意外な故郷、ホーボーケン
時間に余裕のある人は、ネロとパトラッシュの故郷ホーボーケンも訪れてみてはいかがだろうか。
アントワープの隣町ホーボーケンは、ネロやパトラッシュが住んでいたとされる当時は戸数20軒ほどの小さな村であった。アントワープからはトラムで約20分。市内中心部から行く場合は、フルン広場のトラム乗り場「Groenplaats」から④番線「Hoboken(Kioskplaats)」行きに乗って終点で下車。中央駅から行く場合は、②番線「Hoboken(Kioskplaats)」行きのプレメトロ(部分的に地下鉄を運行するトラム)に乗るだけだ。
現在のホーボーケンには、アニメで見たような緑あふれる村の面影はない。見どころといえば、ネロとパトラッシュの像と、ネロの母や祖父が眠るとされる聖母教会くらいだろう。商店街にぽつんとたたずむ像は、どのアングルから見てもうつむき加減で、一層の寂しさが煽られる。あまりの慎ましさに、いささか拍子抜けしてしまった。かつては像の背後にツーリスト・インフォメーションがあり、『フランダースの犬』にまつわる資料が展示されていたり、記念グッズが販売されていたりしたらしいが、今は閉鎖されてエステティック・サロンが営業していた。
とはいえ、トラムの車窓から眺める風景は、徒歩で目にする景色とひと味違って新鮮。街路樹のトンネルを通り抜けたりするので、スケジュールにゆとりのある人は訪ねてみてもいいだろう。
アニメ作品として日本で初放映されてから40年が経とうとする今でも、人々を魅了する『フランダースの犬』。その救いのない内容から「悲劇の代表格」として広く知られているが、この物語を生み出したのはアントワープという都市の光と影と言っていいだろう。ネロとパトラッシュの固く結びついた魂は、ルーベンスが描いた聖母マリアの胸に抱かれて、あの大聖堂で安らかに眠っているのかもしれない――。
「パトラッシュ。僕は見たんだよ。
一番見たかったルーベンスの2枚の絵を。
だから僕は今、すごく幸せなんだよ」
※本文中のネロの言葉は、「世界名作劇場」での放送内容から引用しています。
| 編集部に襲いかかった アントワープ事件簿 |
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■ベルギーはフランス語とオランダ語という2ヵ国語が主な公用語であるため、英語での案内があまりなく、少々不便に思うことが少なくなかった。例えば、駅の電光掲示板にも英語表示がなく、車内放送でも英語のアナウンスは流れない。突発的な事件(今回編集部が見舞われた、ブリュッセル~アントワープ間の列車がすべてキャンセルになるなど)が起きた場合、状況がわからず右往左往するはめになりがちなので、常に心と時間のゆとりを持って旅しよう。 |


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