■イングランドで、治癒が難しい特定の乳がん患者を対象に、延命効果が期待される薬「エンハーツ」が国民保健サービス(NHS)で使用できるようになった。2年前には費用対効果が低いとして承認されなかった薬で、患者や支援団体による長年の働きかけが今回の決定につながった。

対象となるのは「HER2低発現」と呼ばれる、がん細胞の表面にあるHER2というたんぱく質が少ないタイプの転移性乳がんで、年間約1000人が投薬を許可されるとみられる。エンハーツを使った場合、平均で約7ヵ月寿命を延ばせる可能性があり、中には3年近く長く生きた患者もいるという。スコットランドでは2023年からNHSで利用が始まっており、欧州26ヵ国でも使用されている。
支援団体「ブレスト・キャンサー・ナウBreast Cancer Now」は、承認までここまで時間がかかったことを悔やみ、多くの患者が薬を利用できないまま亡くなったと指摘。「決定を喜ぶ一方、失われた時間を忘れることはできない」としている。今回の方針転換の背景には、米国との貿易協議を受けた医薬品価格制度の変更がある。NHSが、薬によって得られる「質の高い1年の延命」に支払える上限額が3万ポンドから3万5000ポンドに引き上げられたほか、患者の生活の質を評価する方法も見直された。これらの変更により、エンハーツは費用対効果の基準を満たすことになった。
ただ、製薬会社側が大幅な値下げを行ったわけではないとみられる。医療当局は今回の決定を歓迎しつつ、今後は患者が高額な治療を求めて長期間キャンペーンを続けなくても済む制度づくりが必要だとしている。ウェールズでも近く利用可能になる見通しだ。 By週刊ジャーニー (Japan Journals Ltd London)










































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