●サバイバー●取材・執筆/たべ太蔵
■ 今年も残すところわずか。素敵な1年を過ごした人も、厳しい1年だった人も、ボ~っとしてたら1年が終わっちゃった人も、何かと外食の機会が増える季節。年末にハズレくじは引きたくない。そんな方のために、本紙がウエストエンドを中心に潜入取材した数々のレストランの中から、お勧めできる24店を厳選した。「コベント・ガーデン」「ソーホー」「中華街 他」の3エリアに分けてご紹介。予算はアルコールやサービス料抜きで1人50ポンド以下。きっとはずさないと信じるけど、あくまでも編集部の独断、つまり好き嫌い。はずしたって責任は取らない。その時は世界平和のため笑って許そう。これ以外のレストランに関しては、オンライン・ジャーニーの
をご覧ください。コベント・ガーデン COVENT GARDEN
Barthazar バルタザール
ニューヨークで成功した店がロンドンに進出。料理は無国籍だけどフレンチ寄り。外観が立派で気おくれしたけど、店内はパリのブラッセリー風でゴージャス。比較的アダルトでドレスコードはスマートカジュアルが無難。メニューは少しクラシックながら、今風に洗練されて重くなく美味しい。
4-6 Russel St, London WC2B 5HZ
www.balthazarlondon.com
Le Garrick ル・ギャリック
コベント・ガーデンの一角にある、小さな家族経営ほっこり系フレンチ・ブラッセリー。前菜はエスカルゴやフォアグラ・テリーヌ、メインはビーフ・ブルギニヨンやダックコンフィと、超がつくクラシックな直球フレンチ。でも丁寧に調理されていて、飾らない美味しさ。ワインもお値段良心的で助かる。
10-12 Garrick St, London WC2E 9BH
www.legarrick.co.uk
Palm Court Brasserie パーム・コート・ブラッセリー
コベント・ガーデンのお食事処。映画「マイフェア・レディ」でオードリー・ヘップバーンが花を売っていた教会から徒歩30秒。赤いソファーが連なり、照明控え目キャンドルゆらりでロマンティック。メニューは一見クラシック。でも実際はモダンで軽やか。ムール貝が食べたくなると行く店。
39 King St, London WC2E 8JS
www.palmcourtbrasserie.co.uk
Vasiniko ヴァニシコ
コベント・ガーデンで美味しいナポリ・ピッツァを食べたければここ。少しひなびた所にある同店は、ナポリの安カフェ風。「ヴァシニコ」とはバジルのこと。ピッツァはいずれもドゥがフカフカモチモチで気分アゲアゲ。パスタも本格派。高級感とは無縁の安カフェ風なので、親しい友人との会食等にお薦め。
9 Burleigh St, London WC2E 7PW
https://vasinikopizza.co.uk
50 Kalò 50 カロ
2018年にトラファルガー広場近くに開いたピッツェリア。「チンクァンタ・カロ」と読む。ナポリではかなりの人気店。生地(ドゥ)がもちもちもちっとして塩加減も絶妙。ピッツァ専門店なので、パスタもリゾットも肉料理もなし。食後のドルチェはぜひ。天井の高いゴージャスなインテリアは壮観。
7 Northumberland Ave, London WC2N 5BY
www.50kalo.it/50_kalo.php
Dishoom ディシューム
ゾロアスター教徒が広めたボンベイ・カフェの文化を受け継ぐ「ディシューム」。安くて美味しいけど、予約を取らないのでいつも長蛇の列。昼の2時過ぎを狙って行っても45分待ち。しかし待つ甲斐あり。どれもダシがしっかり効いていて、ホレボレする美味しさ。内装も素敵でスタッフも感じ良し。
12 Upper St. Martin's Lane, London WC2H 9FB
www.dishoom.com/covent-garden
Punjab Restaurant プンジャーブ
1946年オープンの「ロンドン最古の北インド料理店」。予約は受けず「ウォークインのみ」。料理は脂のギトギト感とは無縁で美味しい。途中で重くなることもなく、あっさり完食。インド系のお客さんが多いのも良い知らせ。お値段もお手頃。美食の激戦区で70年以上続くには理由がある。
80 Neal St, London WC2H 9PA
www.punjab.co.uk
Opera Tavern オペラ・タヴァーン
「ソルト・ヤード」(後述)グループで恐らく最も成功している店。コベント・ガーデンの食の激戦区にあるタパス料理店。店内の雰囲気が素敵。料理は小ぶりだけど一つ一つ、プレゼンにも手が込んでいて美味しい。2人でタパス5品+デザート1品、計6皿で「美味しい~!」の12連発が出たお店。
23 Catherine St, London WC2B 5JS
www.saltyardgroup.co.uk/restaurants/opera-tavern
ソーホー SOHO
Bancone バンコーネ
コベント・ガーデン店、ゴールデン・スクエア店に続き、最近バラマーケット店がオープンしたパスタ専門店。コロナに負けずビブ・グルマンを維持しているのは立派。手頃な値段で美味しいフレッシュパスタが食べられる洒落た店。シグニチャーの「シルク・ハンカチーフ」は安定の美味しさ。
Golden Square 店
8-10 Lower James St, London W1F 9EL
www.bancone.co.uk
Bocca di Lupo ボッカ・ディ・ルポ
ソーホーの少し怪しげな小路にある割に、実はちゃんとしたイタリア料理店。メニューはイタリア各地の郷土料理のいいとこ取りといった感じ。パスタやリゾットは小さめのポーションにして、色々試すほうが楽しくてお薦め。人気店なので予約が取りづらいけど、また行きたいと思わせてくれる一店。
12 Archer St, London W1D 7BB
www.boccadilupo.com
Da Michele ダ・ミケーレ
ナポリ市内に3000軒あると言われるピッツェリアの中で、常にナンバー1に輝くピッツァ専門店。その「ダ・ミケーレ」がロンドンに出店。ナポリ本店はピッツァ勝負の店だけど、ロンドン店は前菜もパスタもスイーツも出すレストラン。ピッツァは皿から溢れ出る大きさが売り。前菜やパスタも侮れない。
44 Old Compton St, London W1D 4TY
www.anticapizzeriadamichele.co.uk
Prix Fixe プリフィックス
手頃な値段でフランス人が日頃食べているフレンチが食べられる店。取材後よく通った。メニューにはひと時代前のオーソドックスなレシピが並ぶ。ムール貝の白ワイン蒸しやバベッテ(ハラミ)ステーキが美味しい。どれもボリューム満点。「うちは食堂だ」といった気取らない雰囲気が好き。
39 Dean St, London W1D 4PU
http://www.prixfixe.net/
ZÉDEL ゼデル
ピカデリーサーカス駅徒歩1分。100年前のパリのブラッセリーを再現した店。大好きで何度行ったことか。260席もある巨大なアールデコの空間は、まさに1920年代のパリ。メニューはちょっと重めのクラシック・フレンチ。値段も信じられないくらい良心的。誰かを連れて行きたくなるお店。
20 Sherwood St, London W1F 7ED
www.brasseriezedel.com
Berenjak ベレンジャク
ビブ・グルマンのペルシャ料理店。店内はイラン人と思しき人々で大賑わい。料理は前菜のマゼ(メゼ)とメイン料理いずれも8種。どれも美味しくて会話も止めて、しばし食事に没頭。テーブル小さい、椅子硬いなど小さな不満点はあるが、それを帳消しにする美味さと財布への優しさあり。
27 Romilly St, London W1D 5AL
https://berenjaklondon.com
The Delhi Brasserie デリー・ブラッセリー
ソーホーの真ん中で30年以上営業している、直球インド料理の店。変に今風にいじっていない普通の美味しいインドのカレーが今日食べたい、今食べたい、そんな時におススメの店。普通のインド料理店が減りつつある中、オシャレな皿はないけど、真面目さがジワリ伝わる安定の美味しさ。
44 Frith St, London W1D 4SB
https://delhibrasserie.com
Hoppers ホッパーズ
ビブ・グルマン獲得のスリランカ料理店。あまりにも予約が取れないので、取材時はマリルボーン店へ。スリランカ料理はよく分からないのでお任せしたら、前菜もメインも何もかも洗練されていてとっても美味しい。自慢のホッパーも面白い。そして何よりお値段良心的。90分限定なのが残念。
49 Frith St, London W1D 4SG
www.hopperslondon.com
中華街 他 CHINATOWN etc...
Chuan Royal China チュアン・ロイヤル・チャイナ
コロナ禍の2021年暮れ、中華街にひっそりオープン。「ロイヤル・チャイナ」グループの他店より、インテリアも料理も少しコンテンポラリー。ディムサム(飲茶)の定番メニューは、ディナー時にも提供されていて嬉しい。中華街にしては割高だけど、雰囲気も料理も食器類もサービスも「お上品」でグッド。
30 Gerrard St, London W1D 6JS
https://www.royalchinagroup.co.uk/royal-china-chinatown
Tao Tao Ju タオタオジュ
かつて中華街ではランチタイムのみ点心を提供する店が多かったが、最近は終日出す店が増えた。この陶陶居(タオタオジュ)もその一つ。点心は全て店内で作られるフレッシュなもの。料理の軸は広東だけど、メニューは多様。カスタード入り蒸し饅頭は、上品な美味しさに思わず笑顔になる。
15 Lisle St, London WC2H 7BE
www.taotaoju.co.uk
Imperial China インペリアル・チャイナ
中華街の本流はジェラード・ストリート。こちらは支流のライル・ストリート。中華街で「うちは別格」と言わんばかりに秘所に佇む「インペリアル・チャイナ」。心穏やかにゆったり食事を楽しめる。高額メニューもあるけど、案外リーズナブル。チャイナタウンにあって恐らく頭一つ抜け出た存在。
White Bear Yard, 25a Lisle St, London WC2H 7BA
www.imperialchinalondon.com
Singapulah シンガプラー
中華街近くのシンガポール料理店。地上4階、100席以上と大きな店。シンガポールの絶品ストリートフードを提供する店。仕掛人はエレン・チューさんで、「ラサ・サヤン」(下)のオーナー。ファストフード店風カジュアルな雰囲気なので、気取る必要なし。スタッフの感じもいいし、値段も良心的。
53 Shaftesbury Ave, London W1D 6LB
www.singapulah.co.uk
Rasa Sayang ラサ・サヤン
「ラサ・サヤン」は「愛しい思い」といった意味。マレーシアやシンガポール料理が中心の店。料理はどれも「おっ」が出る美味しさ。味の向こう側にかすかにうま味調味料が見え隠れする皿もあるけれど、美味しさが勝つからさほど気にならない。値段もリーズナブル。なかなか満足度の高いお店。
5 Macclesfield St, London W1D 6AY
www.rasasayangfood.com
Plaza Khao Gaeng プラザ・カオゲーン
「カオゲーン」とは「ぶっかけ飯」のことで、タイ南部の食文化。地下鉄トッテナムコートロード駅を出てすぐのフードコート中2階にある、ちっちゃい食堂。ビブ・グルマン獲得店。知っているタイ料理と全然違う。料理はどれも会話が中断するくらいに美味しい。味に深みと厚みがあり、値段も良心的。
103-105 New Oxford St, London WC1A 1DB
https://plazakhaogaeng.com
Salt Yard ソルト・ヤード
「デエサ」「オペラ・タヴァーン」「エンバー・ヤード」などを擁するグループの旗艦店。こぢんまりして見えるけど、地階にも45席分のスペースがある。元々肉料理が得意だったけど、今は魚介や野菜の小皿料理も充実。タパスは細部にまで手が込んでいて見目も麗しい。グループ内で一番好きな店。
54 Goodge St, London W1T 4NA
www.saltyardgroup.co.uk
Copita コピタ
「バリカ(barrica)」の名で日本人にも人気のタパスだったけど、コロナ明けに2号店と同じコピタに改名。「ソルト・ヤード」の並びだけど、こちらはより本場のタパスバーに近いカジュアルな作り。肉料理も美味しいけど、シーフードもなかなか。この店ができたせいで、スペイン旅行の回数が減った気がする。
62 Goodge St, London W1T 4NE
https://copita.co.uk/restaurants
週刊ジャーニー No.1368(2024年11月14日)掲載