
■ 第235話 ■謎多きアシュケナージ
▶パレスチナを追われてディアスポラ(民族離散)したユダヤ人。その中でイベリア半島に渡った勢力「セファルディム」がどのようにヨーロッパを移動して英国やアメリカに辿り着いたかを本欄第230話で書いた。ではもう一つの勢力、ドイツ語圏や東欧圏に現れた「アシュケナージ」というユダヤ人勢力は一体誰か。「セファルディム」系ユダヤ人はアラビア半島出身である身体的特徴を有している人が多い。ロスチャイルドも元は「セファルディム」系という。ところが「アシュケナージ」系はほとんどが白人だ。なぜか。
▶誰もが知っているアシュケナージ系ユダヤ人の名前をほんの一例挙げてみる。科学者ではアインシュタインやオッペンハイマーにノイマン。いずれも原爆開発に深く関与した。映画監督ではスタンリー・キューブリックにスピルバーグ、ウッディ・アレンなど。チャプリンもユダヤ系と言われる。俳優ではポール・ニューマンからマイケル・ダグラス、ハリソン・フォード。バーブラ・ストライザントにナタリー・ポートマン。政治家や金融、IT企業のトップにもワンサカいる。グーグル創業者のラリー・ペイジやフェイスブックのザッカーバーグ、ChatGPTのサム・アルトマンも皆ユダヤ系だ。これらの人たちの風貌はおよそアラビア半島出身者とは思えない。では一体何者か。「アシュケナージ」は白人系ユダヤ人と呼ばれる。アラビア半島を追われたはずのユダヤ人は2000年の流浪の中、一体どうやって肌が白くなったのか。

▶結論から言えば今も謎のままだ。本欄
で「ウクライナとユダヤ人国家」を書いた。7世紀から10世紀までの間、カスピ海と黒海にまたがる一帯に王国があった。ウクライナのキーウ辺りまでが領土だった。ある時、南からイスラム諸国が押し寄せ「俺たちの仲間になれ」と迫った。西からは東ローマ帝国が「キリスト教国になれ」と圧力をかけた。板挟みとなった王様は「だったらキリスト教とイスラム教の本家、ユダヤ教にしま~す」とユダヤ教国家になっちゃった。これがハザール王国だ。ユダヤ教を信仰する者はユダヤ人となる。ここにイスラエルやアラビア半島を出自としないユダヤ人が誕生した。離散ユダヤ人は「ユダヤ国家が出来たど~」と大喜び。大量のユダヤ人がハザールに移住した。しかしハザール王国は965年にキエフ大公国に攻め込まれて滅亡。ハザール王国にいたユダヤ人たちは再び離散を余儀なくされた。▶このハザール王国を「アシュケナージ」の祖先とする説が有力だ。しかしハザール王国の元の住民はトルコ系民族。白人とは言えず矛盾点も多い。長い年月をかけて白人と混血を繰り返したのかもしれない。1948年、ロスチャイルドの暗躍で遂にイスラエルが再建された。大喜びで祖国に帰ったユダヤ人がいた一方で「はあ? イスラエル?」と無関心なユダヤ人も大勢いた。一口にユダヤ人と言っても色々いるということだ。ウクライナ戦争、ガザ侵攻、トランプ氏暗殺未遂と米大統領選。いずれも要所要所にユダヤ人の姿が見える。そう書くと陰謀論扱いされる。だがちょっと目を凝らせば専門外の筆者にすらはっきりと見えてくる事実だ。11月の米大統領選まであとわずか。大統領選は昔から闇が超深い。マリアナ海溝より深い。何が起こっても驚かないけど何かあったらやっぱ驚くぜってな辺りで次号に続く。チャンネルはそのままだ。
週刊ジャーニー No.1357(2024年8月29日)掲載
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