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■ 第114話 ■ウクライナとユダヤ人国家

▶ちょっと寄り道ウクライナ。かつてカスピ海と黒海にまたがる一帯にハザールという王国があった。7世紀から10世紀にかけてのことだ。ハザール人はトルコ系騎馬民族と言われている。西はウクライナの首都キーウ(キエフ)あたりまでを治めていたでっかい国だった。9世紀頃、南からイスラム諸国、西から東ローマ帝国が押し寄せた。イスラムはハザール王に「Youもイスラム教になっちゃいなよ」と迫った。東ローマは「キリスト教になさい。アーメン」と誘った。板挟みになった王は「そんじゃ間を取ってユダヤ教にしまーす」と宣言した。なんだそりゃ? ユダヤ教徒はほぼ自動的にユダヤ人となる。ヨーロッパの東の外れに、ある日突然ユダヤ人国家が誕生した。

▶2000年前にローマに滅ぼされ、世界各地に離散し、迫害されていたユダヤ人たちは「ユダヤの国ができたどー」と大喜びでハザールを目指した。ハザール王国は交易等で栄えたが、やがて北欧からノルマン人が南下して来てスラブ人を従属させ、ウクライナとロシアの前身となるキエフ大公国を建国した。ハザール王国は965年にキエフ大公国に攻め込まれて滅亡。ユダヤ人は再び国家を失い、離散した。キエフ大公国にとどまったハザール人もいたが、多くは東欧諸国に逃げ延びた。ユダヤ人と言っても白人やアラブ人、黒人など様々な人がいる。ハザール人は元々中東ともユダヤ教とも何の関係もなかったが政治的理由からユダヤ教徒となった。ハザール王国を滅ぼしたキエフ大公国だったが、13世紀に東方から攻めて来たモンゴル軍にボコボコにされ崩壊した。この辺りからウクライナとロシアの複雑な関係が始まっちゃうんだけど、難し過ぎるので知ったかぶりは諦めた。

ハザール王国
濃いブルーの線で囲まれているのがかつてのハザール王国、薄紫がその勢力が及んだエリアですが、何か?

▶1795年の第3次ポーランド分割によりポーランドとリトアニアが消滅した。それまでポーランドに庇護されていた数百万のユダヤ人はロシアに組み入れられた。ウクライナ関連のニュースを見ていると、オデッサという港湾都市の名が何度も登場する。オデッサはかつて様々な国から来た移住者が混在する他民族都市だった。商業が奨励されたオデッサは、他都市と違って異教徒に対して寛容だった。多くのポーランド系ユダヤ人が移住したため、19世紀終わり頃、オデッサはロシア帝国最大のユダヤ人都市となった。増えりゃ目立ち、出りゃ杭も打たれる。商才に長け、各界で非凡な才能を発揮して富を手にしたユダヤ人はやがて嫉妬と憎悪の対象となり、数度にわたってポグロム(対ユダヤ人の集団的迫害)が発生。1881年にロシアのアレクサンドル2世が暗殺されるとロシア各地で反ユダヤの動きが激化し、多くのユダヤ人が殺害された。1939年、オデッサには人口の33%に相当する20万人のユダヤ人がいた。しかし第2次世界大戦後は1万2000人(1.2%)ほどに減少した。この時も大量のユダヤ人が虐殺された。辛うじて難を逃れた人々の多くがアメリカを目指した。

▶ウクライナのゼレンスキー大統領はユダヤ人だ。不思議なことに首相のシュミハリ氏もユダヤ人。大統領と首相が揃ってユダヤ人と言う国は他にイスラエルのみ。さらに前首相のホンチャルク氏もまたユダヤ人。これじゃまるでハザール王国の再来じゃん。なんで? ウクライナで今起きていることには西側の報道だけでは見えて来ない深~い漆黒の闇がありそうで何か怖い。再びチビッたところで次号に続く。チャンネルはそのままだぜ。

週刊ジャーニー No.1234(2022年4月7日)掲載

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