
■ 教育と文化、そして平和のための科学の発展を推進する目的で、1945年にロンドンで創設されたユネスコ(UNESCO)。その主要な活動のひとつが、世界遺産の登録と保護だ。2025年現在、英国にある世界遺産の数は、文化遺産29件、自然遺産5件、複合遺産1件の35件。今年最後の夏のバンクホリデーには、車、あるいは公共交通を駆使して出かけてみてはいかがだろうか?
●サバイバー●取材・執筆/本誌編集部

巨人がつくった奇怪な道 ジャイアンツ・コーズウェイとコーズウェイ海岸

www.nationaltrust.org.uk/giants-causeway
古代ローマ人が建造した最北ライン ローマ帝国の国境線(ハドリアヌスの長城)

2世紀に英国を支配していたローマ帝国のハドリアヌス帝が、北方部族の侵入を防ぐために建設した長さ約120キロの城壁跡で、英国版「万里の長城」。現存するローマ時代の遺跡としては英国最大。場所によっては高さ6メートルにも達していた。観光拠点の町はカーライル、またはニューカッスル。バスでの観光も可能。
キリスト教、北の聖地 ダラム城と大聖堂

北イングランドにおける「キリスト教の聖地」として知られる街、ダラム。川と緑に囲まれた小高い丘の上にたたずむダラム城と、その横にそびえる英国最大規模のノルマン様式建築の大聖堂(写真)は街のシンボル。同大聖堂は英国国教会において、総本山のカンタベリー大聖堂、第2位のヨーク大聖堂、第3位のセント・ポール大聖堂に続く第4位の教会順位を持つ。ちなみに、ダラム城は大学として利用されているため、見学はガイドツアーのみとなる。
人間の営みと雄大な自然の調和 イングランドの湖水地方

氷河期に形成された渓谷や湖が点在し、手つかずの自然が広がる湖水地方は、いわずと知れた英国の代表的な観光名所。そのため、2017年に文化遺産に登録された際には、「まだだったの?」との驚きの声が上がった。自然と人間の営みによって育まれた風景や、芸術や文学との結びつきが高く評価されている。「ピーター・ラビット」シリーズの舞台としても有名。観光の拠点はウィンダミアの町が便利。
要塞建築の範例 グウィネズのエドワード1世の城郭と市壁

13世紀後半にウェールズを征服したイングランド王エドワード1世によって建てられた、堅牢な4つの城塞は必見。その中でも最も保存状態がよいとされるコンウィ城、『天空の城ラピュタ』でシータが幽閉された城のモデルになったカナーヴォン城(写真)は訪れておきたい。北ウェールズの街グウィネズに分布しているので、車での移動が便利。
英国で最も高くて長い水道橋ポントカサステ水路橋と運河

ウェールズの街レクサムを流れるディー川に架かる、蒸気機関車が登場するよりも以前の1805年に完成した水道橋。産業革命期に天然資源を運ぶために設計されたもので、高さ38メートルの橋に運河が流れている。長さ307メートルの英国で最も長い水道橋で、産業革命における建築物の傑作。ぜひナローボート、または徒歩で渡ってみたい。
スレートの発掘地ウェールズ北西部のスレートの景観

2021年に文化遺産として登録された、ウェールズ北西部にあるスノードン山周辺のスレート(粘板岩)の産地。採掘されていた石切り場や鉱山、作業員らが暮らした家や資産家の邸宅、トロッコ、港など、産業革命期に栄えた姿が今も残っている。
世界最大級の電波天文観測所ジョドレルバンク天文台

2019年に世界遺産に登録された、マンチェスター大学のジョドレルバンク天体物理学センターにある天文台。同大学の電波天文学者バーナード・ラヴェルが1945年、第二次世界大戦中のレーダー研究をもとに、宇宙線の調査のために設立したもの。ドイツのエフェルスベルク電波望遠鏡、米国のグリーンバンク望遠鏡に次いで、世界第3位の口径を有している。
産業革命の発祥の地、世界初の鉄橋アイアンブリッジ渓谷

シュロップシャーにあるアイアンブリッジ渓谷は、天然資源の豊富さ、コークスを用いた製鉄法、水運の良さにより、産業革命の中心地のひとつだった。本来の名は「セヴァーン渓谷」というが、世界初の鉄橋にちなみ、この名で文化遺産に登録されている。1781年に開通した鉄橋は、今も歩いて渡ることが可能。周辺には博物館、地下トンネルなど、観光アトラクションあり。
炭鉱の歴史を後世に伝えるブレナヴォンの産業景観

18世紀末から製鉄業で栄え、19世紀には石炭・鉄の産地として、産業革命を支えたウェールズのブレナヴォン。最後の鉱山は1980年に閉山したが、採石場などはそのまま残され、炭鉱の歴史を後世に伝える。『天空の城ラピュタ』でパズーが暮らしていた町のイメージの源泉と言われている。見どころはビッグ・ピット国立博物館とブレナヴォン・アイアンワークス。観光は車が便利。
1億8500万年の歴史と神秘ドーセットと東デヴォンの海岸

東デヴォンからドーセットまで約150キロにわたる風光明媚な海岸線には、恐竜が生きた中生代の地層が刻まれており、「ジュラシック・コースト」の名で呼ばれている。化石の発掘体験もできるほか、波が浸食してできた石灰岩のアーチ「ダードル・ドア(Durdle Door)」(写真)は観光の目玉。まるで恐竜が頭を海に突っ込んでいるみたい!
キリスト教の一大巡礼地カンタベリー大聖堂、セント・オーガスティン修道院跡と セント・マーティン教会

6世紀にキリスト教布教の拠点となった街、カンタベリー。重要な教会建築として、英国国教会の総本山カンタベリー大聖堂(写真)、6世紀に建てられた聖オーガスティン修道院(ヘンリー8世によって解体、現在は廃墟)、聖マーティン教会の3ヵ所が文化遺産となっている。
週刊ジャーニー No.1407(2025年8月21日)掲載


























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