2017年7月13日

 

ご当地ワインと郷土料理&名産物⑳スペイン・ワイン総括 その2

例外的に緑豊かなエリア

 

「グリーン・スペイン」という言葉を耳にしたことはないだろうか。スペイン北部の海に面した地域を指す言葉だが、高原や山地が多く、全国的に地中海性気候に属す乾燥地帯であるスペイン本土において、この一帯だけは海洋性気候で、スペインではめずらしく雨が多く、緑の大地が広がる。今年2月号で紹介したイベリア半島最西端に位置するリアス・バイシャスRias Baixasを有すガリシアGalicia州のほか、その東に位置するアストゥリアスAsturias州、カンタブリアCantabria州、バスクVasque州の4つの州をこう呼ぶ(スペイン語では『エスパーニャ・ヴェルデEspaña Verde』=文字通り「緑のスペイン」)。一般的なスペインのイメージといえる『灼熱の太陽の国スペイン』とは全く異なった一帯で、英国人の身近なところではアイルランドやスコットランドを思わせる地域だ。



最近になって人気が出てきた小規模生産者が造るワイン

この地域のワイン生産者たちの規模は小さく、優良生産者の中には年産200~300ケースのみというところもある。ブドウ栽培業者の大半は僅か数ヘクタールしか手掛けていない。経済的にはあまり恵まれていない地方でもあり、スペインの他の地方から相手にされないことも少なくなかったが、1990年代になってからリアス・バイシャスのワインの人気があがり、グリーン・スペインの他の地区でのワインも市場に登場するようになった。早熟で芳香な白ブドウ品種の栽培に力がそそがれている。

リアス・バイシャスで造られるアルバリーニョAlbariñoは芳香なワインを造る品種で、シュワッとする爽やかなスタイルからモモの風味を呈すまろやかなスタイルのものまでさまざま。スペインで最も人気の高い白ワインだ。ここでは他に、芳香性に富むがストラクチャーがやや弱いトレイシャドゥラTreixadura と、月桂樹の風味を呈すロウレイロ Loureiroから白ワインが造られている。

 

絶景とシーフードが存分に楽しめるワイン産地

 

一方、やや内陸に位置するバルデオラスValdeorrasのワイン産地では、リッチで複雑な風味をもつゴデーヨGodelloが、その東に隣接する絶景のリベイラ・サクラRibeira Sacra、そしてまたその東に位置するベイロRibeiroと南のモンテレイMonterreiではゴデーヨとトレイシャドゥラが栽培されている。リベイロの白ワインには軽い発泡性をもつものが多く、ガラスのグラスではなく、白い磁気のコップで供されるのが一般的。この地方は、ワイン同様、景観に関してもスペインの中で卓抜しており、特に、「聖なる渓谷」という意味を持つリベイラ・サクラは、壮大な渓谷地帯。2千年前の古代ローマ時代から存在したというワイン畑が延々と続く絶景が見られ、今でもワイン棚は基本的にローマ時代と同じ手作業で作られているという。 
さて、海岸に面したグリーン・スペインはシーフードのパラダイスだ。新鮮な材料をシンプルに料理したものが多く、ここで造られる白ワインにぴったり合う。心ゆくまで味わっていただきたい。

 

 

ミヨコ・スティーブンソン Miyoko Stevenson
WSETディプロマ取得。Circle of Wine Writers会員。Chevalier du Tastevin(利き酒騎士)団員。Jurade de St-Emilion団員。International Wine Challenge審査員。The Guild of Freemen of the City of London会員。ワイン関連の訳書・著書あり。現在、ロンドンでワイン教室を主宰。
www.miyokostevenson.co.uk
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リベラ・デル・ドゥエロは大陸性気候で、夏季は摂氏40度を超えるほどの暑さとなり、乾燥する一方、冬季はマイナス摂氏18度を下回ることもあるなど厳しい寒さに見舞われる。

 

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