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■ 第224話 ■ネットに躍る不気味なワード

▶赤毛の雌牛がイスラエルに届き、第3神殿建設の条件が整った。マスメディアで報じられることはほぼないが、最近ネットの世界ではあるワードが飛び交っている。「エゼキエル戦争」。これは旧約聖書のエゼキエル書に登場する預言だ。エゼキエルとはバビロンでの捕虜生活からイスラエルに生還した預言者の名。エゼキエルは「これより多くの時が経ち、人々が安寧に暮らしている時、突然北方の大国とその連合国がイスラエルに攻めて来て終末戦争が起こる」と預言している。エゼキエル戦争だ。世界最終戦争であるハルマゲドンの前に起こるこの終末戦争により人類は7年間、味わったことのない苦難の時を経験。その後、明るい時代を迎えるんですと。

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▶「メセクとトバルの大君(おおきみ)であるマゴグの地のゴグにあなたの顔を向け、これに対して予言して言え。わが民イスラエルの安らかに住むその日に、あなたは北の果てから来る。みな馬に乗りその軍大きく、兵強し。ペルシャ、エチオピア、プテはともにおり、盾と兜を持つ。ゴメルとその全ての軍隊、北の果てベテ・トガルマとその全ての軍隊など、多くの民もあなたと共にいる」。何言ってんだかサッパリだ。最大の敵となるマゴグは黒海とカスピ海北方にある大国、即ちロシアだという。ペルシャはイラン、トガルマはトルコ。その他、スーダン、リビア、エチオピア、ドイツと思われる国々が連合して押し寄せる。なんか脈絡のない変な連合軍。

ラファエロ作「エゼキエルの幻視」
ラファエロ作「エゼキエルの幻視」ですが、何か?

▶長い間エゼキエル戦争は起こり得ないと言われて来た。なぜなら連合軍が攻めて来るはずのイスラエルは紀元70年に消滅。その後約1900年近く、この世に存在しなかったからだ。存在しないものは攻められない。ところが1948年、イスラエルが突然復活した。再建後のイスラエルは4度の中東戦争を経験した。それ以降、昨年10月にハマスが奇襲をかける前までは比較的平和な日々が続いていた。エゼキエル書は「連合軍はイスラエルの人々が安心して暮らしている時に突然やって来る」と告げている。なので今、戦争の条件が整ったと解釈する研究者が多いんだとか。


▶それにしてもロシアとイラン、そしてトルコが仲良く手を繋いでイスラエルに攻め込むなんてことあり得る? イランは最近ロシアと兵器を提供し合う良好な関係を構築している。しかしロシアとトルコは過去12回も戦争を繰り返してきた天敵同士。組む訳がない。ところがこの3国、近年急速に接近している。きっかけはシリアだ。3国はいずれもシリア紛争の当事者。そしてシリア問題の解決とイスラム国(IS国)駆逐のため、2017年に3国はカザフスタンの会談で同盟を結んだ。国益のためなら天敵とも結ぶ。友情なき同盟。

▶エゼキエル戦争の起こる時期を第3神殿が完成する前後とする説がある。だから赤毛の雌牛到着は大ニュースなの。ちなみに戦争は神の介入によって連合軍が自滅。イスラエルが勝利するんだとか。「んなアホな」だが、厄介なのは聖書の預言を現実のものにしようと目論む過激勢力が存在することだ。事実、あり得ないと思われたイスラエル復活もエゼキエル書にある預言の一つ。フェイクだ陰謀論だとの批判も多い。むしろそうであって欲しい。ただ、「赤毛の雌牛」や「第3神殿」というキナ臭いキーワードだけ、心の片隅にそっと留めておこうねってな辺りで次号に続くんだぜ。チャンネルはそのままだ。

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週刊ジャーニー No.1346(2024年6月13日)掲載

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