2012年11月1日 No.752

●サバイバー●取材・執筆/根本玲子・本誌編集部

 


© 2011 Eco-Cycle

日頃さぼり気味だった家の汚れが気になり始める季節。
おっくうになりがちな掃除も
汚れ落としのコツさえ押さえれば、
ストレスはぐっと少なくなるというもの。
今回は普段にも大掃除にもお役立ちの
英国流「楽勝!ハウス・クリーニング術」を大公開。

参考文献
「The Art of Good Housekeeping: 1001 things you need to know to run the perfect home」
Edited by Helen Harrison, COLLINS & BROWN 他

 

そうじは化学!
まずは「敵」=「汚れ」の性質を知るところから

 汚れと一言に言っても、実は様々。油汚れからはじまって、水垢、ホコリ、カビなど、性質によって対処法も異なってくる。英国生活をスタートして「ライムスケール limescale」など、日本ではまず出会わなかった『新手の汚れ』を前に途方に暮れたり、一念発起して掃除用品をゲットしにスーパーを訪れたものの、どれを選んだらよいかわからずに目移りしてしまったりした方も多いはず。効率よい掃除を目指すなら、まずは汚れの性質を見極めて、適した洗剤を選ぶことが肝心だ。
 ホコリや髪の毛、食品のカスといった固体の汚れには、掃除機やハタキをかける、布で拭き取るなどの対処で十分だが、厄介なのは油汚れなどの、時間と共に様々な汚れが混合してこびりついてしまった汚れ。軽いうちなら台所用洗剤などの中性洗剤で十分落ちるが、油断して放置すると拭き取る程度では対応できなくなってしまう。普段からのこまめな掃除が大切とはいえ、もし汚れが溜まってしまったら「酸性の汚れにはアルカリ性の洗剤、アルカリ性の汚れには酸性の洗剤」で中和させて、キレイにするのが基本だ。
 例を挙げると、酸性のものは油汚れ、手垢、湯垢、生ゴミの匂い、グリルの焦げ付きといったもの。アルカリ性のものは水垢、さび、石けんのカス、ケトル内部などにつくライムスケール、トイレの尿石、タバコのヤニなどだ。また、カビなどの菌類には漂白剤やアルコールなどを用いて殺菌することも必要になってくる。
 さらに、洗剤に含まれる化学物質が気になる、手荒れが気になる、小さなお子さんがいるので安心できる素材を使いたいといった場合には、ケーキ作りなどに使用する「重曹(バイカーボネイト・オブ・ソーダ bicarbonate of soda、またはbaking soda)」(重炭酸ナトリウム。ベーキング・パウダーとは異なる)や「ホワイト・ビネガー white vinegar」(無色透明のお酢)を使った『自然派おそうじ術』も有効。安価で入手でき、家にもともとある場合も多いので経済的だ。この場合、酸性の汚れや悪臭には重曹、アルカリ性の汚れにはホワイト・ビネガーの使用が基本になる。
 また、英国では植物由来の原料を使用した、環境に配慮した洗剤(エコベール Ecoverなど)も数多く発売されているので、スーパーや自然食品店などで買い求めてみるのもいいだろう。
 「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」と言われるように、「敵」=「汚れ」の性質を知ることは、楽勝おそうじの大きなポイントなのだ。

 

ニガテ意識を克服!
掃除がラクになる「心得」とは

 さて、敵を知ったところで「己を知れば」のほうはいかがだろうか。
 掃除を大仕事にしないためには、「掃除しやすい環境づくりと心構え」も実は大切。掃除嫌いの場合、モノが多過ぎて腰が上がりにくいというケースが往々にしてあるもの。実際の掃除の前に、モノをあちこちに動かさなければならないと、せっかくの気力も萎えてしまう。必要ないモノ、なんとなくとってあるモノを思い切って処分するよう心がければ、見た目もすっきりし、格段に掃除がしやすくなる。
 また、「いつか使うかも」的グッズはいつの間にか忘れ去られてワードローブどころか部屋の『こやし』になっている場合が多いもの。本当に使う予定があるのか吟味して、はっきりしなければ潔く捨てたり、「オックスファム」などのチャリティ・ショップに寄付したりすることも検討してみてはいかがだろうか。将来必要になったら、その時にまた手に入れればよいと割り切るのも一案だ。
 そして、一気に完璧にしようと張り切りすぎず、今日はココ、明日はココと場所別に対処すれば、掃除はもっと気楽にできるはず。1ヵ所に15分も取り組めば、たいがいキレイになるもの。ピンポイント攻撃で1日15分を毎日、それが無理なら1日おきなり毎週末なり、マイペースで続けて行くことが肝心なのだ。そうすれば、ホーム・パーティーや引越しの前に慌てることもない。
 掃除とは一生のおつきあい。せっかくなら楽しくおつきあいできるように「己を知る」=「日々の掃除を困難にしている原因を見つけ」て、自分なりのおそうじ戦術を編み出してみるのもいいかもしれない。