ホンネで語る!
英国で大学留学

後編

留学生として学んだこと

思い切って日本を飛び出し、英国へ留学。留学を決めたきっかけや、英国で学んだこと、留学生活の悩みなど、日本人学生たちの生の声を聞くべく、3名の女子学生による座談会を決行。熱く語り合っていただきました(全2回)。
参加者のプロフィール
Aさん(22歳)/交換留学生としてサウサンプトン大学に1年間留学中。専攻は英文学と音楽。神奈川県出身。
Bさん(24歳)/ロンドン芸術大学でファッション・ビジュアル・マーチャンダイジング・アンド・ブランディングを勉強中。福岡県出身。
Cさん(22歳)/日本の大学を休学して、ウェストミンスター大学に1年間留学中。専攻はインターナショナル・コミュニケーション。東京都出身。

セミナー重視の授業

― 日本と英国を比べて、大学の授業や課題など大変と思うことは?

A
講義のあとに、講義の内容を踏まえたセミナーがあるというシステムは、日本にはないですよね。たとえば講義でブレグジットの話題を取り扱った際に、それについての意見と根拠となる資料を準備して、後日グループに分かれて、意見をぶつけ合って闘う感じです(笑)
C
そうですよね。セミナーがあるからこそ学ぶことが多いと思います。たとえばジェンダーギャップについて男子生徒と話したのですが、まったく異なる考え方を知ることができ、セミナーがなかったらその人とそんな話をすることはなかったのでいい機会になりました。日本で授業中に生徒同士で意見交換すると、浅い会話で終わってしまうこともありますが、イギリスでは深い話ができるように思います。

― 議論が盛り上がって口論になることはありますか?

C
お互い譲らない意見がありますが、反対に歩み寄ることもあるので、口論にはならないですね。
B
私は日本の大学に通っていないので比べることはできないのですが、今通っている大学が特殊で、課題がすごくきついんですよ。今やっているのがストア・レイアウトで、ファッション・ストアのブランドを立ち上げるところから始めるんですね。顧客に新しさを提供できる企画案と、それにともなうウィンドウ・ディスプレイからバスの広告ポスターまでを考えるんです。2週間に1度面談があって、そのときに途中過程を見せるんですけど、「面白くない」って言われたら、最初からやり直しなんです! それが提出日前日であろうと、「やり直し」って言われたらやり直しなんです(涙)
A
それきつい!
B
ウィンドウも実際のサイズに作るので、小物も集めなきゃいけないんです。だから費用も時間もかかるし。やり直しになったら、精神的につらい。
A
私はそこまで大変じゃないなー。
B
「日本の大学とこっちの大学とどっちが忙しいの」って聞かれることがあるんですけど、どうなんですか?
A
あんまり変わらない気がします。レクチャーの後にセミナーがあるという点では、授業に対して準備をしなくちゃいけないので、日本の大学と比べるとプラスアルファの部分ですけど、日本の大学は準備がない分、最後にレポートがどさっとくる感じ。

― イギリスではレポートが少ない?

A
レポートはあるんですけど、字数が少なく、そこまで大変じゃないです。
B
そうなんだ。
C
私が通っている大学も同じような感じです。でも日本であるような、楽単(単位が楽に取得できる科目)だけ取って、何も勉強しないでただノートを写すことは、こっちではないかもしれないですね。
A
そう! インタラクティブ(対話型)だから何かやらないと、そこにいられない。
C
ついていけないしね。

課題の大変さと日々向かい合うBさん。

授業の醍醐味

― 最も印象に残っている授業や課題を教えてください。

A
音楽学部の授業です。現役歌手の先生にマンツーマンで歌唱指導をしていただいているのですが、3回目のレッスンでそれまで苦戦していたビブラートが自然とかかるようになっていて、先生の教え方に感動しました。マンツーマンの指導を受けるのには追加でお金を払うのですが、レッスンの回数を決めさせてくれ、その上で私に合わせた教え方を組んでくださって。日本だったら、決まった回数でカリキュラムに沿ってという感じなので、違うなって思いました。あと、イギリスの先生たちって自分の専門に対するパッションがすごいなと感じます。だから授業が白熱して面白い!
C
私はインターカルチュアル・コミュニケーションという授業です。異文化で活躍する上でどう自分の立ち位置を決めていくかという、セミナーが中心の授業です。私は初めての留学だったので、日本の固定観念が自分の中に根付いているのを感じました。たとえばLGBTを例に挙げると、私は日本でゲイの友達から泣きながら相談を受けていたので、生きにくいんだろうなって思っていたんです。でも、イギリスの子に聞いたら、イギリスではLGBTの授業が学校であるみたいで。
AB
へぇー!
C
多くの人がLGBTの知識も持っていて「生きやすいよ、何言ってるの」って。色んな意味で固定観念とか偏見とかに気づくことができました。
B
私の大学はファッション企業とコラボすることが多くて、ASOS(オンライン・ショッピング・サイト)との合同プロジェクトがありました。自分がその会社の一員であるかのようにASOSの人とミーティングしたり、ターゲット層を考えてリサーチしたり。普通の授業より、実際にお金を稼いでいる企業とやったほうがやる気が出るし、自分たちが考えていることが現実的には難しいことを実感することもできるし、実現させるにはどうしたらいいかを考えるのも楽しい。

― 具体的にはどんな内容でしたか?

B
課題は新規企画の提案で、私はオンライン販売だからこそのデメリットを解消することを考えました。オンラインでは試着ができないので、届いて着たときに何か違うとなって、返品につながる。それをどう減らすかという方法です。面白い案だったら実際に起用されることもあるし、実現するのが難しかったら、改善策を話し合って、学生の課題として終わる感じです。
AC
面白い!

「授業を通して自分の中の固定観念や偏見に気づくことができた」と語るCさん。

学んだからこその悩み

― 今後の展望を聞かせてください。

A
この先、英語を武器として使うか使わないか、最近とても揺れています。自分の英語力って限られていて、ネイティブには絶対に敵わないと思うんです。英語の語彙力が、日本語の語彙力よりも明らかに劣っていて、意見を言うときに、細かいニュアンスが伝わらないこともあります。たとえば友達とケンカするときに、細かい感情の表現ができていなくって、知らないうちに強い言葉になって傷つけてしまったことがありました。

― そうなると就職は日本で考えていますか?

A
ベースは絶対日本がいい!(笑)
BC
(笑)
A
やっぱり文化が違うのが大きい。たとえばサークルのみんなで話し合って何かを決めるとなったときに、こっちでは空気を読むという考えが日本ほど重視されないように感じるんですよ。
B
わかる(笑)
A
議論しているときに、私は「ホントにこんなこと言っていいの? 失礼じゃない?」って自分の中で考えちゃう。でも向こうは考えていない。ここは日本じゃないので、日本の文化を押し付けるのではなく、イギリスにいる場合は、空気を読まないっていう空気に、私が慣れなきゃいけない。だけど、仕事となった場合は、私が合わせているだけだと仕事をやりづらいと思うんです。外国で仕事をするとなったら、それとともに生きていかなきゃいけない。それは私には厳しいな、ということが今回の留学でわかった感じです。
C
私は自分の軸として、小さい頃から、社会的に弱い立場にある人、特に子供を救いたいという思いがあります。NGO団体の直接的なアプローチと、企業のCSR(社会的責任)による間接的なアプローチの場があると思うのですが、まだちょっと悩んでいます。子供といっても、たとえば難民の子、虐待を受けた子、非行少年などたくさんいると思うので専門的な知識を身につけるために大学院に進学するということも考えられますし。これに関しては母親から「社会経験をしてから、院に行ってほしい」って言われて、今葛藤中です。
B
考えをまとめるのは難しいですよね。私はまだあと1年半あって、その後に大学院に行こうかなと思っています。それからに日本に帰るのか、こっちに残るのかを決める感じです。一時帰国したらやっぱり日本はいいなって思うけど、でも自分が日本にいるビジョンがまったく見えなくって。だから、大学に行きながら模索しています。日本の資格をとりつつ、こっちでインターンもしつつ、どっちがいいのかを比べて、最終的には決めようかなと思っています。

異文化コミュニケーションの難しさを改めて実感したAさん。

週刊ジャーニー No.1036(2018年5月24日)掲載

「英国で大学留学」座談会は、今回で終了となります。今後も様々なテーマでお届けしていきますので、ご期待下さい!
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