ホンネで語る!
英国での駐妻生活

前編

夫の海外赴任、妻の心境は?

駐在員の妻として暮らす英国生活は、一体どんなもの? 夫の英国への赴任決定から渡英の準備、ロンドンでの家探しや日中の過ごし方など、英国での駐妻生活について、子どものいない3人の女性に語り合っていただきました。(全2回シリーズ)
参加者のプロフィール
Aさん(31歳)/在英半年(家族帯同ビザは5年)。夫は商社勤務。ロンドン北部在住。
Bさん(30歳)/在英1年(家族帯同ビザは2年)。夫はメーカー勤務。ロンドン北部在住。
Cさん(35歳)/在英3年半(家族帯同ビザは5年)。夫はサービス業勤務。ロンドン西部在住。

赴任決定でプロポーズ!

― 夫の英国赴任が決まった時は、どういう心境でしたか?

A
主人は帰国子女で、入社した時からヨーロッパ勤務をずっと希望していたらしくて。彼にとっては「10年程かかったけど、やっと叶った」っていう感じだったみたいです。でも、私にとっては突然の出来事でした。

― 海外生活をすることになるかも、とは考えていなかった?

A
実は当時、まだ結婚していなかったんです。私は大阪で働いていて、東京から転勤で来た主人と大阪で出会いました。だから彼の東京帰任にあわせて、私も転勤届を会社に出し、東京での新しい配属先や住む場所も決まっていたのに、突然「東京ではなくイギリスに行くことになった」と言われて…。正直なところ、膝から崩れ落ちるような気持ちでしたね(苦笑)

― では、赴任が決まった後に入籍してロンドンに?

A
そうです。バタバタで大変でした。
B
私も同じ状況です。夫は海外の大学を出ていて、今の会社に入社する時も「海外勤務枠」だったらしいんです。彼と付き合っていた時から「将来、海外勤務になるかもしれない」と聞いていたので、「いいじゃん! 行こうよ、海外!」と話していました。そして、プロポーズと同時に赴任が決まったことを聞いた感じです。
C
みなさん新婚なんですね。私は「海外勤務、海外生活したいね」って夫婦で話し合って、会社に海外赴任の希望を出してもらいました。リクエストしてから3年目くらいに旦那の赴任が決まって、イギリスに来ました。

― 仕事を辞めて帯同することについて、迷いはありませんでしたか?

A
迷いはなかったんですが、ショックでしたね。「東京で新しく始めるぞ」と思っていたのに、それが全部崩れてしまったのと、仕事をすぐに辞めなくてはいけなかったのが残念で。
B
私はちょうどその頃、転職しようと思って仕事を探していた時期だったんです。だから、そこまでショックを受けたり、迷ったりはしなかったです。
C
私は事前に話し合っていたので、いつ辞めてもいいようにという心積もりで働いていました。

船便は無制限?

― 赴任が決まってから渡英するまではどのくらい?

C
旦那の会社は、彼が渡英してから半年間は家族は行っちゃダメという規定があって。ビザが取れるまで半年以上かかったので、私自身がイギリスに来たのは、彼の赴任が決まってから約1年後ですね。
B
夫の会社は、辞令が出てから赴任までの期間が半年という決まりだったのですが、私の場合、両家の顔合わせや入籍、パスポートを替えたり、ビザを申請したりと、やらなければいけないことがたくさんあったので慌しかったです。5ヵ月ちょっとでビザが取れて彼がイギリスへ行き、家などが決まってから私が来ました。
A
私もまったく同じですね。半年の間に入籍とか全部すませたので、仕事もしていたし本当に大変でした。帯同者のビザも、自分で手配しないといけなかったんです。
B
えぇ~意外。商社は全部やってくれそうなのに…。
A
一応サポートはしてくれるんですけど、送られてくるメールの添付ファイルが何十枚とかになっているんですよ! それを全部読んで、その通りに準備して…。何度も主人の会社に電話かけたし、向こうからもかかってくるし、忙しすぎて、その頃の記憶はちょっと曖昧(苦笑)
C
それは大変でしたね…。

― 引越し費用は、夫の会社が負担?

A
そうですね。荷物は1人につき航空便1回、船便1回が無料です。
C
うちも同じ。
B
でも友人の会社のアメリカ駐在員は、船便無制限だって聞きました。「とりあえず何でも送って、いらなければ現地で捨てる」って。車を安く買って、本帰国の時に日本へ船便で送るらしいですよ。
A
すごい! 羨ましい!
C
いいなぁ。私だったら食器とか家具とか、いっぱい買っちゃう。

夫が渡英するまでの半年間で、両家の顔合わせ、入籍、家族帯同ビザの取得と目まぐるしい日々を送ったと話すAさん(右)とBさん(左)。

新築の家は難あり!?

― ロンドンでの住まいは、どうやって見つけましたか?

A
主人が先にロンドン入りしたので、彼が日系の不動産屋さんの方と物件をまわる時にスカイプを繋いで、私も日本で画面越しに見ながら決めました。
B
私も夫が1ヵ月早くロンドンに来ていたので、先に不動産屋さんの人と部屋をまわってくれました。でも、私の場合はラインでしたね。朝起きると、見に行った家の写真がいっぱいアップされているんですよ。ただリアルタイムで確認できなかったので、結局は「ここに決めたよ」ってメッセージがきましたけど(笑)
C
じゃあ、見学したその日に決めたっていうこと?
B
2~3日見てまわって、すぐに決めてましたね。
A
うちは1日だけです。1日で10軒まわってもらいました(笑)
C
それはすごい! 旦那さん、頑張ったねー!
A
会社の決まりで、1日しか猶予がなかったんです。そうじゃないと、実費でホテルに泊まらなければいけないので、「はい、次。はい、次」とバーっとまわってました。
C
旦那の会社はとくに何も言わなかったみたいなんですけど、家が決まらないと銀行口座がつくれないので、早く決めたいと言ってましたね。日系の不動産屋さんを利用して、1週間かけて物件をまわって写真を送ってもらいました。ウェブサイトで間取りなども確認して、その中から「75点かな」というフラットを選びました。

― ということは、結構あちこち見てまわったんですね。

C
私の絶対条件が「治安のいい所」だったので、日本人が多く住む治安のいいと言われる場所は、全部まわったらしいです。家賃と治安と私の点数で決めました。今となっては100点、満足してます。
AB
おぉー!
B
私は欲を言うと、オープンキッチンがよかったんですけど。でも「住むのにテンションの上がる家」がよくて、日本にいた時から彼とそういう感覚が合っていたので、彼自身がテンションの上がる家だったらいいんじゃない? って伝えてました。

― では、今の家は満足してますね。

B
それが…(笑)。どこにでも行きやすいし、場所はとてもいいフラットなんですけど狭い。狭いのに、家賃は日本にいた時の2倍以上! 1年契約なので、引っ越したいねって話してます。
A
うちは新築で最初は100点だったんですけど、半年で10回も修理が入っているんです。レンジや食洗機が壊れたり、お風呂場のドアが開かなかったり。主人がお風呂場に閉じ込められたこともあったので、シャワーを浴びる時はドアを少し開けてます(笑)
C
そういえば、私の友達も新築のフラットに引っ越したけど、しょっちゅうエレベーターが壊れるって言ってましたよ。
A
やっぱり! 新築のせいかな…。

「今住んでいるフラットは100点!」と話すCさん。

海外慣れした夫とケンカ

― 実際にロンドンで生活をはじめてみて、いかがですか?

A
突然来ることになったので、事前にイメージしていた生活とのギャップなどはなかったんですが、最初の1週間くらいはずっと泣いてましたね。
C
えっ、なんで?
A
一番負担だったのは、ロンドンに着いた当日から主人が「どんどん外に行け」って言うこと。彼は帰国子女なので英語も話せるし、海外生活も慣れているんでしょうけど、私は初めてのイギリスで、まだ家の中も身の回りも片付いていないのに…。それがつらかったですね。
B
それ、わかるかも…。私も着いた次の日に行ったレストランで、彼は英語ペラペラなので自分の分だけ注文した後、「なんでさっさと注文しないの?」と言われてしまって。「来たばっかりなんだから、もう少し甘えてもよくない!?」って思いましたよ。最初は、そうした小さなことで夫とケンカすることが多かった気がします。
A
そう! そうしたことを話したり、愚痴を言ったりする友達がいなくて、「友達シック」にもなっちゃって。
B
話す相手は結局、夫しかいない。それが余計にストレス(笑)
A
これまで、遠くてもインドまでしか行ったことがなかったんです。だからイギリスに来る時、飛行機の中でロシアの上を飛んでいるマップを見て、「こんなに遠くまで来ちゃった…」(泣)って。今となってはイギリスが好きだし、住みやすい国だと思っているんですけど。スタートはテンションが低かったですね。
C
実は私、旦那がイギリスに行ってから私が来るまで半年ほど時間があったので、その間に観光がてら1ヵ月くらいロンドンに滞在したんです。
B
それはいいですね!
C
「ロンドンに住みはじめたら、買い物をするスーパーはここにしよう」とか、「ここでお茶しよう」とか、そういうことを具体的に想像する時間があったので、実際の生活をはじめても最初から楽しかったです。
A
土地勘ができた上でのスタートだったんですね。
C
下見ができていたから、「ロンドンにはこういうものがないんだ」と必要なものも事前にわかって準備できたし、まごつくことは少なかったかな。

「ロンドンに来た当初は、日本にいる友達に会いたくてたまらなかった」と話すAさん。

軟水VS硬水

A
私はロンドンで生活をはじめた時、洗濯に一番困りました。どの洗剤を使っていいかわからなくて買いこんだので、やたらと家に洗剤があります。黒専用、青専用、デニム専用とか…。
C
すごい! ちゃんとしてるね~。
A
洗濯が一番好きなんですよ。日本にいた時から、柔軟剤とかこだわっていました。でもこっちの商品はよくわからないし、軟水と硬水で仕上がりが違うと聞いたので、色々試しちゃって。試験代わりに、主人の洗濯物を先に洗ったり(笑)

― 水の違いは日本人にとって大きな問題だと思いますが、自宅は軟水に変えていますか?

A
一番気になるのはシャワーですけど、家のシャワーヘッドが壁に取り付けられていて外せないんです。だから軟水用のものに取り換えられなくて。
B
うちはシャワーだけは軟水に変えました。でも効果あるような、ないような…?
C
私は肌が弱いので、最初の1ヵ月の「予習滞在」で荒れちゃって。硬水のせいで髪質も変わってしまったので、すぐに軟水用のシャワーヘッドに換えました。でも確かに、効果ははっきりとはわからない(笑)
B
ですよね! 旅行先で使うシャワーよりは髪が柔らかくなった気がする…? って程度(笑)
A
みなさん軟水にしてるんですね。私は手荒れがひどくて。キッチンは変えていないんですか?
BC
そのままです。
A
じゃあ、手袋をつけて?
B
手袋もつけてない…。最初はつけてたけど、面倒くさくて。
C
私も! 初めはカワイイ手袋を買って使ってたんだけど、だんだん…(笑)
A
イギリスは食洗機があるので、私はもっぱらそれに頼ってます。
C
私の家、食洗機ついてない! 家探しの時に、食洗機をリクエストすればよかった…。「コンロは4つ」しか言わなかったなぁ。

些細なことで夫とケンカしていたと話すBさん。
軟水と硬水って?
英国生活で直面する悩みのひとつは「水」。
WHO(世界保健機関)は、水1リットルあたりのカルシウムやマグネシウム等の含有量が120 mg未満の場合は「軟水」、120 mg以上の場合は「硬水」と定めており、この硬度基準によると日本は軟水寄り、英国は硬水寄りとなる。
硬水は、軟水に比べて口当たりが重く苦みが感じられ、またカルシウムやマグネシウムの影響で、肌がつっぱったり髪がパサパサしたりする傾向がある。
実は、英国本土内でも硬度には大きな差があり、南下するほど高硬度の硬水になる。

週刊ジャーニー No.1024(2018年3月1日)掲載

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