海軍の歩みを今に伝える地

 冒頭でも触れたように、メアリー・ローズ博物館のあるポーツマスには、英国でもっとも歴史のある海軍の基地があり、起源は800年も昔にさかのぼるとされる。何世紀にもわたって海からの侵略や攻撃から英国を守り、19世紀には、英国を世界の七つの海を牛耳る国へと成長させた海軍の重要な地として長い歴史を刻んでいる。
残念なことに、由緒あるポーツマス造船所は、来年には閉鎖されてしまうことが発表になった(前ページコラム参照)が、現役の艦船(潜水艦を除く)のおよそ3分の2が今でもポーツマスを母港としている。そしてその一部のエリアは「ヒストリック・ドックヤード」の名で開放され、私たちもその歴史に触れることができる。
同地の見所は多く、メアリー・ローズ博物館のほかに、トラファルガーの海戦(1805年)で英軍を勝利へと導いたネルソン提督の「HMSヴィクトリー」が現在も係留しており、ネルソンが倒れた場所や、側近らに見守られ息を引き取った場所、船内での生活の様子を伝える品々などが展示・紹介され、船に乗り込み、歩いて見て回ることができる。加えて、「HMSウォリアー1860」、海軍博物館、造船の歴史を伝えるギャラリー、海軍生活を疑似体験できるようなアトラクションも用意されている。45分間のハーバー・ツアーで、フェリーに乗って湾内を巡り、現役の駆逐艦、巡洋艦などを海の上から眺めれば、海洋国家としての英国の歴史をより身近に感じることができるはずだ。休日にご家族で出かけてみてはいかがだろうか。

 


革靴、ウール、シルクで作られた衣類も発見されている。
靴は右左の区別なく、同じ形であったことがわかっているという。
© The Mary Rose Trust