、ロスチャイルド家は英米で一体何をしていたか。イギリスは1844年、ピール銀行条例が発布され、ロスチャイルド家が牛耳っていたバンク・オブ・イングランドが中央銀行となった。ロスチャイルド家が狙っていた通貨発行権を初めて手に入れた記念すべき年だ。王室でも政府でもない、民間の銀行が一国の通貨発行権を握るなどあっていいのかという事態だが、それが現実に起こってしまった。その第一号がイギリスだ。

▶ロスチャイルド家は代理人を使ってアメリカでもこれをやろうと躍起になっていた。第一、第二と2度に渡って合衆国銀行を作らせたが、いずれも20年でぶっ潰された。憎たらしい大英帝国が、庇(ひさし)を貸して母屋をぶん盗られる様子を対岸から見ていたアメリカは、激しくロスチャイルド家を拒絶した。ロスチャイルド家はなぜアメリカでの中央銀行作りに苦戦したのか。同家が栄え始めた18世紀末のヨーロッパはどの国も君主制っぽいものが残っていた。ヨーロッパでは領土や後継者を巡って争いがしょっちゅう起きていた。戦争には莫大なコストがかかる。それでも勝てば賠償金や領土が得られたが、負ければ悲惨。やるからには戦争は勝たねばならない。しかし国民から巻き上げる税金だけではなかなか莫大な戦費は賄えない。そこで便利なのが資金を用立ててくれる人たちだ。

ドリナ
ピール銀行条例出しちゃった首相のロバート・ピールですが、何か?

▶ロスチャイルドら金融資本家はその便利な人たちだった。彼らは対立する両方に資金提供することが多かった。勝てばたっぷりの利息つきで元本が戻り、褒められて大切にされた。負けても貸し付けはローンで取り返し、返せなければ担保としていた土地や様々な特権を得た。なので戦争は彼らにとって最大の荒稼ぎの場となった。戦争のたびに焼け太りする彼らは当然国民に嫌われ、憎悪や差別の対象となったが君主や有力貴族らによって保護された。同僚や部下に嫌われても上司に可愛がられる奴が出世する。時代は変わっても、これは普遍。王室や有力貴族をズブズブの借金漬けにして逃れられないようにすることでロスチャイルド家は彼らを自在に操った。当時、有力貴族とはすなわち有力な議員でもあった。

▶ところがアメリカには王室も皇室も有力貴族もいない。なんせ、そういった既成の権力や封建制が嫌でヨーロッパを飛び出していった連中が作った国。ロスチャイルド家にしてみればヨーロッパで通用した「庇を借りて母屋を奪う大作戦」が使えない。権力者にべったりしたくともアメリカでは建国以来、選挙制が導入されていたため政権はしょっちゅう交代するので癒着が難しい。攻めあぐねていた頃にフツフツと湧き上がって来たのが南北の対立だ。北部では産業革命が起こり、イギリス製品を排除して自国の機械を優遇する保護貿易が望まれた。一方の南部では奴隷を使っての綿花プランテーションが盛んで綿花一番の買い入れ先イギリスとの付き合い大切ということで自由貿易を標榜した。奴隷制に反対するリンカーンの勝利により、間もなく南北は大激突。アメリカ分断の時がやって来る。ペリーがまんまと日本を開国させたが、アメリカは日本どころじゃなくなっちゃった。これが幕末期に英米で起こっていたことだ。さてその日本。この国は誰を篭絡すればいいの? 将軍? 天皇? 諸藩? 国の成り立ちを見極めようと密かに嗅ぎまわっている男がいた、ってとこで次号に続く。チャンネルはそのままだぜ。

週刊ジャーニー No.1236(2022年4月21日)掲載

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