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ぶらりんぐロンドン

ジャーニー編集部がロンドンの街をぶらりとレポート

ヴィクトリア女王に謁見した、動物見世物小屋の主人の話

先日、ロンドン北部にあるハイゲート・セメトリーに行ってきました。ロンドン内でも著名人が眠るとして広く知られている墓地です。

英国の墓地では、墓石にさまざまな飾りが施されているので、その人物を知らなくても、職業が何だったのか、あるいは故人の人となりがわかることも多々あります。ハイゲート・セメトリーでは、ボランティアのガイドさんが墓地内を説明してくれるツアーが開催され、特徴的な墓石を紹介してくれます。その中で特に興味深かった、このライオン像の下で眠るジョージ・ウーンウェルさん(1777-1850)の話を紹介したいと思います。

靴職人だったウーンウェルさんはある日、ロンドンの船着場で南米から持ち込まれたという大蛇を目にします。その珍しい蛇をひと目で気に入ったのでしょう、大金をはたいて購入。蛇をゲージに入れて飲み屋をまわり、有料で人々に見せてまわったのだそうです。動物園のない時代ですから、南米からやってきた大蛇はたいそう珍しく、すぐに商売大繁盛。キリンやゾウ、ライオンを引き連れて国内を回るようになるまでビジネスを拡大させます。

ウーンウェルさんの話は広く知れわたり、バッキンガム宮殿に呼ばれてヴィクトリア女王に謁見する機会も得ます。あるとき、アルバート公の犬が具合が悪くなり、その際にもウーンウェルさんがアドバイスをし、犬を救ったという話も残っています。アルバート公はお礼にウーンウェルさんたっての希望で「棺」をプレゼント。彼はこの「棺」も特別価格で人々に見せたのだそうです。商売人だな~と感心します。

ビジネス・センスも抜群だったウーンウェルさん。フェアの直前に見世物だったゾウが死んでしまうという不幸に見舞われます。同じ会場にいた同業者が「このフェアで唯一のゾウです!」と自分の小屋を宣伝して客を集めるのを横目に、ウーンウェルさんは知恵を働かせます。そして看板にこう記したのです。「私の小屋では、このフェアで唯一『死んだ』ゾウが見られます!」。客の関心を集めたことは言うまでもありません。
ウーンウェルさんは、ライオンと犬を戦わせる見世物=ベイティング=も実施したようなので、動物の身になってみるとビジネス・センスを手放しにほめるのはかわいそうでもありますが、トラブルも見方を変えればチャンスになる、といういい例だなとしみじみと実感しました。

ウーンウェルさんは今もこのハイゲート・セメトリーでライオンの像の下、アルバート公からプレゼントされた棺のなかで眠っているのだそうです。(編集部C)

ハイゲート・セメトリー Highgate Cemetery
Swain’s Lane, London N6 6PJ

※情報は2017年12月8日現在

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